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Q(MS-375) 服薬中止の可能性についてTK   2020.8.20-11:58
37才、男性、大阪府在住。(以前の質問 MS-287)

長期に寛解状態が維持されている場合、ある程度の年齢(50歳以上)で服薬を中止することが可能と聞いたことがあります。患者個人の状態に寄るところが大きいため一概には言えないと思いますが、最近の研究状況を踏まえて、先生のご意見をお聞かせ頂けないでしょうか。

2003年初発、2016年診断確定。
現在の症状:左手の親指・人差し指の感覚異常、歩行障害無し。
治療歴:2003年〜2016年 服薬無し
     2016年〜2017年 イムセラ
     2017年〜現在 テクフィデラ
脳MRIでの病巣は10個程度。小さい病巣が多い。MS的(Dawson's finger様)。2016年診断確定後から新規病巣無し。

治療継続をお勧めします。

「長期に寛解(再発が無い)が維持されている場合、50才を越えると服薬を中止することが可能」と主張する専門家を私は知りませんし、それを支持するデータもありません。逆に年齢を問わず、治療を中断したグループは治療を継続したグループより障害・認知能低下の進行の可能性が高いとのデータは多数存在します。
MSは水面下で通常MRIでは検出できない微細な病巣、神経線維の切断が緩徐に蓄積し、次第に脳の予備能力が減少し、進行型へ移行する疾患です。無治療では進行の可能性が高くなります。
一般的に再発寛解型MSの罹病期間が長くなると再発の頻度が低下しますが、ゆっくりとした障害進行が止まらなくなる二次進行型への移行が増加します。無治療であれば80%以上が進行型に変化するとの過去の研究結果が多数あります。また、男性が女性より二次進行型へ移行する例が多い特徴があります。

治療を中断したい理由があるのかどうかが問題です。服薬が面倒である(利便性)こと、副作用がある可能性があると考えている等でしょうか?
テクフィデラは通常、非常に安全です。深刻でない副作用が出る方がありますが、通常は解決・軽減方法があります。


Q (MS-374) MSと診断されてからの現状と、進行具合や治療法は正しいのか?だー   2020.8.18-15:46
2020年2月に突然左手足と左足に痺れが発生し、左手は握ることができなくなり左足は足首を曲げることができなくなり病院で検査した結果、MSと診断されました。
入院してからステロイドパルスを1週間に3日間を、2週にわたって行い左手も握力が戻り、足首も曲げられるようになり退院できました。それから約半年後、8月頭に左足のひざに力が入りにくい感じが続き、診察を受けたところ再発の疑いがあるとのことで再度入院しました。今回はステロイドパルスを1周だけ行い、症状もほとんどなくなり足の指部分にほんの少し痺れが残るくらいまでおさまり退院しました。
1度目の入院から、コパキソンの治療が始まりました。その後の再発での入院から現在はテクフィデラでの治療に変わったところです。まだテクフィデラを服用してから2日目という現状ですが、現在の治療法を続けていくことで良いのか不安で質問させていただきました。

現在の日本で利用可能なMSの長期再発・進行防止治療薬には6種類あり、効果の高い順序は、ナタリズマブ (タイサブリ)、フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)、ジメチルフマル酸(テクフィデラ)の順で、4番目はコパキソン、ベタフェロン、アボネックスで、ほぼ同列です。
貴方の現在の治療、テクフィデラで今後長期に再発、進行を完全に抑制できるかどうかを予測するには、臨床データの詳細、MRIデータを直接見ることが必要です。
先ず貴方の先生に質問をするべきですし、その根拠をも聞くべきでしょう。


10年前にmsを発症左脚が上がりずらくなった。シシ繭   2020.8.15-10:16
msでパルスワンクールやったらステロイドは身体に何g入るのか?
パルス療法の内容など具体的な治療に関しては実施された医師にお尋ねになるのが正確だと思います。

MSネットジャパン事務局

補足:MS疑いの診断。睡眠時間を長くとっても眠くて仕方ない。みい   2020.8.7-9:11
すみません、大事な部分が抜けていました。
@年齢 41歳、性別 女性
A居住都道府県 福岡県
B前回投稿に記載
C前回投稿に記載
D歩行障害なし
E治療薬未使用
F陰性なのでNMOではないと言っていたと思う(当時はMSについて見聞がなく、聞いてもよく頭に残っていなかった)
G脊髄には病巣は見られないとのこと
H何個あるかまでは聞いていないが複数箇所見られるとのこと



Q(MS-373) MS疑いの診断。睡眠時間を長くとっても眠くて仕方ない。みい   2020.8.7-8:59
41歳、女性、福岡県在住。

2019年11月下旬に左目の視野が欠け始め、12月に大学病院にて左視神経炎と診断されMRIで脳内に複数病巣が見つかり、髄液検査の結果多発性硬化症の疑いと言われました。

ステロイドパルス2クールの後で視力は劇的に回復し、経口ステロイド投薬を2020年6月まで継続。その間、夜7時間程度寝ているにもかかわらず日中継続的な眠気に襲われ、仮眠をとっても全く改善されない状況が現在まで続いています。
8月6日に脳神経内科を経過観察の為受診した際、強い眠気が仕事に支障をきたしている旨を相談したところ、自分の意思にかかわらず日中眠りに落ちてしまうのでなければ多発性硬化症との関連はないと一蹴されました。
どうしても気になるのでネットで過眠症について調べたところ、過眠症の自己診断チェックで突発性過眠症に該当する結果となり、過眠症の要因として多発性硬化症も触れてあった為、担当医師への不信感を抱いています。

このような強い眠気の症状は多発性硬化症の再発にあたるのでしょうか?
医師はMRIと髄液検査の結果からかなりの確率で多発性硬化症で間違いないが、再発していないので疑いとしか診断できず、再発防止治療も出来ないと言っていました。多発性硬化症の場合は早期の再発防止治療開始が望ましいと書いてあるのを読み、心配です。

長い夏季休暇で北海道で登山をしており、申し訳ありませんでした。

視神経炎が1度あり、MRIで脳に複数病巣が見つかりMS疑いとの診断だそうです。 CIS, clinically isolated syndromeに該当し、髄液検査もMSらしい結果です。MS初発である可能性が高いようです。脳病巣の所見が重要で、MSらしさがあるなら、欧米では確定診断でなくてもMSの長期再発進行防止治療を開始することが推奨されています。日本の厚労省研究班では「医師の診断間違いが日本では多いかもしれない」との理由で、治療を推奨していません。条件をつければ良いのであり、間違った判断です。

激しい日中の眠気ですが、MSの症状として出ることは非常に稀です。脳下部にある視床下部という睡眠中枢に病巣がある、あるいは障害がある場合には、起こり得ます。脊髄液のオレキシンを測定することもあります。貴方と類似した訴えの方を何度も経験しましたが、そうした病巣を確定できたことはありません。
睡眠専門医に相談しビデオ、脳波などを記録し、睡眠の分析をしますが、実際は夜間睡眠が取れていない例が多いです。うつ病合併も多いです。
MSで再発症状が無くても脳内に活動性病巣があり、強い倦怠感が出ることもありますが、MRIで判断できます。

ナルコレプシーという病気の合併の可能性もありますが、他の特徴を伴いますし、脳神経内科で診断可能です。

担当医師とよく相談し、説明に納得いかないなら、病院を変更するべきでしょう。


msと診断されて10年   2020.8.7-6:51
去年12月に再発が起きて、医師に電話したが放置されて治療されないまま3〜4ヶ月たち歩行障害が出て1年になる。MRIで胸椎に病変がある。タイサブリを始めて今年の12月で1年になる。脱ヅイの回復はまだみられない。車椅子生活も1年になる。タイサブリは1年やらないと効果は出ないとの医師の判断。
どのような事を御質問になりたいかをお書きください。
このQ&A掲示板の冒頭にある注意書きをお読みになり、@〜Hの項目をお書きください。

ご質問がないようでしたら投稿は削除させていただくことがあります。

MSネットジャパン事務局

Q(MS-372) 再発予防薬をのんでいてもMSの再発、進行が生じることがあるか?Iramotak   2020.7.23-17:47
49歳、女性、神奈川県在住。

2016年、4年前にMSを発症し、診断されました。足先の軽い痺れの後遺症が残っているぐらいでした。
2017年、1年後に再発が確認され、5月から再発予防薬のテクフィデラ を飲み続けています。

しかし、ここ半年ぐらい前から疲労感が増しています。最近は膝がだるい。現在の症状は右脚先の軽い「しびれ」。
脳、脊髄、腰椎とMRIを撮って髄液検査もしていますが、とくに、新病巣出現や髄液炎症細胞などのMS活動性の証拠は見られません。

しかし、主治医曰く、「MSという病気は、テクフィデラ をのんでいても予防薬なので、MRIで確認できない小さい病巣が再発し進行しているかもしれないので、一度、パルスをやった方がいい」 と言われました。 
予防薬はのんでいても、MSは徐々に進行はするのでしょうか。

一般論として、MSの再発、進行防止薬治療を続けていても、再発や進行はあり得ます。効果の低い治療であるほど、その可能性は高くなります。
再発症状の場合は、通常始まりが比較的はっきりしており、週や日単位で始まりを自覚できます。MRIで新病巣が見つかることが多いのですが、見つからない程度の軽い再発もあり得ます。
この場合には、ステロイドパルス点滴が効果がある場合もあります。

一方、進行の場合は何時とは無く始まり、ゆっくりと強くなることが続きます。既に有った症状が何時とは無く増強することが多いが、新しい症状であることもあります。悪化が半年以上増強し続ける場合は、進行型MSへ移行した可能性が高くなります。
この場合にはパルス点滴をしても効果は1週程度の一時的か、効果が無い可能性が高いでしょう。

再発があると判断するなら、現在のジメチルフマル酸(テクフィデラ)を止めて、もっと効果の高い薬、タイサブリやフィンゴリモドへ変更するべきです。
進行型への移行が疑われるなら、9月から利用可能となる新薬であるシポニモド(メイゼント)選択を考慮するべきです。


Q(MS-371) 投薬についてmanmarujiji   2020.6.22-13:51
男性、66才

20歳の時に発病。再発を繰り返しながら現在に至ります。
現在の症状は,複視,左上下肢の脱力,感覚異常,歩行は杖歩行です。

長い間,βフェロンの筋注をしてきたのですが,再発し,転院。
そこで,テクフィデラに薬を変えました。しかし,白血球とリンパ球が減り中止。
コパキソン筋注に変更しましたが,やはり白血球とリンパ球が改善せず,今,薬を止めています。
こうした状態の時に,年齢や経過(46年)等から再発を止めるお薬は使用しない方が良いでしょうか。なお,MRIでは異常が確認されず,医師に「難しい」と言われています。
ご助言頂ければ幸いです。

返事が遅れ申し訳ありませんでした。
年令記載がありませんでしたが、文面からは20才発症から46年経過し、現在66才です。
杖1本が必要で、他症状もあり、軽症とは言えません。

経過年数が長く、中等度の障害があり、男性でもあり、二次進行型への移行が懸念されます。
治療は可能ですし、続けるべきですが、治療選択が問題であり、判断の材料が不足しています。

白血球、リンパ球の数字、動きなど、本当に中断が避けられないのか、実際のデータが必要です。最近の再発の有無、緩徐進行増悪が有るか、無いか、MRI検査の頻度、所見なども重要です。住んでいる地域にも左右されます。
現在の先生の意見が納得いかないなら、医師を変更するべきでしょう。
電話相談可能な地域なら、相談をしてください。


たぶん多発性硬化症だと言われたホーリー   2020.6.17-15:43
どうすればハッキリとさせられますか?お金がありません
(1)脳神経内科を受診してください。
(2)本Q&Aページ冒頭の投稿規定を読み、守ってください。

Q(MOG-34) 再発後の治療について笑顔S   2020.5.24-10:27
12歳、女性、東京都在住の親。 MOG抗体陽性MOG32で質問させていただきました。相談にのって頂いてありがとうございました。

主治医の先生より今後の治療方針として、アザチアプリンの増量75mgと、ステロイドを併用して、前回よりもゆっくりステロイドを減量していくと言われました。
さらに、予防的に、免疫グロブリンを点滴するということも考えられると言われました。免疫グロブリンを1ヶ月に1回点滴する事で、再発予防にもなるので、それも一つの選択肢と言われました。

@入院して点滴する事になりますし、本人の負担を考えて、どうすべきか悩んでいます。先生は免疫グロブリンの投与についてはどのようにお考えでしょうか。

Aまた、アザチアプリンの効果について、服用した期間以外に、効果を見極める手段はありますか?タクロリムスでは、血中濃度をコントロールする事が目安とお聞きしましたが、アザチアプリンでも、何か指標になる数値や目安がありますか?

B親としての思いは、再発をなんとしても防ぎたい。ステロイドが重要なお薬である事は充分に承知していますが、効果の反面、副作用も怖いので、出来る限り少ない適正量を知りたい。この2点です。個人個人で処方が変わってくるかと思いますが、これまでの経緯と再発の状況から、ステロイドの量についてアドバイス頂けないでしょうか。

何卒、よろしくお願い致します。
これまでの治療歴:
2019年8月発病→パルス治療、免疫グロブリン→9月退院
2019.10 プレドニン10mgに減量したところで、再発→パルス治療、免疫グロブリン、血漿交換→2月退院
2020.2 退院して2週間後、プレドニン5mgに減量したところで、再発→パルス治療はせず60mgを内服。3月下旬からアザニン50mgも内服。4月中旬17.5mgで退院。
2020.5プレドニン15mgに減量したところで再発→パルス治療2クール終了→30mg服用中。

(1)私は免疫グロブリン点滴をMOG脳脊髄炎30人以上での治療に使った経験がありません。全員が他の治療で安定しており、必要性を感じたことがありません。効果がある可能性はあると思います。かなり高価ですが、副作用の心配が無いのは良い点です。利用した報告はあまり無いと思います。

(2)アザチオプリンの効果発現の時期、程度を予測する方法は無いと思います。

(3)プレドニン単独での治療で、体重にもよりますが成人か成人に近い体重の方ではプレドニン15mgかそれ以上で再発を経験することは稀です。それより低い量でもかなり早く安定する方はあります。個人差があり過去の再発時のステロイドの量が最も重要な指標ですが、変動することもあります。



Q(MS-370) 目眩と指先しびれ増強、だるさで再発が疑われるか?りり   2020.5.22-12:11
19才、女性、北海道在住。

最近、(1)目眩と(2)指先の痺れが強くなってきたのと、(3)何時に寝ても朝起きるのがしんどくて、1度起きても何度も寝直してしまう事が多くなってしまいました。

(1)目眩の種類的には目の前が真っ白になる感じではなく、視界はハッキリしているのですが、頭がゆっくりぐらんぐらんと回っているような目眩です。

(2)痺れと同じく熱い冷たいの感覚も一瞬だと分かりません(水道のお湯の出る部分を触った時にお湯を出していたら熱くなるのですが、その部分を触った時に熱いのか冷たくて霜焼けみたいな感じなのかが分かりません)

(3)今1番辛いのは朝起きられないということです。平均8、9時間は寝ているのですが、朝起きて歯を磨き、オンライン授業を受けていると、気付いたら寝てしまい、次の授業も寝てしまうことが多くなりました。
起きるだけでも体がしんどくて、どうしても横になってしまうような状態です。

こういった症状が2週間以上続いているのですが、再発が疑われるのかご回答をお願いします

2015年MS発症。現在は再発していないときでも手足の指先の痺れが残っています。テクフィデラを4年前から使用しています
このような情勢で、中々病院に行くこともできないため今回相談させていただきました。


(1), (2), (3)の3種の症状の変化を訴えておられます。MSの症状は病巣出現部位で決まるのですが、3種はお互いに関連性がないようで、あまり再発らしくはありません。
しかし、何れもMSと関連が無いと断定することも容易ではありません。
 
(1)目眩は様々な原因で出現しMSと関係無く出ることが多いのですが、MSの再発症状であることもあります。記載の内容では関連を断定できません。

(2)の症状は温度感覚の低下である可能性がありますが、診察が必要です。

(3)の「しんどさ」もMSの活動性のある時に出る倦怠感の可能性もありますが、他の原因で出ることも多く、断定できません。

再発の可能性の自己判定法をこのHPに記載してありますので、参考にしてください。
可能性があると考えたら受診して、先ず担当医に質問するべきです。受診の代わりにこのHPを利用するべきではありません。担当医の返答に納得がいかない時にのみQ&Aをご利用ください。
新型コロナにはそれなりの対策をする事で対応が可能です。診察を躊躇する理由にするべきでありません。


Q(NMOsd-63) 視神経炎からの回復についてじゃこ   2020.5.14-6:25
36歳、女性、東京都在住。出産後5カ月のNMOSD患者。
前回(NMOsd-60) 服薬中の授乳について、でご回答頂いたものです。先日はご回答ありがとうございました。

また、こちらでご回答いただいたことを生かせず後悔に苛まれております。
出産後先生のご指摘のとおりプレドニン10rでは再発率上昇には不足だったようで、右目疼痛を自覚しMRIにて右視神経炎と診断されました。視神経炎は初めてです。

経過:
4月30日、 右目疼痛と霧視を自覚
霧視は全く見えないというわけではないが、右目だけでは文字が読めない状態。
5月1日、 眼科受診、矯正視力は1、0で落ちていないが検査で視神経が不明瞭、対光反射が弱いと、ステロイドパルス2日間実施。(2日間になったのは通院先の大学病院でゴールデンウィークとコロナの影響でERに近付けさせたくない、との理由で残り1日のパルスはできませんでした。)
5月2日、 脳MRI撮影
5月9日、 右目視神経炎と診断確定、入院、ステロイドパルス3日間実施。
疼痛は多少引くも霧視改善せず。
5月13日 より免疫グロブリンにて治療開始。

お伺いしたいことは、
(1) 現在の霧視は炎症が落ち着けば今後ゆっくりでも改善していく見込みはあるのでしょうか。それとも後遺症として残存してしまうのでしょうか。
文面だけでは症状がどの程度かお伝えすることが出来ずもどかしいですが、抗アクアポリン4抗体陽性の視神経炎は予後不良と聞き不安を感じております。
(2) 血漿交換ではなく免疫グロブリンでの治療で血漿交換と同じ効果が見込めるのでしょうか。
免疫グロブリン治療になったのは、昨年ステロイドパルスの効果が不良の場合免疫グロブリン投与が保険適用になったからやってみましょうと言われました。
(3) 出産後再発率が上がると知っていましたが、何ヵ月たてば免疫状態は出産前と同じに戻るのでしょうか。
出産前は7年間再発はありませんでした。
また生理が戻ったのと再発が同時だったのですが、何か関係はありますでしょうか。

今は幸運にも右目だけですが、今後の治療方針で左目にも発症する可能性もあると思います。それだけは何としても避けたいです。
落ち着いたら先生の治療を受けに行きたいと考えております。何卒お助けください。よろしくお願いいたします。

病歴:
2011年、初発。
現在の症状: 感覚過敏、両足運動障害による杖歩行
抗アクアポリン4抗体陽性、脊髄に3椎体以上の長さの病変出現あり。

出産を無事済まされ、お子様に恵まれたとのこと、御目出度う御座います。お母様の健康の維持が益々大切になり、ご心配のことと存じます。ご回復を祈ります。さて、

(1)現在の霧視は改善していく見込みはあるのでしょうか?  抗アクアポリン4抗体陽性の視神経炎は予後不良と聞き不安を感じております。
 この数週で少しでも改善傾向があるなら、一定の改善を期待できますが、明確な返答は不可能です。個人差や、同じ個人でも時により改善の度合い、速度は一定ではありません。
 平均的には多発性硬化症での視神経炎からの回復に比べて回復が悪いことが多いのは事実です。

(2) 血漿交換ではなく免疫グロブリンでの治療で血漿交換と同じ効果が見込めるのでしょうか?
 血漿交換と同様な効果が見込めるかどうか比較した研究が無いので明確な答えは有りません。しかし、私の経験では、適切な方法で実施すれば血漿交換の方が効果が高いと感じています。ただ、血漿交換では方法、交換量など、技術に依存する面が大きいのですが、免疫グロブリン点滴は簡単で、一様に実施できる利点があります。
 もっと重要なことは、迅速な診断と迅速な治療の開始です。パルス点滴は、回復が悪ければ、5日連続など、計12日まで、早期に実施します。その途中から、血漿交換(あるいは免疫グロブリン点滴)などを、できるだけ早期に開始します。必要なら並行して実施するべきです。

(3) 出産後再発率が上がると知っていましたが、何ヵ月たてば免疫状態は出産前と同じに戻るのでしょうか? 出産前は7年間再発はありませんでした。また生理が戻ったのと再発が同時だったのですが、何か関係はありますでしょうか?
 出産後の再発率亢進について多発性硬化症での研究は多いのですが、視神経脊髄炎での研究は少ないです。しかし、出産直後から6月間は危険性が高いと考えられます。ただ、どのような治療をしているかで大きく異なりますし、私の視神経脊髄炎の患者さんでは妊娠中、出産後を含めてしっかりとした実施していますので、この10年程、妊娠中も、出産後も、再発が有った患者さんを経験していません。
 生理が戻ること、授乳をすることなどと再発リスクが関連する可能性はありますが、お答えできるような研究はまだ無いと思います。しかし、そうしたこととは直接の関係なしに、出産終了後にはリスクが高まり、一定期間持続するように思います。


Q(MS-369) 妊娠中の再発、治療について津波古   2020.5.11-10:20
33歳、女性、沖縄在住。妊娠3月で現在はナタリズマブ (タイサブリ)治療を中断中。

今回お聞きしたいのは、妊娠中の再発の可能性や治療法、薬の影響についてです。
(1)主治医には、妊娠中万一再発した場合や症状があった際は直ぐにステロイドパルスを使用するとの事でしたが、お腹の中の子供には影響はないのでしょうか?(現在妊娠3ヶ月初期のため)

(2)また、妊娠中は再発リスク等が下がるとありましたが、妊娠中再発する方の割合はどのぐらいなのでしょうか。また妊娠中はどのような治療を行うのでしょうか。

(3)力が入らず崩れ落ちるように転んでしまい、すぐに症状が治った際は再発では無いと考えても大丈夫でしょうか。2020.3月27日以降タイサブリはしていませんが薬は効いていないのでしょうか?以前は5、6週間隔でタイサブリ治療を行っていました。

病歴:
2017年MS発症。
タイサブリ治療(2017.12月〜2020.3月27日)後、妊娠3月で中止中。
3年半再発なし。MRIで典型的な病巣が8個以上あるとのこと。

先日、以前にもあった左半身の怠重い感じが出現しました。
そして、今朝起床の際立とうとした時に左半身にまったく力が入らず崩れ落ちるように転んでしまいました。
すぐに立とうと試みましたが2、3分ほど力のない症状が続き、今はだるい症状のみあり。力が入るようになり歩けるようになっています。(怠重たい感じは継続中)

治療記録
2017.7月MS確定。
同年12月までコパキソン治療を続けていたが3度以上の再発があったため同年12月にタイサブリ治療を始めた。
症状→左手の痺れ、左足全体の痺れ、感覚異常、首の痛み、ピリピリ感、力が入らない、右目が見えにくい、などです。

宜しくお願い致します。

(1)妊娠中のステロイド・パルス点滴の胎児への影響:

量、期間、時期にもよりますが、奇形が増えるとのデータはありません。しかし、量が多ければ若干の胎児の成長の遅れ、体重の低下が生じます。しかし、やや小さく生まれても生後の成長で取り戻せる程度ですので、過度な心配は不要です。


(2)妊娠中の再発の頻度と治療:

「妊娠前の長期での多発性硬化症の活動性が平均的、あるいはそれ以下の方」
ほとんどの方では妊娠が判明すれば直ちに治療を中止し無治療で経過を見ます。妊娠中の再発は自身の経験を整理、計算できていませんが、ほとんどありません。

「妊娠前の長期での活動性が特に高い方」
 こうした方は10人に1人程度存在しますが、無治療では2、3人に1人で、主に妊娠の前半に、再発を経験します。
私は活動性が特に高いと判断するとタイサブリ治療を妊娠中も継続します。 
 その場合も、ほとんどの方では出産8週前にはタイサブリを中断しますが、稀に中断なく出産後まで継続します。こうした方法では再発を経験したことはありません。
 グラチラマー酢酸(コパキソン)も妊娠中に利用することが可能です。効果が低いので私は利用しません。


(3)多発性硬化症の再発の自己判定法:
このホームページのトップページの contents欄にある「症状と再発の自己判定法」をお読みください。多発性硬化症の再発症状は24時間以上、通常は数日は持続します。貴女の症状は再発症状ではありませんが、記載の内容だけでは何であったのか判定はできません。
タイサブリの効果は最後の点滴から8週間程度で無くなります。しかし、妊娠中、特に後半には、胎盤から出る物質が治療効果があり再発が減少すると考えられています。


Q(MOG-33) 言葉の言い間違い、性格の変化などは再発の症状なのか?ねえさん   2020.5.9-7:47
10才、男子、千葉県在住の母です。抗MOG抗体疾患と診断されています。

2018年10月、9才、
運動中に足が一瞬動かなくなる。何秒か後にすぐ消えた。
その後頻繁に頭痛を訴えていたので脳のCTを撮るが異常なし。
2019年3月
頭痛、発熱、寝てばかりが続き病院を受診するが風邪と診断。
心配になり、大きな病院に行き、再度脳のCTを撮るが異常なし。
3日後に重篤痙攣をおこし入院。てんかんと診断をうけ、イーケプラを飲み始める。その薬を飲み始めてから性格が変わる。怒りやすくなる。
薬の副作用かと思い1週間様子見るが、錯誤出現、視力低下、排尿異常があった為病院受診。そのまま緊急入院。
MRIに病巣は今までなし(?)。
抗アクアポリン4抗体は陰性。

質問:
今までも時々言葉のいい間違えがあったのですが、最近増えているのが気になっています。他に症状はないです。
再発の症状でしょうか?
MRIで左頭頂〜後頭葉の皮質血流の低下があると言われていたのですが、それと関係はあるのでしょうか?後遺症なのかとも思ったり?
退院後、一度もMRI、抗MOG抗体検査は受けていません。
よろしくお願い致します。

治療:
ステロイドパルス療法1クールで視力以外の症状はすぐに改善。
その後ステロイドパルス療法を2クールで視力も徐々に改善。
献血ヴェノグブリン点滴も受けた。7月に退院。後遺症なし。
2019年5月よりプレドニン30mgからスタートし、現在7mg。
抗てんかん薬イーケプラ服用中。
抗MOG抗体(関連)疾患(MOG脳脊髄炎)では大脳の皮質(表面を覆う神経細胞が層状に配列された組織)に病巣が出現することも多く、神経細胞の異常興奮の結果として「てんかん」症状が珍しくありません。「てんかん」は病巣の部位により様々な症状や頭痛を呈します。記載されている症状は「てんかん」の症状である可能性が高いと考えます。
イーケプラを開始した頃から性格の変化があったとのことですが、てんかんの症状として性格が変わることがあります。薬の副作用ではないでしょう。薬が足りないため起きている可能性があります。

新しい活動性の大脳病巣が出現している可能性と古い病巣による後遺症症状としての「てんかん」である可能性の両方があります。造影MRI、脳波と必要なら髄液検査で脳炎の活動性を丁寧に評価することが必要です。
抗MOG抗体の測定はするべきですが、結果が出るのに時間がかかりますし、長期的には有用ですが緊急には役立ちません。

もし脳炎の活動性が確認されるなら、免疫療法を強化、あるいは変更するべきです。
てんかんの活動性が確認されるなら抗てんかん薬を増やすか、追加変更をするべきです。

Q(MS-368) 多発性硬化症の海外での治療に関してA   2020.5.7-12:06
主人が多発性硬化症の疑いがあると診断されています。主人は28歳男性、タイ・バンコク在住です。

1週間前頃から脚の痺れを感じ、昨日バンコク市内の日系病院にてMSでほぼ間違いないと診断されました。MRIでは、脊髄に1か所のみ病巣が見つかっており、脳MRIも行いましたがこちらは異常なしと診断されています。抗アクアポリン4抗体は不明。 
現在は病院にてステロイドの点滴を受けており、明日退院予定です。
MS再発進行防止薬の使用不使用は不明。
医師からは早期発見早期治療のため、再発の可能性も低いだろうと言われています。

自分なりにMSに関して調べてみたところ、日本人には珍しい病気であり、そのため治療薬も認可されているものが少ないという記事を読みました。
しかし、どれもインターネット上の情報なので信ぴょう性に欠けると思ったため、今回こちらにお問い合わせさせていただきます。

質問:
上記の情報が正しい場合、このままタイ・バンコクで治療を受けていたほうが日本よりも幅広い治療方法・治療薬の使用が可能なのでしょうか?
バンコクで仕事をしているため、できればこのままバンコクで治療を受けたいのですが、体が第一なので日本のほうが治療に適しているのであれば日本への帰国も考えたほうがいいのではと悩んでいます。
また、もしタイにてMS専門の病院、MSに特化した病院をご存じでしたら教えて頂けると幸いです。
よろしくお願いいたします。
日本とタイでの治療薬選択肢の多さの比較は?:
現在のタイで利用可能な薬剤の数を知りません。形式的には日本とほぼ同様か、やや多いだろうと推測します。しかし、日本のように難病制度により医療費が大きく減免される制度は無いか不十分なのではないでしょうか。
多発性硬化症患者数は日本がはるかに多く、治療を受けている患者数、医師の治療経験も日本がはるかに多いです。私は一人で約1000人を治療していますが、タイ国内で長期治療を受けている患者の総数はそれよりかなり少ないと思います。

診断の正確さについて:
もし多発性硬化症であるとするとclinically isolated syndrome (CIS)、即ち初発で再発がまだ無い時期ということになります。この時期に正確に診断を確定するには、専門的知識と経験が必要です。通常は2回目の再発があって初めて診断がほぼ確定となります。CISであれば、どのような根拠で、多発性硬化症である可能性、確率がどの程度か、が問題となります。

現在の治療について:
ステロイドの点滴は再発進行防止の治療ではありません。本格的治療が開始されたのか、されているなら何が採用されているのかが不明です。
もし多発性硬化症の初発であると確定できるなら、早急に有効性の高い再発進行防止治療を開始するべきです。現在の担当医は脳神経内科Neurologyの専門医だろうと推測しますが、どの治療薬を選択している、あるいは選択を勧めておられるのでしょうか? 早期発見しても治療の選択によっては、再発を抑制できるとは限りません。
また、現在のタイにおける保険で、選択可能な薬は何と何なのでしょうか?
それにより、方針が大きく影響されます。

日本の健康保険利用が可能でしょうか?:
日本に住民票がなければ健康保険利用や難病申請ができませんので、高価な多発性硬化症治療薬を長期に利用することは難しいでしょう。日本での診断確定、相談のみなら、それほど高価ではないでしょう。
私の東南アジア在住の患者さんは、住民票を日本に残したり、移したりして、年に2回程度帰国して日本の治療を受けておられ方が多いです。

タイの専門病院は?:
バンコックには専門病院は有りませんが、多発性硬化症学会に所属し、かなり専門的に診療しておられる医師がおられます。必要なら本人から私へ電話する(81-90-2287-1021)か、このHPへメールしてください。

Q(MS-367) MS疑い  多発性硬化症疑い時のフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)とステロイドパルス同時治療開始は正しいか?ごりちゃん   2020.4.9-12:26
47歳、男性、神奈川県在住です。

診断が、当初はMS疑い、次いで視神経脊髄炎疑い、現在はMSを強く疑うと変化しました。
脊髄MRIに2.7椎体長の長さの病巣あり。脳MRIにも影あり。病巣は2個ほどで、最近少し別の所にも影あり。
眼科での検査でも異常なしでした。ウートフ現象なし、しゃっくりなどもなし。
抗アクアポリン4抗体はELISA, CBA共に陰性。抗MOG抗体陰性。

【お伺いしたいこと】
今後の治療:
プレドニンは20mgまで引き続き減らしながら服用している。
来週再入院してイムセラ投与、ステロイドパルスを行う予定です。
ステロイドパルス点滴とフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)の同時治療は、
免疫抑制が強く、また「限りなくMSであるが確定でない」場合にも投与開始をしても良いのでしょうか。
視神経脊髄炎でも抗アクアポリンが陰性となる事もこちらで知りました。
今、コロナウィルスの事もありこの治療で良いのか不安があります。
どうぞ宜しくお願い致します。

【病歴】
2019年
10月から両足裏痺れあり
12月歩行障害発症
   ステロイドパルス治療 2クール
   歩行が可能となり退院、プレドニン服薬開始
以前のバイク事故右肩脱臼。当時の主治医の判断で手術はしておらず
パルスから脱臼した所が痛みだし今も治まらず。
リリカ、テグレトール、トラムセットなどの対処療法薬は効果なく、倦怠感がひどく現在は中止。痛みにはノイロトロピンを処方。
2020年
2月、再度右足の痙縮で歩行困難(車いす)、右手指痺れ発症
ステロイドパルス 1クール後、血漿交換療法6回
車椅子→杖歩行可能で退院
4月、 現在、右手右足麻痺、首に触れるだけで痛みあり、排尿・排泄困難。
歩行は杖と家人が支えて何とか進める状態。自立歩行は不可。

検査所見:
脊髄MRIに2.7椎体の長さの病巣あり。
脳MRIにも影あり。病巣は2個ほどで、最近少し別の所にも影あり。
抗アクアポリン4抗体はELISA, CBA共に陰性
抗MOG抗体陰性
悪性リンパ腫等の疑いも陰性。

診断の推移:
(1)当初はMS的判断、しかし→
(2)脊髄病巣が2.7椎体長と長い事もありNMO的疑いに切り替え、血漿交換するも効果はほぼなく。(蛋白の炎症は抑えられたそうです。)
主治医の先生としてはNMOの疑いが否めないまま、髄液やMRIの検査を続けていましたがアクアポリン4は陰性のままである事
(3)また今回、放射線科の先生が変わり、共に画像を改めて診断した所、MS的所見が高度と判断。

(1)診断がMSで間違い無い場合
フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)を開始するのは少しでも早い方が良いでしょう。
一方、ステロイドパルス点滴を実施するのは、最近、通常は1月以内に新病巣がでて増悪があった場合ですが、1、2クールのパルスを追加することは、それほど危険なことではありません。
MSの長期再発防止治療とパルスを同時に開始することは、最近の再発があった場合には、私は実施しており、問題があった経験は一度もありません。ただ、MSでは経口ステロイドは開始から1月程度で中止します。NMOでは長期に服用することもあります。

(2)MSではなく抗アクアポリン4抗体陰性NMOsdである場合
フィンゴリモドは無効で、むしろ増悪させる可能性があります。
治療方針の決定には、正確な診断が前提です。診断に重要なポイントを良く整理して記載しておられます。抗アクアポリン4抗体と抗MOG抗体が共に陰性です。次いで診断に重要なポイントは脊髄MRI所見です。MSで2椎体以上の長さの病巣が急性に出現することは稀です。特に横断像(axial view)で、主に中心部に局在する病巣が2.5椎体以上連続している病巣が急性に出現した例は、私の1000人以上のMSの中に存在しません。
脳MRIでの区別は絶対的なものではありませんが、ステロイドを大量に利用している時に脳に新病巣が出現することはNMOでは経験しません。


Q(MS-366) 降圧剤投与は可能?勤務医T/O   2020.3.19-20:44
現在、MSの患者様で高血圧を合併しておられます降圧剤でアムロジンやARB投与可能ですか?投与時の注意点ありますか、ご教授下さい。整形外科勤務医より、
MS患者様の降圧剤服用に問題はありません。
フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)服用の初日にのみ、1分に15程度の一過性の徐脈、時に軽度AVブロックが生じることがあります。このためβブロッカー服用、不整脈薬服用者では注意を要することがあります。


Q(MOG-32) 再発を繰り返しているので、その後の対応について笑顔S.   2020.3.19-18:38
12歳、女子の親、東京都在住。抗MOG抗体関連疾患。

プレドニン10mgぐらいで再発を繰り返している事から、免疫抑制剤を併用していくとのことで、アゼチオプリンを提案されているのですが、以前こちらのサイトの質問の中で、タクロリムスの方が安全で先生はそちらをすすめるとあったので、その違いについて教えて頂きたいと思いました。
また、主治医の先生は、年に数回の再発は起こるだろうと言われていますが、どうにかそれを避ける手立てはありませんでしょうか、ご教示頂きたく存じます。よろしくお願い致します。

病歴:
2019年
7月中旬から、発熱と頭痛があり、7月末に、急に目の見えづらさを訴え、大学病院を受診。MRI、髄液検査を受け、急性散在性脳脊髄炎と診断。
ステロイドパルス3クール、免疫グロブリンを投与。その後、ステロイド20mgまで減量して9/6退院。通院しながら10/2に10mgに減量。
10月15日、傾眠が強くなり、再入院。
ステロイドパルス1クールと免疫グロブリンを投与して、血漿交換を3回。さらにステロイドパルス1クール。右手右足に感覚障害(鉛筆が握れないなど)あり。リハビリを経て改善。4カ月かけてステロイドを減量。
2020年
2/4から10mg、2/10に退院。2/19から5mgに減量。
2/24目が見えづらくなり、頭痛の後、痙攣。再々入院後、60mgに増量。3/6に専門の医療機関へ転院。転院後、抗MOG抗体関連疾患と診断される。
現在、歩行障害などは無い。視力低下。中心暗点あり。 
プレドニン40mg内服中。

私のMOG脳脊髄炎の方約40人の治療経験では、タクロリムスを適正に利用すれば非常に有効で安全です。95%の方ではプレドニンは不要で、再発を経験することはありません。1名のみ再発が時にあったため、アクテムラを利用に変更した後は約3年間安定しています。
再発が避けられないというのは間違いです。

アザチオプリン(イムラン)も一定程度有効ですが、欠点は効果発現に数月〜半年かかること、遺伝的に効果不足の方があること、白血球減少や肝障害リスクが若干あること、遺伝子DNAに作用するので副作用が中止後も持続しうることなどです。併用薬に一定の注意が必要です。

タクロリムス(プログラフ)は DNAには作用せず、血中濃度を測定して効果と副作用のリスクを管理することが可能であり、効果と安全性が高いです。
効果発現が早く、迅速にステロイド(プレドニン)を漸減中止できる方がほとんどです。血中濃度を利用し管理する方法には一定の知識、経験が必要です。安全性の最大の問題は時に腎機能の低下があり得ることで、高齢者など腎機能低下がある方では利用しにくいですが、中止により改善します。
副作用として種々上がっていますが、(1)ほとんどはプレドニンやアザチオプリンなどを併用しており、他剤の副作用を間違って記載していることと、(2)移植などでは高用量を利用しているために生じたものです。適正な血中濃度を維持している方では経験しません。


Q(MS/NMOsd-34) 新型コロナウィルスへの対策は? タクロリムス(プログラフ)服用中。タロ母   2020.3.18-22:50
55歳、女性、千葉県在住。お世話になります。

免疫抑制剤を使っている人は新型コロナウィルスに感染すると重篤化しやすい等と最近聞いて不安になっています。
プログラフを服用していますが、この場合、どのくらい危険なのでしょうか?
また、どのように、どのくらい気をつけるべきなのでしょうか?教えてください。よろしくお願いいたします。

2015年に発病し、左眼は部分的に全く見えないところがある。
2015年からプログラフ3mg (+グレープフルーツジュース30cc)服用。他、エディロール0.75μg/日 服用で普通に生活できております。

タクロリムス(プログラフ)を利用していると、新型コロナウイルス感染にどのくらい罹り易くなるか、重症化し易いのかについて、明確な答えは、現時点ではありません。
「基礎疾患」のある方はリスクが高くなるとも言われていますが、全ての疾患ではありません。MSやNMOのみがある方であれば、疾患そのものでリスクが高くなることはありません。ただ、NMOの方の一部では他の自己免疫疾患を合併していることがあり個別の評価が必要です。

新型コロナウイルス感染症の世界的増加で不安な毎日をお送りのことと思います。私も含め、全ての人が十分な注意をするべきだと考え、用心した行動をしています。感染保菌者の半数以上が無症状であり、すでに日本でも広がりつつあり、今後、爆発的に感染が広がる可能性があります。
新型コロナウイルス感染者数と死亡者数には国により発表数に大きな差があり、死亡者数の多い国の報告は不正確と推定されます。感染者数は症状の無い方での検査数に大きく依存し、日本での検査は不足しています。ドイツでは感染者が2万人に死亡が68人、300人に1人の死亡であるのに対し、日本は993人に死亡が33人、30人に1人で10倍の差があり、説明が困難です。いずれでも死亡はおそらくあまり間違いが無いので、ドイツがより正確に把握しており、日本では実際は軽症者、無症状者が多く、検査を受けずに潜在化していると言えます。重要なことは多数の重症者が同時に出るとイタリアのように対応不能となり、死亡が多数となります。一人一人の感染防御の行動が重要です。

洗剤を用いた手洗いの反復励行、アルコールやサニタイザーなどで手等を消毒する、外出先や交通機関ではできるだけ物に手を触れない、同居家族以外と会話する時には1m以上離れマスク着用する、発熱者、咳をする方を避ける、ドアの取っ手やテーブルなどを中性除菌洗剤で拭くなどを励行するべきです。マスクは洗剤で洗濯して再利用が可能です。
 
「免疫抑制剤」を利用している方は一般論として感染症に罹りやすく、重症化し易い可能性があると言えます。ただ「免疫抑制剤」にも各種あり、感染症防御に関する免疫を抑制する程度にも色々あり、「免疫抑制剤」に分類するべきかどうかが微妙な薬剤もあります。

貴方の利用しているタクロリムス(プログラフ)では感染症一般が増加するという明確な証拠はありませんが、一部の感染症が増加している、重症化が疑われる報告があり、未だ経験はありませんが新型コロナウイルスによるリスク増加の可能性は否定できません。
しかし、私は約300人以上の視神経脊髄炎NMO患者さんにタクロリムスを飲んで頂いております。ほとんどの方ではプレドニンの服用を中止しています。そうした方では、これまでは一部の方に感染症を経験しますが、一般の方より特に感染症が増えているという経験はこれまではありません。

一方、プレドニンを5mg以上服用している方では種々の感染症が増える、重症化しやすいという明確なデータがあります。アザチオプリン(イムラン)、シクロフォスファミド(エンドキサン)などでは感染の増加が生じるデータがあります。

多発性硬化症に利用される薬剤ではフィンゴリモド(ジレニア)、ジメチルフマレート(テクフィデラ)では感染し易かったり、重症化し易いと断定はできませんが、可能性を否定できません。インターフェロン、コパキソン、ナタリズマブ (タイサブリ)ではそうした可能性は考えられません。いずれにしても、上記のような自己防衛の注意をお願いします。


Q(MS/NMOsd-33) MS/NMOの疑い プレドニン治療を辞めたいが、大丈夫か?大ママ612   2020.3.9-12:14
52歳、女性、滋賀県在住。

2006年発病。再発は10年前の1度だけで、MRIで脊髄に3椎体以上の長い病巣が確認された。頭部MRIは病巣認めず ( 発症から単純で4回程撮影)。
急激な症状の悪化はその後ありません。
抗アクアポリン4抗体陰性(2010年)。ステロイドを2ヶ月服用してから検査しました。10年程前に25000円の実費でしたので精度は、不明です。服薬や精度によって変わるのであれは、再検査を希望します。
2010年に「多発性硬化症の診断とNMOの疑い」と言われた。

現在の症状は疲労感、視力低下0.1〜0.2、軽度の筋力低下、痛み、振戦、認知機能や情報処理能力の低下等があり、全体的にスローな感じです。ウートフ兆候や有痛性強直性痙攣も時々あります。
色々な症状は、年齢や精神的なところもあるのでしょうか?
ステロイドを長く使うのが不安で、治療を辞めたい旨を何度か主治医に伝えましたが、プレドニン5ミリは安全だからと言われます。
主治医は、頻回の検査や、免疫抑制剤を使用する程ではないとお考えのようです。私自身も経済的に余裕もなく、通院自体を辞めたいと思っています。
本当に治療が必要なのか、再検査をして判断したいと考えています。
新型コロナが落ちついた頃に、京都で診察と検査を考えています。
一連の検査に入院は、必要でしょうか?又、主治医にはその旨を、伝えなくても大丈夫でしょうか?

これまでの病歴:
2006年、複視、視神経炎。自己免疫疾患の可能性ありと言われる。
パルス2クール施行。その時は、良くなって杖歩行と言われましたが、今は独歩で仕事もしています。
抗MOG抗体陰性(2018年)。
プレドニンを初発から50ミリ服用。減量し治療しない時期もありましたが、今は5ミリを2年近く服用しています。
昨年末から、微熱、倦怠感や筋肉痛、視力低下が1ヶ月以上続き、時々メイラックスを服用しています。数ヶ月単位で症状が出ます。
主治医にお伝えしても、安定剤や痛み止めの処方を提案されます。
ADLに問題なければ、ステロイドを増やしたくない為、あまり言えません。
又、今までに造影剤は、1度も使用した事がありません。
MRI検査も1年以上していません。造影剤を使用したMRI検査は必要でしょうか?質問ばかりで、申し訳ありませんがよろしくお願いします。

(1)診断は正しいか?
 文面の記載通りであれば貴方の疾患は「抗アクアポリン4抗体陰性視神経脊髄炎」だと思われます。脊髄MRIでの長い病巣が確認されたことが重要です。書面での診断であり、診察で確認する必要がありますが。
担当の先生から「多発性硬化症の診断とNMOの疑い」との診断がされているとのことですが、こうした診断はあり得ません。貴女の誤解である可能性がありますが。多発性硬化症と視神経脊髄炎NMOは異なる別疾患であり、明確に区別し、異なった治療が必要です。区別は可能です。疑いのままで長期に治療を続けることは危険です。

(2)抗アクアポリン4抗体測定の正確さは?ステロイドの影響は?
 2万円を支払った検査は精度の高いcell-based assayです。ステロイド使用の影響を心配する必要はないでしょう。

(3)造影MRIは必要か?
 NMOでは再発があった時には造影MRIが重要ですが、10年間、再発が無かったのですから、造影MRIを現時点で改めて撮影する意味は、ほとんど有りません。

(4)色々な症状は、年齢や精神的なところもあるのでしょうか?
 これは診察をした医師しか判定できません。

(5)プレドニン5mgの安全性は?
 5mgないしそれ以上のプレドニンを長く継続していると感染症の増加やその他の様々な副作用が出現することが判明しています。5mgは境界線です。それ以下でも完全に安全とは言えません。

(6)治療中止は正しいか?今後の正しい治療は?
 プレドニンは副作用がありますが、NMOには有効です。治療により再発が無かった可能性が高いと言えます。より安全で有効な治療に変更することをお勧めします。3月に1度の診察と処方ですし、難病として認定されれば経済負担は僅かであるはずです。
必要なら経済的相談に乗ります。

(7)診察には紹介状が必要か?
 紹介状は診察、診断、治療に絶対的に必要なものではありません。必要なら、貴方の許可を得て、現在の先生へ依頼することも可能です。


Q(MS-365) フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)でリンパ球数低下し、治療を中断しているが、大丈夫か?おとく。   2020.2.29-2:02
38歳 女性 鳥取県在住。久しぶりに質問させてもらいます。いつもお世話になっております。

8年前に多発性硬化症発症。
8年間イムセラを服用していたため、数年前から白血球やリンパ球の数値がかなり低かったのですが、先月、主治医からリンパ球が低すぎるからイムセラを止めないとまずいと言われ、先月から服用ストップしました。その時に何か他の薬は飲まなくてもいいですか?と質問したのですが、とりあえず数値が上がるまで待つしかないと言われて、何も服用しないまま過ごしております。
このまま何も服用しないまま放置しても大丈夫でしょうか?リンパ球が戻るのに例えば、半年とかそれ以上かかった場合、その間何も服用しないままでいても大丈夫なものですか?
何かいい方法がありましたら宜しくお願いします。

(1)リンパ球数低下での服薬中止について: 
同様のご質問は過去に何度もあり、返答の一部はこのホームページのトップページの左端やや下方にある『テーマ別QA』の冒頭『MSの診断・治療』の中の、『II治療』の中の、『フィンゴリモドと感染症』や『フィンゴリモドの副作用』の中の『フィンゴリモド内服に伴う副作用について 』や『フィンゴリモド使用中のリンパ球数』などに記載してあります。検査数値が分からず一般論で返答します。

ジレニアの多数例での世界的治験が3回行われ、2年から4年間追跡され、服用中のリンパ球数と感染症の頻度の関係が詳しく調べられました。いずれの場合でもジレニア服用群と偽薬服用群で感染症の頻度に全く差が無く、またリンパ球の減少は感染症の増加に関係していませんでした。即ち、リンパ球数が強く減少していても感染症一般の増加は認められませんでした。 我々はこうした結果が発表された最初の使用認可時、約2011年12月以後に、リンパ球数が減少しても、服薬を中断したり、減量しないで、注意をしつつ治療を継続してきました。これまで600人近くの方に服薬して頂き、リンパ球数が減少している方では、特に注意を払って感染症の増加が起きていないか、調べてきました。しかし、感染の増加は認めていません。リンパ球が200を切ることが反復しても、同様です。

一方、薬の添付文章には現在も11年前の治験開始時の注意喚起と減量の指示が残されています。担当の先生はその指示に従っておられるのでしょう。しかし、リンパ球数の増減とは関係なく帯状ヘルペスなど一部の感染症が増加している可能性は否定できません。注意が不要と言っているわけではありません。


(2)フィンゴリモド治療を中止し無治療でリンパ球増加を待っているので良いのか?
リンパ球数の低下とMS再発抑制効果には関連がありません。リンパ球数が低くても、治療を中断しますと、その期間の長さに関連して、再発の危険性が高まります。例えリンパ球数が低くても、直ぐに次の治療を開始するべきです。そうした危険性の高まりについては我々が日本神経学会総会で発表しています。


Q(MS-364) 脳MRIだけでMSと確定されるでしょうか?たんまみーや   2020.2.26-6:58
45歳、女性、奈良県在住

色んな検査をして、脳MRIだけで多発性硬化症と確定されるものでしょうか?髄液検査など他の検査では異常なしです。本当にMSでしょうか。他の病気の可能性はないですか?

2020年1月末発症。
経過は、鎮痛剤を服用しても治らないことや右手の痺れが続き、近くの脳神経外科クリニック受診。MRI撮影で脳梗塞が起こっていたという診断。血液サラサラにする薬を服用して2週間後に再撮影をして様子を見ることになり帰宅。翌日、朝食の一口目を口にした瞬間、左側の舌や口の中に痺れが出た。翌日、右足の冷たい感覚がないことや、左顔面の痺れが続いていたことから再度、同病院を受診し、大きな病院への紹介状を書いていただいた。
大きな病院では、MRI、血液検査、心電図、誘発電位検査、髄液検査をした。MRIは、脊髄、腰を撮影したが病巣なし。
造影剤を使った脳MRIでは病巣が一つ見つかり、他の検査は異常なし。医師より脳梗塞ではなく多発性硬化症を疑っていると告げられ、ステロイド点滴を5日間うけた。

その後の造影剤MRIでは病巣が2つになっており、痺れなどの症状に変化なし。めまい、ふらつき、吐き気、食欲不振がある。
1週間あけて、再度ステロイド点滴を5日間うけた。
その後の造影剤を使った脳MRIでは病巣が一つになり、少しだが小さくなっているように見えるので、再発予防の投薬治療に切り替えると言われた。本日よりテクフィデラ120ミリを朝晩一錠ずつ服用予定。抗アクアポリン4抗体は検査しているかわかりません。

因みに治療していませんが(ドクターより無症状なのでまだ治療しなくていいと言われています)甲状腺ホルモン値が低いのが10年ほど前からあります。
この先、副作用や再発のことを考えると不安になりますが、本当にMSなのか。ということが気になります。ご回答、よろしくお願いします。

多発性硬化症MSの診断にMRIは重要であり、特徴的な所見が揃っている時には、MRIが決定的な役割を果たすことがあります。症状や経過がMSらしいものであることも必要です。同時に、似たような症状や、経過、MRI所見を呈しうる他の疾患ではないことを確認することも必要です。

MRIの所見の経過につき書いておられることはMSであることに矛盾はしませんが、どれだけMSらしさがあるのかは、文面では分かりません。
もし、MSの確実さを判定してもらいたいのであれば、一度電話をして受診をしてください。


Q(MS-363) MS疑いまる   2020.2.15-14:16
24歳、女性、茨城県在住、MS疑い、娘の母から。

2019年11月 右視神経炎になりステロイドパルス3クール治療しました。
誘発電位検査は視神経のみに異常。脳MRIでかなり小さな点状のものが3つありました。視力はパルスにより回復しました。現在症状なし。
入院中の髄液検査でオリゴクローナルバンド陽性、細胞数正常と聞いています。血液検査にて抗アクアポリン陰性。
2020年1月、追加検査で脊髄MRI実施、病巣なし。
再度髄液検査をして抗アクアポリン陰性でした。I g Gインデックスやエミリン塩基性蛋白などは正常値。
脳病巣があまりに小さいのでMS診断確定には至らず、このままで1年後のMRIでいいとのことです。

MS治療を始めなくても大丈夫なのでしょうか?今後どうすることが望ましいのか不安や心配で過ごしている日々です。
ちなみに視神経炎になった3日前にインフルエンザ予防接種をやりました。その因果関係はないと主治医には言われました。
斎田先生に一度診ていただきたいと思っているのが今の希望です。
回答に不備があり、修正しました。

視神経炎で初発し、脳に小さな点病巣が3個あり、髄液オリゴクローナルバンド陽性だが未だ再発は無い、とのことです。多発性硬化症の初発である可能性が非常に高いと言えます。
ただ、脳の病巣がかなり小さいのが3個とのことです。脳病巣が3個有るなら、MSとしての治療を開始した方が良いとされていますが、無視する方が良い程度なのか、小さくともMSらしさが有るのか、文面だけでは判定できません。
現在のMS治療薬は非常に安全であり、効果も比較的高く、経口薬ですので利便性も高いものが有りますので、治療を躊躇する理由は有りません。ただ3割負担ではかなり高価ですので、特定疾患として認定される必要があるでしょう。

MRIでの追跡が重要ですが、初期ですので、出来れば3、4月後、遅くとも6月後にはMRIをとるべきでしょう。その後は半年か、1年に一度で良いかもしれません。

インフルエンザワクチンの影響は、研究では否定されています。

Q(NMOsd-62) 慢性的な背中の痛みはNMO症状か?RS   2020.2.9-13:31
30歳、女性、兵庫県在住、NMO

発症後、慢性的な背中の痛みに悩んでいます。
サインバルタやトラムセット、ロキソニンの湿布で多少マシにはなりますが、完全になくなることはありません。
主治医にはNMOでそういう症状は聞いたことがないと言われましたが、NMOによる症状ではないのでしょうか?
また、痛みが長期間続くと痛みを取り除くのが難しくなると聞いたことがあるのですが、本当でしょうか?
ほかに痛み止めの薬があれば教えていただきたいです。

病歴:
2019年発症、現在の症状は背中の痛み、帯状絞扼感
治療は、プレドニン5mg、プレドニゾロン4mg、タクロリムス2mg、リリカ100mg、サインバルタ20mg、トラムセット
抗アクアポリン4抗体陽性;脊髄MRIで3椎体以上の長さの病巣が出現した
MRI脳病巣なし。
慢性の痛みはNMOの特徴的症状の一つであり、非常に多い症状です。
ほぼ常時継続する不快な痛みが多いのですが、シビレ感、ジンジン感、熱感、圧迫感、物がくっ付いたような異常な感覚などと混在することも多い。時々電気が流れるような痛みを伴うこともある。
脊髄の感覚神経経路に病巣があることが原因ですが、MRIでその病巣が見えないことも多いです。

痛みが6月以上の長期期間継続すると慢性疼痛化し、治療抵抗性となり治らなくなることが知られています。

痛み止め薬にはリリカ、タリージェ、サインバルタ、トラムセット、トアラセット、ワントラム、ガバペン、デュロテップ、ラミクタール、テグレトール、立効散、疎経活血湯などがあります。

Q(MS-362) MS疑い ドックで脳病巣13個を指摘された。チビ   2020.1.10-17:32
38歳、女性、北海道在住。
2019年11月6日に脳外科にて脳ドックを受け、白いモヤ(病巣)が13個あると言われ地元の総合病院にて紹介状を出され診察を行いました。また2月10日に脳のMRIを撮ります。

偏頭痛、神経痛(下肢)、全身の痒みなどの症状を言いましたが、病院側では多発性硬化症とまだ断定出来ないと言われ、症状が出たら病院に来てくださいと言われました。
病巣は13個あるのに処置もなく帰され、それまでに手を打つ事もありませんでした。
2月のMRIでセカンドオピニオンで札幌の病院を紹介してもらう予定ですが、疑いと言われ何の対応もないまま症状が出るまで放置されるのでしょうか?
セカンドオピニオンで紹介してもらうのは良いのでしょうか?
色々と不安のまま過ごしています。
よろしくお願いします。
25歳時に強迫性障害、子宮内膜症を患ってます。

13個の病巣が偶然に見つかったとのことですが、偏頭痛があるとのことですので、偏頭痛に伴うMRI白質変化の可能性があります。

他にも様々な理由で病巣が見つかることもあり、多発性硬化症を含め、慎重に調べる必要があります。適切な専門医に判定をしていただくべきです。

治療の必要性は、医師に質問すれば答えていただけるはずです。

Q(NMOsd-61) 良性とされた卵巣嚢腫がありますHK   2019.12.28-8:43
32、女性、東京都在住。2019年9月下旬に入野病院に参りました。そのあと
地元の病院へ拠点を移し、最近、CBA法でアクアポリン陽性が判明しました。

質問(1)
婦人科で、良性とされる10cmの卵巣嚢腫が見つかり、手術も考えていますが、
気をつけるべき事を知りたいです。
(視神経脊髄炎の治療はしなくていいとされていますが、自分はこれから何人かの医師やソーシャルワーカーと相談して方針を考えていきたいのです。
卵巣の手術をするかしないかも、これから決めるのですが、ここでご意見をお聞きしたいです)

(2)
CBA法でアクアポリン抗体が陽性と出ましたが、具体的な数値は検出しない方法なのでしょうか?地元の病院でいただいた結果用紙に、陽性とあったが、数値は記載がありませんでした。(エライザ法は陰性)

病歴:
NMO、2017年頃発症。

両目、視神経炎だと地元の病院で診断を受けました。視野検査ではほんのわずかの視野欠損があります。
2015年頃までは22km歩けたが、2019年には、1km歩くのも苦痛になった。
日によって調子が違い、1日中寝転んで休むしかない日もあれば、
バスと電車とタクシーで小旅行ができる時もある。杖と車椅子の使用はなし。

2019年の10月頃、1度、地元の病院で脊髄のMRIをしたが、病巣は無い。 
脳MRIでは2つ、小さな病巣があると入野病院で言われました。
現在、未治療。これから治療を模索中です。
(1) 手術で気をつけるべきこと
手術が必要なら受けることができます。視神経脊髄炎であるからという理由で特に注意するべき事はありません。

(2) CBA法での抗体価の表記
陽性、陰性判定しか実施していない可能性が高いと思われますが、問い合わせれば返答があるはずです。ただし、あまり数値を気にする必要はありません。治療方針に影響はほとんどありません。

(3) 治療は不要か?
有効で副作用の可能性の低い治療がありますので、開始するべきです。現在まで無治療で再発が起きていないから、多分大丈夫だろうと考えることは危険です。

お願い:
一度、090-2287-1021 斎田へ電話連絡をください。当方のデータベースに結果の記録を追加したいのですが、お名前を確認できませんでしたので。治療についても、必要なら相談にのります。


Q(MS-316) 舌が痺れる感じがするりー   2019.12.26-0:20
18歳/女、北海道在住。2015年発症MS。

舌の左側が痺れている感じがします。この舌の痺れは多発性硬化症に関係するものなのでしょうか??

再発寛解型と言われていますが、いつも左側の方が症状が強いです。
再発頻度的には一年に一度再発をしています。
主な症状は手や足の指先の痺れ、平衡感覚が掴めなくなるなどです。
首を前に傾けた時に指先に痺れが走ります。MRIでも以前と変わっていなく、痺れ止めも試したが効果なし。まだ、歩行障害なし。
2016年から1年間ベタフェロンを使用し2017年からテクフィデラを服用中

MSによる後遺症症状の可能性が高いです。
MSの初発や再発の時に舌に感覚鈍麻やシビレ感が出現し、その後継続している、あるいは一度消えたが、時々出現するのであれば、確実にMSによると言えます。
症状を出す原因の病巣は延髄か頸髄の上部にあるはずですが、MRIでは見えないこともよくあります。

Q(MS-315) グラチラマ酢酸(コパキソン)治療中の授乳は安全?K   2019.12.13-2:38
31歳、女性、石川県在住。

現在2人目妊娠37週です。妊娠前の2018.9からコパキソンを使用しています。
病院で妊娠希望と伝えた上でのコパキソン使用と妊娠です。現在もコパキソンは継続して使用しています。妊娠中、体調の変化等はありません。胎児もエコー検査では今のところ異常等スクリーニング検査でもなにもありません。

MS自体が妊娠中には落ち着くと聞いていますが、産後に再発の可能性があると言う事で、産後の授乳について悩んでいます。
複数の薬剤師の方に調べてもらい、海外の情報も見ていただきましたが、皆さんが同じような回答として、成分的には体に入るとアミノ酸等に変わって害が無いだろう。母乳に移行しない成分・分子の大きさでは無いのか。あとは、授乳中のコパキソン使用という症例が少なすぎるため、わからない。問題は無さそうだが、最終決定は自己判断。ということが言われています。
もう2週間ほどで出産ですが、希望としては授乳したい。しかし、授乳をするとなったときにはコパキソンを中止するのか?中止の場合いつまで止めるのか、しかし再発するとステロイドパルスしか治療出来ない。しかし、発作の間隔的には頻発では無いため、前回の産後は1年半以上後におきましたが、産後の胆石の手術の影響(1年2ヶ月の授乳)からの3ヶ月後の発作で、断乳後に病巣が発生しました。
前回の出産後には、子供のミルクアレルギーが発覚して、止むを得ず授乳を継続しました。また今回もミルクアレルギーなど乳児に授乳せざるを得ない状況だった場合どうするか、ずっと悩んでいます。コパキソンを使用しながらの授乳の乳児へのどのようなリスクがあるのかわからないため、質問させていただきます。
*コパキソン中止での授乳をする
*コパキソン継続での授乳をする
*コパキソン継続での完全ミルクにする
回答としては、コパキソン継続での完全ミルクが正解かもしれませんが、止むを得ずの場合どうしたらいいのか、助言して頂けると幸いです。

病歴:
25歳頃に発病し、複数回再発を起こして、毎回ステロイドパルス3〜5クールで治療しています。ステロイドパルス後は痺れ、痛み等はほとんど消えて、現在残っているのは両足裏に少し残ったジリジリ感程度です。
自己抗体が複数あるため、コパキソンを使用するまでは他の薬はステロイドパルス以外服薬していません。

大変返答が遅れ、申し訳ありませんでした。無事にご出産されたことと思います。

コパキソンは妊娠中、授乳中にも利用が可能で安全であるのが大きな利点です。ただ、MSの再発、進行を抑える効果は経口薬やタイサブリより明確に劣ります。

コパキソンは4種のアミノ酸を重合させたペプチド分子であり、皮下注射したペプチド分子としては血中では検出できません。急速に分解されるためです。従って、胎児への移行もほぼ無視可能です。万が一、新生児に授乳により胃などに入っても、すぐ分解され体内へ入りません。


Q(MS-314) MS疑い MSの可能性についてルシール   2019.12.13-0:19
38歳、男性、神奈川県在住。

11月初旬に急な左側の腰から太ももにかけての痛み、左側の手足に痺れやピリピリした痛みを発症。
神経内科を受診し、MRIで脊髄(首)に一つ小さな白い影あり、脳にもごく小さな白い点が複数あるが、MSとまでは断定できないと言われ、一度は脊髄空洞症だろうと診断されました。
その後、髄液検査の検査結果で、オリゴグローナルバンドが弱陽性の反応がでたため、MSの可能性も否定できないと言われましたが、痛み止めを処方され、様子見となりました。
日により、痺れや痛みの強さも変わったり、急に左腕だけ怠さが出たりするため、一旦このまま様子見で良いのか気になっており、現状では判断することは難しいのでしょうか。

担当の先生のご意見の通りだろうと考えます。
脳の病巣がかなり小さいようですので、診断確定は難しいが、脊髄に病巣がありオリゴクローナルバンドが一応陽性ですのでMSである可能性はかなり高そうです。
運動、感覚の大脳誘発電位検査が未だのようです。しかし、診断確定には至らないが可能性が高そうです。
MSの治療を開始しないで様子を見る、時々MRI脳検査を反復するのが妥当でしょう。もし症状に変化があれば直ちに受診する事が大切です。


Q(MS-313) シビレ感が増強。ステロイドパルスの効果は?tears   2019.12.12-10:04
44歳、女性、神奈川県在住 

ジメチルフマル酸(テクフィデラ)を飲み始めて4日目ですが、こんなにも痺れや脱力感があるのに、これらは改善されないまま「免疫抑制剤」だけを始めるのでいいものか。私としてはステロイドパルスで一度可能な範囲の症状をリセットしてから「免疫抑制剤」で再発を防ぐイメージが強いのですが、それは間違っている認識でしょうか?
おそらく初発が7月で、良くなっていた時もあったので、10月の終わり頃に再発があったのではないかと思っています。
現在の症状は四肢痺れ(特に左側)、肩こり、疲れ、30分も歩かないうちに足に脱力を感じる。

病歴:
今年の7月。微妙に唇が痺れる感じがして、脳神経外科クリニックを受診。
MRIにて、2ミリくらいの病巣(その時は無症候性脳梗塞かも?とのこと)が映りました。他には過去にも無症候性脳梗塞を起こしたことがあるようなごく小さな跡が2個ほどあり。
大学病院の脳神経内科で血液検査、ホルター心電図、脊椎MRI、誘発電導速度検査等の検査を2ヶ月程かけてしましたが、異常なし。
その後も変動で痺れを感じる日々でした。

最初に行った脳神経外科で8月、9月とMRIをお願いして撮ってもらっていたのですが、脳神経外科の先生からは病巣の色、大きさに変わりはないとのこと。

念のため別の脳神経内科クリニックを受診。
7月に撮った脳MRIの画像と9月に撮ったMRI画像で、少し病巣の大きさが大きくなっている感じがするとのことで、再度造影剤を使って脳のMRIを撮影。
1つは5ミリくらい。あとはごく小さなものが14個くらい。MS的と言われています。

別の大学病院に紹介状を書いてもらい今に至ります。髄液検査をして、オリゴクローナルバント陽性。
頸髄(造影剤あり)、胸髄のMRI撮影で小さな病巣が見られました。
ただ、アクティブな病巣はないとのことで、私の方から申し出て、11日間プレドニン30→20→10→5で服用しましたが何も変化はなし。

今ある症状が改善しないなら後遺症かもと言われましたが、その後も、痺れがひどかったり、右側の方にも強く出てきたり、長い距離(時間にして30分くらい)を歩くのが困難になってきました。
ステロイドパルスを1度やって、今ある症状が少しでも変われば…と思って言ってみたのですが、急性期のものではないのでやっても意味がないと言われました。
他の患者さんではMSの初発の時に、ステロイドパルスをやってもらった方が多いように感じます。私がどんなに辛い症状を訴えても、力があったり、ふらつきがなかったりといった運動障害が見られないため、ステロイドパルスをやるには至らないようです。
今はまだ特定疾患の補助が降りないから、免疫抑制剤はどうするか?と聞かれましたが、迷わず保険診療でテクフィデラを選びました。

担当の医師はシビレ感は後遺症と考えておられるようです。シビレ感は通常は感覚鈍麻、感覚の鈍さがあった後の回復途上で出現し、しばらくは増強します。逆に感覚障害の始まりに出ることもあります。脱力感とは実際の脱力、軽度の麻痺ではない異常感覚でしょうか?
あるいは、うつ病や、心因性、「転換性障害」で出ることもあります。
いずれにしてもシビレ感を消すためにパルス点滴をすることはなく、様子を見るのが通常です。
パルス点滴は急性の変化や新病巣出現が確認されていない時には無意味です。
ただ、徐々に悪化していると感じるのであれば、進行型MSの始まりである可能性もありますが、長期の観察でわかることです。
日本で利用可能な長期のMS薬はテクフィデラを含めて、「免疫抑制剤」ではありません。


Q(MOG-31) 抗MOG抗体脳脊髄炎 再発の不安S.A   2019.12.5-14:26
11歳、女子、新潟県在住

2018年、昨年8月下旬に視力低下、背中の痛み、発熱など発症し、9月上旬に診断が確定しました。
パルス治療を行いプレドニン30r服用。5rまで減らしたところ、
2019年1月に下旬に再発し、パルス治療。
その後プレドニン45r服用。イムランを併用となる。
その後再発なく、昨日の受診で抗体値がずっと中〜高値だったものが低値判定となったと知らされました。
プレドニン10rをしばらく続けていましたが、それにより7.5rに減らし、イムラン75r服用しています。
1ヶ月後プレドニン5rにする予定です。視力も安定しています。しかしプレドニン5rで再発したので不安もあります。
プレドニンの副作用が治まってきて嬉しい現状ではありますが、再発が心配です。主治医も慎重に考えてくれています。

再発が不安で、現在の方針で大丈夫だろうかとのご質問だと思います。

前回プレドニン5mgまで減量したところ再発があったとのことですが、現在はアザチオプリン(イムラン)75mgを服用し、11月近く経過しています。イムランは6月経過すればほとんどの方で効果は出ているはずです。プレドニンを次第に減量し、最終的には0にできる可能性が高いと思われます。

また、視神経脊髄炎やMSに比べて、再発があっても早期のパルス点滴治療や稀には血漿交換治療を実施すれば、症状は消え元に戻る事がほとんどです。
こうした点を理解し、治療を継続しておられれば再発に関し、ほとんど心配は要らないと考えます。

ただ、10、20、30年の長期に治療を続けることを考えると、私はイムラン以上に安全性の高いタクロリムス(プログラフ)を多く利用します。


Q(MS-312)MS疑い 主治医はMS確定しなければ再発防止治療をしない。血漿交換療法をするとのことです。大丈夫でしょうか。パイン   2019.11.29-21:04
16歳、女性、青森県在住。MS-310,311で質問させていただいた者です。

何度も申し訳ありません。MSであれば血漿交換治療をして、再発防止治療が遅れるのはマイナスとの回答をいただきました。
ただ、主治医はMS確定診断をしておらず、あくまでも疑いの段階で再発防止治療をすると重篤な症状(性格が変わったように攻撃的になる、言葉を発しずらくなる等)が出る可能性があるので今は再発防止治療はするべきでないとのことでした。
また、MS確定するためにはまだ要件が足りず基準に達していないとのことです。2.3度症状が出てからMS確定になることもありますとおっしゃっていました。
10月末に発病し、1か月経ちます。ずっと入院しており、本日11/29MRI(造影剤使用)を実施し、来週結果報告があり、悪化してたり変化がなければ早ければ来週に血漿交換療法が始まります。週に2回、計6回行うとのことでした。その間もステロイドの服用は継続するそうです。改善していれば、ステロイドの服用量を徐々に減らしていき、30rになったら退院できるとのことでした。

いつになったらMS確定診断になるかわからないので、再発防止治療をいつから始めるか未確定です。

10月末に発病していますが、遅くてもいつごろまでに再発防止治療を始めないととかあるのでしょうか。
こんなこといってる場合ではないのかもしれないですが、高校生でもありずっと入院しているので学校を欠席しています。あまり長引くと留年のことも気になります。

過去に診断が確定してない方で類似質問がありましたので、よくお読みください。貴方にすでに答えてある問題が反復記載されています。よくお読みください。
一般に、診断が確定しなければ治療をできない訳ではありません。現在でもパルス、血漿交換をするにあたり、健康保険は病名の申告を求めますので、何かの病名をつけているはずです。

MSの初発症状があったが、再発症状出現が未だの方をCIS(clinical isolated syndrome)と呼びます。その内のMSらしさが強い方ではMSの長期治療を開始することが望ましく、欧米では利用可能です。可能性が高いかどうかは医師の判断です。診療している医師しかその判断は不可能です。

日本では保険などではMSで確定であるように申告しなければ、治療薬を使えません。しかし、日本でもCISでMSの可能性が高ければMS治療を開始する医師が増えつつあるのは事実です。保険や特定疾患での病名の手続きをどのようにしているかは、個々の医師でないとわかりません。小児医療では手続きは比較的簡単です。
  
担当の先生が「疑いの段階で再発防止治療をすると重篤な症状(性格が変わったように攻撃的になる、言葉を発しずらくなる等)が出る可能性がある」と言われた、とのことですが、意味不明です。そのようなことはありません。聞き間違いだろうと思われます。前後の文脈を正確に理解して、記載ください。


Q(MS-311) MS疑いです。血漿交換療法をして、再発防止治療が遅れた場合病状に影響はあるか。パイン   2019.11.25-23:11
16歳、女性、青森県在住。MS-310で質問させていただいた者です。

MSなら再発防止治療を早期に始めるのが重要と回答いただきました。しかし、現在主治医はMS確定診断していません。MS疑いとのことで、ステロイドパルス療法を3クール、その後すぐにプレドニゾロンを1日50mg服用中です。半月ほど服用後、MRI(造影剤使用)をして悪化しているようだったら血漿交換療法実施予定です。
血漿交換療法はマイナスではないとのことですが、そのために再発防止治療が遅れて病状が進むことはあるのでしょうか。もし、そのようなことになったら悔やみきれません。

MSの可能性が高いのであれば、先にMSの長期の再発防止治療と並行パルス点滴を実施し、それらに反応が悪い時に追加として血漿交換治療を実施するべきです。血漿交換のためにMS治療開始が遅れるのであれば、マイナスである可能性があります。血漿交換治療はMSの一部でしか有効ではありません。

血漿交換治療のMSでの有効性の頻度を検証した唯一の研究では42%で有効で、58%では無効でした。主に脳大型病巣が出て、2クール以上のパルス治療にほとんど反応しなかった患者さん達での結果であり、大型病巣の出ていない患者での信頼のおける頻度の研究は無く、明確ではありません。
血漿交換療法は重症のMS再発があった直後でパルス点滴に反応が無かった場合、あるいはパルス点滴と並行して実施する治療で、回復を促進する応急手当てです。悪化が進行中あるいは直後に実施し、半分以下の患者さんで効果が出る短期(3週間程度)治療法です。

血漿交換はMSでない時、視神経脊髄炎や急性散在性脳脊髄炎の急性期に非常に効果の高い治療です。私は約1000人のMS患者さんの治療をしていますが、この1年間、MS患者さんでは実施していません。有効なMS治療を実施していれば必要性がほとんど無いからです。


Q(MS-310)MS疑 多発性硬化症の疑いです。血漿浄化療法をやるかもしれないとのことです。大丈夫でしょうか。パイン   2019.11.23-21:22
16歳、女性、青森県在住

2019年10月発病。MS疑いと言われています。
発病時は、言葉が出にくい、傾眠がひどい(1日15時間以上)疲れがひどい等。
発病してから、ステロイドパルス療法3日間を2クール実施。
その後のMRIで新たな病巣が見つかり、ステロイドパルス療法を1クール追加。その後プレドニゾロンを1日50mg服用。
半月ほどしてもう一度MRIをして悪化していたら血漿浄化療法をすると言われている。
MS疑いの段階で血漿浄化療法をして、デメリットはないのでしょうか。

現在の症状は、覇気がない程度。
MRIでの病巣は、脳に3か所。脊髄には異状なし。
現在、髄液を他機関へ送り判断を仰いでいる模様。(血液送付の段階では陰性だったそう)

ステロイドのパルス点滴を2クール実施したがMRIで脳病巣が加わっていたとのことです。
MSの疑いが非常に濃いと思われます。
急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、MOG脳脊髄炎の可能性もありますが、パルスで改善するのが普通です。視神経脊髄炎らしくはありませんが、記載のデータだけでは完全に否定はできません。

MRI画像所見でMSか、他の疾患か、区別できることが多く、MSなら早急にMSの効果の高い再発防止治療を開始することが、最も重要です。

血漿交換治療はADEM、MOG脳脊髄炎や視神経脊髄炎の場合に特に有効性が高いです。MSでは42%でしか有効ではありませんし、実施しないと有効かどうかわかりません。ただ、いずれの場合でもマイナスにはなりません。


Q(MS-309) 全身の筋肉のこわばりや関節痛は年齢的なものですか? ステロイド離脱症状に関係しますか?びーつ   2019.11.13-15:08
49歳、女性、神奈川県在住。

2017年にMS発症。アクアポリンは陰性 病巣は頚椎、胸椎、腰椎にあり、脳にはありません。
MS発症後パルス治療を経て1年半のプレドニゾロンとジレニアの内服後。プレドニゾロンは本年8月に終了しました。
9月中旬より急に倦怠感と関節痛(肩、膝、股関節、手(第一関節)足(踵)、腰痛と全身の筋肉のこわばりが出現しました。これらの症状が一気に出現しているのはステロイド離脱症状なのかを専門医に聞きましたが、ステロイドは離脱症状が出ないようにゆっくり減量してきたのでそれは否定されました。(30mgを1年半で0にしました)急に股関節や膝などが動かしづらくなったので今後歩けなくなってしまうのか不安です。医師は何度聞いても年齢的なものと言うのですが、ある月を境にこんなに一度に年齢的な変化が出るものでしょうか?

ステロイド離脱症状ではないと考えます。リュウマチ・免疫内科を受診されてはいかがでしょうか。年齢的とは考えません。
(MSであるならこのように長期にプレドニゾロンを使用する必要は無いと考えます。使用した理由が理解できません)


Q(MS-308) ナタリズマブの妊娠中の投薬及び投薬中の授乳中についてピグ   2019.11.13-14:47
36歳、女性、愛知県在住のMS患者です。

2015年1月にMSの診断がおり、翌月2月より今日までタイサブリで治療を行なっています。

長い期間の不妊治療をへて今回、妊娠がわかり、現在24週になります。主治医には、30週まではタイサブリ治療を継続し、その後は中断、出産後1週間以内には治療を再開した方がよいと言われています。
今回、質問させていただきたいのは、授乳についてと、再発リスクについてです。

@タイサブリ投与中、授乳してもいいのか?
タイサブリの添付文書には、授乳中の人は治療を中止、最終投与より12週間は期間をあけることが明記されていますが、主治医には母乳育児を勧められています。それは、赤ちゃんの胃の中で、タイサブリの原料となっているタンパク質は分解されるからだと説明を受けています。しかし、大人でも副作用が懸念されるタイサブリを、赤ちゃんに母乳を通して摂取させることに、私自身、とても躊躇しています。

A出産後1週間以内に治療を再開した方がいいのか?
分娩予定の病院と、MS治療をしている病院が違うため、1週間以内に治療を再開するのは出産方法(帝王切開など)によっては難しくなります。出産後、それ以上間隔をあけると再発リスクはどれほど高まるのでしょうか?

B妊娠中、出産後、再発をした場合、パルス治療は胎児、乳児(母乳育児の場合)に影響はないのか?
主治医には、軽い再発ならパルス治療はしないと言われましたが、胎児、乳児に悪影響があるからでしょうか?
是非、先生のご意見を伺いたく、質問させていただきました。よろしくお願い致します。

現在の症状:朝起きた時に手足の軽い痺れや、頻繁ではないが手足に疼痛など。
MRI病巣は大脳に5〜7個程度。頸椎及び胸椎に小さな薄く写る病巣が2個程度です。

添付文書に記載されていることは、治験の経験しか無かった時期に、未知、未経験の状況で安全を確保するために書かれていることです。
妊娠中や出産直後にもタイサブリを投与継続せざるを得なかった例での経験が集積され、利用法が確立されています。

先ず、私の妊娠、出産前後の女性でのタイサブリ利用方法を説明します。
(1)平均的MS活動性かやや活動性の高い程度の女性であれば、妊娠確定と同時に点滴は中止します。妊娠中に再発を経験することはほとんどありません。出産後1週間は母乳を与え、点滴を再開し、人工ミルクに変えます。
(2)10人に一人程度の活動性の高い女性、妊娠初期に再発を経験するような女性では、妊娠8カ月までタイサブリ点滴を続け、出産1週間で再開します。
(3)非常に活動性が高く、妊娠中の再発反復が懸念される時には、全期間を通して投与を続けます。母乳は与えず、最初から人工ミルクを与えます。栄養的には問題ありません。新生児に一時的な軽度の血液の異常が出ますが、短期で正常化します。

以下に質問に答えます。
@タイサブリ投与中、授乳してもいいのか?
タイサブリ投与中は授乳を止めます。
タイサブリは免疫グロブリンIgGですが、母乳から新生児体内に一部が取り込まれます。
初乳の中の母の免疫グロブリンが新生児に取り込まれることで、母の免疫を子供へ伝えることが可能であり、初乳を与えることの重要な理由でもあります。

A出産後1週間以内に治療を再開した方がいいのか?
MS活動性の程度により異なります。
例外的にMS活動性が高い女性では出産直後から治療を再開したり、全期間を通してタイサブリ点滴を継続します。初乳も与えません。
しかし、ほとんどの女性では1週間は母乳を与えた後、タイサブリ点滴を再開します。

B妊娠中、出産後、再発をした場合、パルス治療は胎児、乳児(母乳育児の場合)に影響はないのか?
パルス点滴を反復することは胎児の成長を抑制し、小さな赤ちゃんが生まれる、新生児の成長が少し遅れる可能性が高くなります。胎児の奇形の増加はあまり心配する必要はありません。
しかし、母に障害を残さないため、やむを得ない処置です。


Q(MOG-30) 痙攣は再発しますか?tamaya   2019.10.28-20:11
36歳、女性、沖縄県在住。 以前MOG-26.27でご相談させていただき、7月に家族がセカンドオピニオンでお伺いしました。誠にありがとうございました

質問:
痙攣を起こした事があるのですが(初めの頃です)、再発時や、過去に出来た病巣の場所等によっては、痙攣を再度起こす事もあるのでしょうか?
初回以来、痙攣は起こしておりませんが、繰り返す事もあるのか、前兆や、予防する方法(薬等)などがあればお伺いしたいです。
仕事復帰を考えておりますが、以前の痙攣が気になっており(車の運転等)ご質問させていただきました。

現在、プレドニン17.5mg、タクロムス3錠、その他(リリカ、バクタ、コレステロール薬、骨粗鬆症薬、シグマビタミン、鉄剤)を服薬中です 月一度、外来で血液検査をしていただき、少しずつプレドニンを減量しております。

MOGでは大脳皮質の炎症(大脳皮質炎)を生じることがあり、てんかんを伴うことが稀でありません。炎症が治まり、てんかんは治癒し、慢性化することは、ほとんどありません。
貴女は現在すでに抗てんかん薬を中止していますので、脳波を測定し、発作波や発作の起き易さを示す波が出ていなければ、今後も発作の再発は無いと予想されます。

脳炎の再発を起こさない治療を継続することで、大脳皮質脳炎の再発を防止することはほぼ可能です。タクロリムスの血中濃度が適切であることの確認が非常に大切です。
血中濃度が適切であればプレドニンの減量速度を速め、1年以内に0にすることが、90%の方で可能です。


Q(NMOsd-60) 服薬中の授乳についてじゃこ   2019.10.23-9:35
35歳、女性、東京都在住

お世話になります。
現在妊娠8ヶ月のNMOSD患者です。
7年ほど前に参加したMS,NMOSD患者の妊娠、出産についてのセミナーで、「NMOSD患者は出産後授乳をしてはいけない、初乳を出さないこと」 と聞きました。

お伺いしたいことは、(1)「飲んでいる薬が赤ちゃんに移行するから初乳を出してはいけない、授乳してはいけない」のか。それとも(2)「初乳を出すこと、授乳することがNMOSD患者の出産後再発率上昇に関係がある」からか。 いずれかが分からず、質問させていただきました。
母乳育児に強いこだわりはありません。
自分が再発しないことを一番にしていきたいと思っております。

今現在飲んでいる薬は、プレドニン、リリカ、タケプロン、ワンアルファ、ランドセン、重カマ、大建中湯顆粒、フェロミアです。
妊娠11週時に妊娠中飲み続けて問題ないと妊娠と薬外来に確認済です。
お忙しいところ恐れ入りますが、よろしくお願いいたします。

病歴:
2011年初発。現在の症状は感覚過敏、両足歩行障害で杖を使用 
治療は、プレドニンを初発時から使用、3年間ほど10mgを維持
抗アクアポリン4抗体陽性。初発時に脊髄に3椎体以上の病巣の出現あり。

先ず、(2)「初乳を出すこと、授乳することがNMOSD患者の出産後再発率上昇に関係がある」 ということはありません。
(1)「飲んでいる薬が赤ちゃんに移行するから初乳を出してはいけない、授乳してはいけない」 ことは、初乳を授乳してはいけない、あるいは授乳をしてはいけない、のであれば、あり得ます。しかし、薬剤とその量により異なります。

貴女ののんでいる薬でも、プレドニンは、胎児や新生児へ安全ですと断言はできません。10mgですと催奇性(奇形を起こす)はほぼ無いでしょうが、胎児への成長抑制は軽度にあると考えられます。母体に対しても安全ですと断言はできません。又、出産後の再発リスク亢進期には10mg服用では再発リスク抑制は不十分なことが多いと思います。
私は、妊娠前、中、後、継続してタクロリムスを処方し、プレドニンは0として、安全な出産を多数の母で経験しています。

妊娠中は全ての服薬は可能な限り減量したり、中止することが望ましいと考えます。本当に必要な最小限にするべきです。授乳中も同様です。

新生児に対する母乳の授乳により母の免疫を受け渡すのには、初乳だけ、1週間の授乳で充分と言われています。あとは母、子の精神的な繋がりの問題です。人工ミルクでも栄養学的には全く問題ないと言われています。精神的な繋がりは、他の方法でも達成可能です。


Q(MS-307) MS疑い 検診MRIで偶然に病巣を発見(RIS)。治療は?紅茶   2019.10.19-13:09
@30代前半、女性
A(非公開でお願い出来れば幸いです。)
BF血液検査等結果待ち
CD自覚症状なし
E服薬なし
G脊髄MRI異常なし
H一ヶ月前、偶然受けた脳ドックで、脳MRIにて異常が見つかり(病巣3個)、先日精密検査(脳、脊髄MRI、CT、視神経検査、腰椎穿刺、血液検査など。)を受けた者です。

脳MRIでは診断基準を満たさないため、血液検査等は結果待ちの状況ではありますが、半年ごとの経過観察となりました。

脳ドックで紹介状をいただいた時は寝耳に水の状況でしたが、精査を受けるまでに自分なりに色々と調べて、病巣があって症状が無くても、この病気は油断はできないものであるという認識でおりました。そのため、現在の「経過観察」という状況は、偶然現段階で発見できた病気にもかかわらず、水面下で起こっている病気の進行を放置していることにはならないのか?と心配になり、こちらで相談させていただきました。

様々な検査結果を見ていただかないとご回答いただくことは難しいかもしれませんが、現段階で積極的な治療を行う必要はないのか、お聞きしたく、ご相談させていただきました。

MRIで偶然にMS病巣を見つけた場合のMSをRIS( Radiologically Isolated Syndrome) と呼びます。
画像所見がどの程度のMSらしさであるか、血液検査、髄液検査、誘発電位検査、神経学検査の結果を総合して、MS診断の確実さを評価し、今後の方針を決めます。MRIを読影する能力にはかなりの個人差があります。

そうした情報を集め、担当医の意見と判断理由を頂いてから、必要なら、そうした情報を記載して再度質問してください。

本Q&Aは担当医に質問しても解決できない場合にのみ、ご利用ください。
都道府県名は記載をお願いします。 


Q(MS-306) タイサブリ治療を変更するべきか?微熱、下痢、倦怠感、シビレ感は再発?副作用?waka   2019.10.9-10:30
33歳、女性、沖縄県在住。

2017年12月からタイサブリへ変薬になりました。JCウイルス抗体陰性でMRIでも再発なく4、5週に1度タイサブリ点滴をしていました。

前回のタイサブリ点滴中に微熱、下痢、倦怠感が酷かった。
ここ1週間近く、前回のような左足の痺れや倦怠感が2、3日続き、その症状が落ち着いたと思うと、肩首のコリと痛み1日が続き、怠さがありました。この1週間の間に7週あけてタイサブリ点滴の後、副作用で倦怠感が2日続き、薬が合わなくなっているだけなのか、それとも7週の間隔が空きすぎのための再発なのか、再発ではなく後遺症なのかが判別出来ず現段階で様子を見るべきか、すぐに病院へ行ってパルスをするべきかで悩んでいます。
タイサブリを使用してもうすぐ2年経つのですが、変薬した方が良いでしょうか?

病歴:
2017年7月から、首や肩のコリや痛みと怠さ、左足全体の脱力感や痺れ、左手指先のピリピリとした痛みや痺れがあり、MRIで頸髄、胸髄、脳に、合わせて10個程の病巣がみつかり、MSと診断。
ステロイド注射後、7月からコパキソン注で治療していました。
同年8月、10月、12月に再発が見つかり、JCウイルス抗体陰性でしたので、
12月にタイサブリへ変薬になりました。

ご質問の文章で症状の時間経過が重なり、分かりにくいので、一部を勝手に整理させていただきました。間違っていたら、申し訳ありません。

先ず、もし「再発や副作用ではないか?」と考えたのであれば、緊急の問題です。このQ&Aで質問するより先に通常か救急の受診をして、まず担当医に質問するべきです。担当医の見解に納得できない時に本Q&Aをご利用ください。
私は診察をしていませんので、診察をした医師の観察、判断、どうか考えたかの情報がないと、正確にお答えすることが困難です。
また、MS患者さんが再発かどうかを自己判定するには、本ホームページのcontentsの「症状と再発の自己判定法」で「再発でない症状の悪化」を先ずお読みください。

「痺れ」があるとのことですが、シビレ感のことであり、運動や感覚の麻痺ではないと思われます。そうであれば、自己判定法に記載しました様に、再発ではないと考えられます。その他の症状である脱力感、ピリピリした痛みなども含めて、古い病巣にもとずく後遺症と思われます。微熱がある時に一時的に出現しているウートフ現象である可能性が高いです。微熱が出たのは軽い感染症があったためであり、タイサブリの副作用や再発ではないと考えます。偶然の現象です。
タイサブリ点滴の初期の6月以内に点滴中に気分が悪くなったり、中和抗体が出現したために再発が起きたりすることが稀にありますが、2年経過している場合には、偶然の現象だろうと考えます。

今回点滴間隔を7週にしたためである可能性は殆どありえません。タイサブリを変更することは間違いだろうと考えます。
タイサブリは非常に有効性が高く、PMLの管理さえ可能ならMRIで新病巣の出現を伴う本当の再発を経験することは非常に稀です。
私は現在までに約400名の方にタイサブリを利用しました。現在は約250名で7週毎(時に8週も可)(体重60kgまで)、体重80kg以上では6(~7)週毎、の点滴を長期に実施しています。この方法では現在までPML発生の報告が全世界で1名も無く非常に安全です。この方法での効果は私の患者250名で3名に再発があり、他の3名ではMRIだけの新病巣出現がありました。即ち、2.4%の方、42人に1人のみにMSの活動が見られたのですが、250人の方は私の診ている約1000人のMS患者さんの中で、活動性の高い人達です。非常に高い効果が維持されていると言えます。


Q(MS-305) MS疑い まだ再発がないがMSの可能性は高い。疑いの状況で治療費負担軽減の手続きは可能か?poo   2019.10.7-23:17
25歳、女性、宮城県在住。

今年5月に症状がでました。
現在、味覚障害と腕の震えがあります。
脳MRI病巣は3個でMS的。長い脊髄病巣はないです。
先生にはMSの可能性は高いけど、新しい病巣が出てないので診断を確定するのは難しいと言われました。

薬はまだ使用していませんが、先生から治療薬の使用を始めた方がいいかもしれないと言われました。
MS疑いのまま治療薬を使う事になりそうなのですが、月の医療費がどれだけかかるのかが不安です。
ずっと高額な医療費を支払うのは難しいので、疑いの状況でも何か申請できるものや、負担が減る事はあるのでしょうか?

現在の日本の特定疾患制度では、多発性硬化症として医療費の補助を受けることのできる対象者として認定するには「臨床上あるいはMRIで2回目の活動があった者」に限ると規定しています。再発が起きる可能性が非常に高いと判断される場合でも対象者にはなりませんので、医療費の補助を受けることはできません。

また、健康保険制度を適応し治療を受けるためには多発性硬化症との病名をつけることが条件となっており、診断が確定しているとして病名を申告しなければMS治療薬を処方し、3割負担として、7割の保険の補助を受けることもできません。
ただ、医療保険へ申告する病名は担当する医師の裁量に任され、その根拠を深く追求されることは通常はありません。

また、医療費の月額8万円以上は減免する高額医療費制度があり、処方は90日分を1回で出せますので、3月に1回、8万円を支払う、即ち年間32万円を支払うことで、年間200万円以上するMS治療薬を含めて、MSの検査と治療を受けることが可能です。

欧米ではMSらしさがあり再発の起きる可能性が高い場合は、MS治療薬の使用を開始することが推奨されています。保険で自己負担が殆ど免除されます。

私はかつて、厚生労働省の班の小委員会でMSとして特定疾患対象に認定する基準を討議した時に、日本でもMS初発の可能性が高い場合にMS治療薬を利用可能とする制度にし、欧米と同じにしょうと提案しましたが、他の委員達は日本の医師のMS診断能力が低く誤診が多く出る可能性があるとの理由で反対され決定できませんでした。私は現在でも、MSの可能性が高い根拠、基準を明確にして、初発でも治療可能とするべきだと考えています。


Q(MS-304) 初発後、シビレ感が残っているが。今後の治療は?mtr   2019.9.19-21:43
36歳、男性、北海道在住。

2019年8月中旬に 鼻の先から上唇にかけて冷却スプレーをかけられているような違和感を感じたため、脳神経外科にてMRI検査。脳に異常は無いということで経過を見る事に。
徐々に顔面の左半分から左腕まで違和感を感じる範囲が広がっていくため、
9月3日に神経内科で診察を受け、再度MRI検査。極小の病巣が数個見付かる。腰椎穿刺検査を実施。
9月3、4、5日ソル・メドロール500ml点滴
症状が治まらず、9月10、11、12日再度ソル・メドロール500ml点滴
依然症状は治まっておりません。
9月17日、オリゴグローナルバンドが陽性だったことからほぼ間違いなく多発性硬化症だという診断を受けました。
医師によると、8月中旬の発症から時間が経ってしまったため症状の改善が遅れているとのこと。

現在の症状:
顔面左半分〜左手まで、熱感を伴ったような、しびれのような感覚
素早い動きをした時や左脇の下に力を入れたり圧迫すると症状が出ます。その条件を避ければほぼ症状は出ません。
点滴の効果は実感出来ませんでしたが、症状の出ない体の動かし方を覚え、そのルールを守れば顔面左半分〜左手までのしびれのような感覚はほぼ症状が出ないまま過ごせます。具体的には、「素早く動かない」「左脇の下の圧迫、力を入れない」
他に、弱い耳閉感、極弱い下半身の痺れを感じます。

今後の方針として、病巣の小ささと症状が軽度だということで治療は行わず数ヶ月に一度のMRI検査で病巣に変化が無いか注視していく事になりました。
次回MRIは11月の予定。

質問内容:
点滴の効果が得られなかったが血漿交換を実施する必要性は無いのでしょうか?
早期治療開始の重要性という観点から、症状の軽い現状でも治療薬を開始しないのは正しい判断なのでしょうか?
素早く動いたり左脇の下に力を入れると短時間(5〜10秒程度)、顔面左半分〜左手まで熱感を伴ったしびれのような症状が現れるのですが、そういった行動は極力避けたほうが良いのでしょうか?

多発性硬化症と診断されてから四六時中を不安に苛まれ、夜も眠れず体重減少も止まらない状態です。どうか、お力添えを宜しくお願いいたします。

(1)血漿交換は不要か?

「痺れ」と表現しておられますが、シビレ感、ジンジン感、熱感などの異常感覚に近いものだろうと思います。日本語の痺れは、運動麻痺、感覚麻痺(鈍麻)、シビレ感のいずれかか、それらの組み合わせのどれでもよく、曖昧です。もし、最初から感覚の鈍さは無く、シビレ感だけだったのであれば、非常に軽い症状ですので、血漿交換は不要です。

現在はシビレ感が、姿勢や動作に関連して出るだけに軽減している様ですので、あまり心配は要りません。次第に軽減し、いずれ消失する可能性が高いと予想します。
軽減する薬はありますが、我慢できる程度なら使わなくても結構です。



(2)MSの再発・進行防止薬の開始は未だ不要か?

最も重要なのは診断の確定です。MSであれば、早期ですので正しい治療を開始すれば、不安になる必要はありません。進行防止がほぼ可能です。
MS診断がほぼ確実であるなら、現在6種類ある再発・進行防止薬のうち、効果の高い3種類のうち1つを選んで開始するべきです。
診断につき、診察をしている担当の先生がおそらく正しいのだろうと推察しますが、私はMRIを見ておらず、ご記載の内容だけで、MSがほぼ確実であるか、判断できません。

発症から40日程度しか経過しておらず、再発があったとは言えない様です。臨床再発が明確でない場合にはMRI画像の所見が最も重要です。造影MRI撮影は実施されたのか、その所見はどうだったのか、画像はどの程度MS的特徴を示していたのか。その変化はどうか。
髄液のオリゴクローナルバンド陽性であったのは確かにMSらしさを一定程度支持していますが、他疾患でも陽性の場合もあります。


Q(MS/NMOsd-32) 運動、ジム利用は有効?kaopon   2019.9.18-13:47
MS/NMOsd-31サウナ利用についての質問をさせてもらった者です。
今回も、丁寧なお返事ありがとうございます。

一週間に一度4時間ほどのサウナ利用で、時々は、ウートフ現象が現れることがありますが、すぐに足を冷やすようにして極力予防しています。サウナの利用によって、再発、病気の悪化がないとのこと安心しました。

運動もした方がいいかと、ジムのランニングマシンで、歩行程度の速度で運動もしています。やはり、ある程度の運動もリハビリ感覚で必要ですよね?

人間、動物は全て一定の運動を生涯継続する必要がある、することが望ましいです。

筋肉、神経、脳細胞などを含め、全ての生きている細胞は、利用し活動させる命令が長くこないと、自分(細胞)は個体(貴方自身=ご主人様)にとり不要なったと判断し、存在しない方が個体にとり望ましい、有利である、負担をかけない、と判断して自殺するプログラムが、生来細胞の遺伝子に組み込まれています。ギリシャ語でアポトーシス(apoptosis)と呼ぶ現象です。
手術で2週間も筋肉を完全に動かないように固定すると、激しい筋肉の萎縮が生じます。落盤事故で3月も暗闇に暮らすと、失明して戻らないのも、分かり易い例です。

従って、毎日、一定の全身運動をすることが望ましいと言えます。両下肢には全身の70%の筋肉があり、その収縮の反復は血液循環を助け、第二の心臓と呼ばれています。毎日の歩行、起立がとりわけ重要な理由です。
骨に対し一定の衝撃が必要で、階段歩きや、ジョギング、軽いジャンプで骨に刺激があると、骨から免疫を強化し、寿命を延長し、認知症を防止し、骨を強化するなど様々な作用のある物質が放出され全身に働くことも最近解ってきました。

ただ、すでに障害がある機能(細胞)・筋肉や神経を稼働させると、正常の細胞より能力が落ちているので負担がかかり過ぎ、筋肉痛や神経の早期の疲れが出やすく、過度な負担は避け、休みを頻回にとり、回復したら運動を反復する小刻みで頻回な運動が望ましいです。


Q(NMOsd-59) タクロリムス(プログラフ)、プレドニンの使い方。将来の治療についてまろちゃるる   2019.9.17-11:49
36歳、女性、北海道在住。

今後、どのような治療をし、将来的にどのような服薬をしていけば良いのでしょうか?また免疫抑制剤は何ミリを継続していけばいいのでしょうか?

主治医はプレドニンを減らす事には賛成ですが、最終的にどこまで減らすかはにごされます。
NMO診断時から免疫抑制剤の服用も考えてくれていましたが、服用すると決めてはくれず、私のほうから今月から服用したいと申し出ました。
主治医からは個人差がある病気なのでと、今後の治療などをどうするかはっきりとした返答がもらえなく不安になります。
再発した時の事を慎重に考えてくれているのはとても感じます。
よろしくお願いします。

病歴: 
2017年に痺れ、ごく軽度の歩行障害(年に1、2回)
2018年に痺れ、ごく軽度の歩行障害(年に1、2回)
2019年4月に痺れ、右足が上がらないのなどの症状が出たため受診し、診断・NMOが確定
抗アクアポリン4抗体は陽性
脊髄の病巣は一つだけであったが、先月のMRI検査でほぼわからないほどになっていた。脳MRIでの病巣は無し。
現在の症状:
だるさ、疲れやすさなどはあるが、日常生活に問題はない
治療:
プレドニンは4月から開始。15mgから1oずつ減らし現在12mg/1日
タクロリムスは今月から開始。現在2mg/1日

これまで比較的軽症に推移してきており、最近にタクロリムスを開始しておられますので、
上手に使えば、再発の無い生活、副作用の無い生活を送れる可能性が高いと思われます。妊娠中でも利用可能です。
現在の利用法には、問題がある様です。

いわゆる免疫抑制剤には多数ありますが、私はタクロリムス(プログラフ)を最も頻繁に使います。効果が迅速で、有効率が高く、有効性と安全性の管理が容易であるからです。
私は、1990年ごろから、重症筋無力症と多発性硬化症に利用を開始しました。
会社(当時の藤沢薬品、現在のアステラス)の協力を得て筋無力症に全国的大規模治験を実施し、2000年には保険適応を得ることができました。
多発性硬化症では効果のある人とない人が混在し、全体として、明確な有効性を確認できず、一度、利用を中止しました。当時はNMOの存在は知られていませんでした。2005〜6年になり、効果があったのはNMOでMSではなかったことが判明し、改めて、利用と研究を再開しました。筋無力症を含めると、これまで500人以上で長期に利用してきました。
個人としては日本(世界でも)最大数の経験だと思います。

タクロリムス(プログラフ)の利点の一つは血中濃度を測り、効果、安全性を推定できることです。貴女はどうでしたでしょうか。2mgで開始した理由が分かりません。通常は3mgで開始する薬です。3mgでも不足であることが多いです。

服用して12時間後の血中濃度を5〜8ng(ナノグラム)になる様に調整します。服薬の時間、食事との関係、食事の内容に影響を受けますので、上手に服用する様に指導が必要です。
この目標血中濃度が達成できれば、ほぼ安心してプレドニンを次第に漸減し、90%の方では、1年以内に0に出来ます。腎機能の長期のチェックは必要です。
10%程度の方では、時に再発がありますが、重度再発は稀です。再発があれば、1〜2日以内にパルスを実施すれば、ほとんどの方で元に戻ります。
再発が反復する時は、他の治療に切り替えます。

稀な難治性の場合には他の点滴の治療薬があり、来年には保険で利用が可能となる予定ですが、そうした人の割合はかなり稀です。


Q(MS/NMOsd-31) 暑いところは避けた方がいいのでしょうか?kaopon   2019.9.9-19:50
いつも、丁寧な回答ありがとうございます。Q(NMOSD-56) 、Q(NMOsd-57)

くだらない質問で申し訳ないのですが、MSとNMOは、温めると痺れ等の症状があらわれやすいとなっていたと思います。
私は、発病前、サウナを利用することが好きでしたので、主治医に相談したところ、サウナ等の利用によって、病気が悪化するとか再発するということはないので、自分がつらくないのであれば、利用はかまわないとのことでした。
先生のお考えは、どうでしょうか?
やはり、避けるのが賢明でしょうか?
発病後も、前向きに過ごしていきたく、以前と変わらない生活がしたいと考えており、趣味にかかわる、つまらない質問で申し訳ありませんが、お時間のある時にお返事いただければ嬉しいです。宜しくお願いします。

担当医の先生の説明が正しいです。
 熱がある時(36.5度程度以上でもあり得ます)にだけ、古い症状が再出現したり、強くなるが、平熱で元に戻る現象をウートフ現象と呼びます。真の悪化なら、熱が下がっても改善しません。
 個人差が大きく、無い方が心配する必要はありません。MSの方の方が強い傾向があります。疑いのある症状があれば、様々な方法で体温を下げれば、判定可能です。知識があれば、恐れる必要はありません。


Q(MS-303) フィンゴリモド(ジレニア)での再発。ジメチルフマル酸(テクフィデラ)への変更は? 不明の発疹(パルスの副作用?)に帯状疱疹薬は安全?K   2019.9.8-21:53
19歳、女子学生、東京在住。 過去MS-289他(あり。

ジレニアを3年半服用中。何度もリンパ球の数が大幅に減少しながらも継続。数値100弱から300程度。JC3.45と高い状態。
何度も質問させていただいています。ありがとうございます。

(1)脳MRIで活動病巣2個(1個は中型、2cm以上)出現。
8月MRIで脳に二ヶ所病変が見つかりました。1つは今までで一番大きく楕円の長い部分で2センチ以上になるのではないかと思われます。今回も本人自覚症状なし。今の病変はつい最近のものとのこと。高温の室内スポーツで5日程度過ごした事が引き金になったのかもしれません。
通院でパルス3日行いました。
リンパ球数値が低いため主治医の指示の下週1減薬していたのを一旦中止。ただ、数値は直近200弱。減薬中の6月も400程度でした。
質問:
ジレニア服用していても数年に一度の再発はありえて、MRIで定期的に確認しパルスで対応、と考えるべきでしょうか。
テクフィデラへの変更を検討していましたが、ジレニアで再発があったため、効果のやや劣る薬へは変更を考え直すか時期をずらすのがいいのか、分からずにいます。

(2)不明の発疹に帯状疱疹薬を服用は大丈夫か?
もう一点、パルス後数日後から目に近い鼻上部に赤く膨らんで目立つ吹出物が広範囲で出ています。痛み、痒みはないようなのです。帯状疱疹に似ているけど原因不明、と診てもらったクリニックで言われました。
ニキビかと思い主治医に相談なく受診したのですが帯状疱疹の薬を処方されました。MSであることは伝えた上での受診です。
違かったとしても服用は体に支障ないと言われたのですが、ジレニア服用中、パルス後でも大丈夫でしょうか。パルスの副作用なのでしょうか?通院でのパルスが無理あったのでしょうか。片道2時間弱かかり、安静にしていたとは言えない3日間でした。
ジレニア服用しているのに3年半で再発があったこと、副作用かもしれない症状が不安でたまりません。受診で主治医に確認できるのが少し先のため、ご教示願えませんか。よろしくお願いします。

病歴:
2015年15歳、右半身の感覚異常でMS発覚。パルス1クールで軽快。
3ヶ月後無症候の脳病変1つ出現。再度パルス1クール。
現在、自覚ある後遺症なし。
MRIで大脳に5個程度と脊髄、胸髄に1つずつ病巣あり。

(1)脳MRIで中型病巣が出現。ジメチルフマル酸(テクフィデラ)へ変更するか? 
ストックホルムの欧州MS学会へ出張中で遅くなりすみません。お嬢様の今後のことがご心配だろうと推察します。MSは発症年齢が低いほど、障害進行や死亡リスクが高いと言われています。これまでの経過がかなり良いことは、非常に勇気づけるものですが、それでも、あまり楽観するべきではない、しっかりした治療を続け、将来の優れた治療の導入に期待するべきだと思います。今回の学会でも、世界での進歩は早く、現状を維持できれば、大いに希望を持てると思います。

テクフィデラへの変更は、かなり先の将来を含めて止めておくべきだと考えます。
 私の約400人のテクフィデラを開始した患者さんの半数以上は、フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)で過去1年以上安定していたが抗JCV抗体インデックスが高く、PMLリスクを恐れて、テクフィデラへ変更しましたが、1年以内に20%で再発かMRIに新病巣が出現しました。過去のフィンゴリモド治療中に再発があった方では非常に激しい再発があり、障害が一定程度進行してしまった人も有りました。このため、フィンゴリモド中にMS活動性(再発かMRI新病巣出現)があった方では、テクフィデラへの変更は避けることをお勧めしています。効果がフィンゴリモドより低いためです。
 問題は、では次の治療をどうするべきかです。日本では選択肢が未だ少ないのですが、2つ有ります。

 1つは、タイサブリの投与間隔を延長する方法です。体重が60kg以下であれば、7週以上の間隔とします。この方法でPMLは発生せず、効果は通常の4週毎点滴にほぼ同等です。我々は250人で実施しています。細かな実施法については、一度受診していただければ、指導し、担当医へのお手紙、資料を渡します。

2つ目は、フィンゴリモドを継続する方法です。来年中に新しい治療薬が利用可能となるはずですから、その時点で、変更を検討します。
フィンゴリモドでは世界で28人のPMLが現時点で発生しています。30万人近い人が利用した中でです。PMLは抗JCV抗体陽性で、2年以上利用した方に発生しています。これまでの発生は34歳が1人、あとは40歳以上、ほんどは50歳以上で有り、30歳以下では発生しておらず、リスクは極端に低く、MS悪化のリスクの方がはるかに高いと理解するべきです。

(2)不明の発疹に帯状疱疹薬を服用は大丈夫か?
診断が確定していなくても、帯状疱疹薬を利用することは有ります。副作用の頻度は非常に低く、心配はいらないでしょう。
診断を確定する方法はありますが、結果は少し遅れるので、検査はしなかったのかもしれません。


Q(MS-302) 持続する眼の痛み。痛み止めの分類。 Q294に追加J   2019.8.28-6:44
42歳、青森県、男性。 前回、目の痛みにて質問させて頂いた者です。

目の痛みは、両目くぼみ辺りと奥の方の痛み。日中は眩しさで痛み発症する。日が暮れ始めると痛みは多少改善する。痛み発症時は、効果はないですが1時間に1回程度サンティアを点眼。睡眠時痛みで覚醒する事あり。
目の痛みだけは、本当に何とかしたく悩んでおります。市販のロキソニンを内服してみたのですが、効果はありませんでした。
前回ご回答いただいた鎮痛剤について脳神経内科・眼科の医師へ話をさせて頂きました。結論は、原因不明とのことで経過観察し、現在に至ります。目の痛みも受容するしかないのでしょうか?
アドバイス等あれば、何卒宜しくお願いいたします。

MSと診断されて1年が経過し、入院時から目の痛みを訴えていたのですが、経過観察状態が続いております。
両腕から末梢にかけての痺れ感(力が弱くなる・ジンジンする感覚)、歩行時のふらつきはうまく付き合っていこうと思っておりますが。

痛みの原因が不明のことはよくありますが、治療は可能ですし、するべきです。
医師が心の病であるので、どうしょうもないと考えているかもしれません。しかし、治療はするべきです。
種々の鎮痛薬があり、「慢性(難治性)疼痛症候群」(このQAで解説済み)にならないように、早期に一つ一つ試みるべきです。心理的治療も必要です。

鎮痛剤の全てをここに記載することは無理ですが、脳神経内科医師は痛みの専門家ですので、ご存知のはずです。新しい情報もネットで検索可能です。
大まかな分類は以下のようになります。複数鎮痛剤配合剤もあります。


鎮痛薬分類:

(1)アセトアミノフェンとNSAIDs系薬剤COX-2抑制剤。
アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は痛み炎症を抑える。多数あり、ロキソニンも含まれます。

(2)オピオイド
モルヒネ、類似の様々な薬物(コデイン・オキシコドン・ヒドロコドン・ペチジン)。脳のオピオイド受容体に同じように影響を及ぼす。ブプレノルフィンは、オピオイド受容体の部分的作動薬。トラマドールはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を持つ。
効果的な鎮痛効果をもたらすが、一方で不快な副作用(錯乱、呼吸抑制、・ミオクローヌス・縮瞳など)を引き起こす事があるため、その服用量は制限される。

(3)神経因性疼痛薬
三環系抗うつ剤(アミトリプチンなど)は中枢神経に起因する痛みを改善。
カルバマゼピン(テグレトール)やガバペンチン、またプレガバリン(リリカ)と類似薬。


Q(MS-301) 16年間軽症なら今後も同じか? イムセラ、テクフィデラを減量服用。Q(MS-299)に追加HK   2019.8.27-23:44
ご回答、ありがとうございます。下記に病歴と追加情報を記載します。
将来も変わらず過ごせますでしょうか?

MRI検査と結果:
13年間はMRI撮影無し、その後は半年に1度程度。その間の変化は無し。
2回目の症状の時は、発症から検査まで1ヶ月以上空いてしまったため、造影病巣は確認できず。T1-black holeは無し、脳萎縮も無し。

オリゴクローナルバンドは陽性。検査時期のためか、バンドは非常に薄い。
喫煙歴は無し、肥満は軽度。

治療:イムセラ、テクフィデラとも減量して服用。血中リンパ球が添付文書規定より下回ることが多いため。(服用前から白血球が元々少なく、副作用の感受性も高い)
イムセラを止めた理由は、疾患活動性が低く、テクフィデラが長期処方が可能となり、イムセラによるリンパ球減少が顕著なため。ちなみにイムセラ→テクフィデラの時に休薬期間を1ヶ月設けたがリバウンド等は無し。

経過:
2003年 下腹部から両足にかけての皮膚感覚異常
神経内科を受診し、アトピー性脊髄炎と診断された。
IgEが高く、発熱やウィルス感染等が無かったため。
MRIは胸部脊髄のみで頭部は撮影せず。
ステロイドパルスで症状回復。以降、2016年まで無治療。
2016年 左腕の痺れ。整形外科を受診するが原因不明。
経過観察となるが、1ヶ月経って、左腕から左手に痺れが移行
し、感覚異常が継続してるため、神経内科を受診。
頭部MRIで細かい病巣が見つかり、多発性硬化症と診断

以上、よろしくお願いいたします。
追加情報を加え、今後の見込みを考察してみます。
発症から16年経過し、臨床再発は1度だけで、現在の障害は軽度であることは、非常に良いことです。
しかし、Q(MS-299)で答えましたように、必ずしも楽観はできません。

最も重要なのは、適切で安全な治療を継続することですが、これまでの治療に問題があります。
治療薬減量服用について:
減量の程度が不明ですが、フィンゴリモド(イムセラ、ジレニア)では半量服用(隔日服用)では効果がほとんど失われていたという多数例での報告があります。テクフィデラでも一定期間内に規定量(240mg, 1日2回)の服用が困難であれば、治療の変更が勧められています。体重が非常に軽い時は、多少の減量はありますが。リンパ球数が低いとのことですが、低ければ効果があるというわけではなく、リンパ球数が低いからと一定以上服用を減らすと効果が失われと考えるべきです。
リンパ球数につき、不要に過敏となっていることを多々認めます。減量ではなく、他の治療へ変更することも考えるべきです。一度、私の外来へ来られてはいかがでしょう。リンパ球数の経過がわかるなら持参ください。
進行性多巣性白質脳症(PML)リスク評価にはJCV抗体インデックス値が決定的に重要であり、測定します。

貴方の情報を今後の見通にとり良い情報、悪い情報にまとめてみました。
【悪い情報】
●治療:イムセラ、テクフィデラとも減量して服用している。
(血中リンパ球が添付文書規定より下回ることが多いため。服用前から白血球が元々少なく、副作用の感受性も高い(?)。イムセラを止めた理由は、疾患活動性が低く、テクフィデラが長期処方が可能となり、イムセラによるリンパ球減少が顕著なため。ちなみにイムセラ→テクフィデラの時に休薬期間を1ヶ月設けたがリバウンド等は無し)
●オリゴクローナルバンド陽性
●男性
●肥満(軽度)

【良い情報】
●臨床再発頻度が低い
●障害の後遺症が軽度
●MRI情報:T1-black holeは無し、脳萎縮も無し。
(13年間はMRI撮影無し、その後は半年に1度程度。その間の変化は無
し。造影病巣は不明で、情報が不足)
●喫煙歴無し


Q(MS-300) タイサブリ点滴後の倦怠感、嘔気についてエマ   2019.8.24-20:53
29歳、女性、神奈川県在住。

タイサブリを始めて1年たつのですが、3ヶ月前からタイサブリ後に倦怠感、吐き気、嘔吐があります。
主治医に相談した方が良いのでしょうか?

病歴:
2009年発症。現在は症状がありません。
MRI脳病巣は10個以上ある。

点滴後に始まるとのことですが、直後なのか何日も経って始まるのかで、大きく異なります。
3月前からということは、最近の3回、毎回同じ現象があったと理解されます。

@点滴終了直後や点滴中に始まるなら、抗ナタリズマブ抗体が出現しているかどうか、調べてもらうべきです。結果判明に数週間かかりますが、陽性なら治療を変更すべきです。
抗ナタリズマブ(タイサブリ)抗体が陽性化した時(ほとんどは点滴開始から6月以内)、点滴中に悪寒、吐き気、ショック症状がでる。再発抑制効果が失われ、無治療と同様となり、再発が多くなります。将来陰性化することもありますが、タイサブリを再開すると再び出現することもよく経験します。
治療開始時から数ヶ月間ステロイドを同時に点滴することで、抗体陽性化を減らせる可能性はあります。

A点滴液中のその他の成分に対する反応は、点滴反応(infusion reaction)と言われており、悪寒、吐気などで、通常は点滴中や直後に始まりますが、やや遅れることもあり得ます。
次回から、しばらくの間、ステロイド(ソルメドロールなど)数百mgの点滴を先に実施し、毎回、量を漸減します。これで症状が出なくなった方を300人に3人程度経験しています。

貴女の場合、タイミングからはAの可能性の方が高いように思われます。
当然、次回点滴の前に医師に相談をするべきです。


Q(MS-299) これまで活動性が低い場合、将来の障害進行の可能性は?HK   2019.8.22-22:14
36歳、男性、大阪府在住。

初回から2回目の増悪(初回再発)まで、無治療で13年間エピソードが無かった。
現在は、初回の再発から3年で、新たな病巣が出ていないことから、活動性が低いMSと認識しております。
今後も疾患修飾薬を服用し続ければ進行せず、変わらず日常を過ごせると思っておりますが、先生の今までのご経験からのご意見をお聞かせ願えないでしょうか。
先生の患者ではなく、MR画像も無いため、一般論としてご意見をお聞かせください。

病歴:
2003年発病、セカンドエピソード 2016年。
現在の症状: 左手の皮膚感覚異常、歩行障害なし。
治療: 2016年、 3年前から1年間イムセラ、
2018年、 2年前から現在までテクフィデラを服用。
抗アクアポリン4抗体:陰性。脊髄に3椎体以上の長さの病巣:無し。 
脳MRIでの病巣:8個程度、それぞれが非常に小さい。Dawson's finger 様であり、MS的。

初発から16年経過し、臨床再発は3年前に1度のみで、現在、軽度の感覚異常が残っているのみ。
脳MRI病巣は8個、典型的だが、小型のみ。
今後の再発や障害進行の見込みはどうか、とのご質問です。

平均的MSの方に比べて、再発の回数が少なく、現在の障害度も低く、これまでは軽症のMSであることは間違いありません。一般論として、そうした方は今後も再発や障害進行のリスクが低いと予測可能です。しかし、その確実性はそれほど高くありません。

経過16年で再発は1回のみ、現在の障害は軽度の感覚異常のみであれば、あまり利用されない名称ですが「良性MS」と分類することもあります。そうした方の、その後の障害進行について調べた北アイルランドでの「良性MS(benign multiple sclerosis)」の長期予後の研究が参考になります。20世紀末までで、ほとんどの期間は無治療であった時代の研究です。初発から15年後の障害度が低かった多数のMS患者を「良性MS」と定義し追跡をしました。そうした方々が、その後の15年間も軽症であったのは約40%で、60%の方は中等以上の障害への進行があったとの結果でした。15年間経過が良かったから必ず次の15年も良いとは言えないとの結論です。
カナダでの多数MSの調査で、25年経過すれば50%の方が車椅子生活となっていた、との結果に比べれば、平均はましであるとは言えます。

男性であることは、進行型へ移行しやすい因子です。
最も重要なのは、有効性の高い治療をしっかりと継続することです。
有効性の序列はタイサブリ、フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)、テクフィデラの順です。自己注射薬は効果が低いです。医師が一定の注意を払えば、安全性の担保は十分に可能です。

予測するために追加で欲しい情報:
16年間のMRI撮影の頻度、その間の変化、造影病巣の有無。T1-black holeと脳萎縮の程度。
髄液オリゴクローナルバンドが陽性か陰性か。
喫煙歴、肥満の有無。
イムセラ、テクフィデラは規定量を服用したかどうか。イムセラを止めた理由は何か。


Q(MS-298) アボネックス投与中に再発で病巣が9個も発見されテクフィデラへ変更した。倦怠感あり体調悪化時の診察の目安とセカンドオピニオンについてご教示ください。マル   2019.8.19-15:03
40歳、白人男性MS患者の妻。東京在住。はじめまして。

2006年発症。2014年8月〜アボネックス使用
2019年8月初めから再発、脳に9個の新病巣出現。
現在の症状:右脚ふくらはぎの温度感覚麻痺、左頬ほうれい線のしびれ、全身の倦怠感
2019年8月17日〜:デクフィデラ服用
質問:
@ 最初の1週間は夕食後のみ服用と言われているので、今日現在、2日程服用
したのですが、本日ひどい倦怠感があるとのことです。テクフィデラの副作用かと思いますが、PML等のことも気になるため、心配で質問させていただきました。
今後の服用にあたって、救急で受診する際の目安等ご教示いただけますと幸いです。
A また、主治医にも今回の9個の再発は異常と言われてしまったため、すごく心
配です。セカンドオピニオン等、受診したほうがよろしいでしょうか。

病歴:
(1)最初の発症は、13年程前(2006年?)だったと聞いております。
手足の痺れが一ヶ月程消えず、しばらく色々な病院(クリニック)を転々とした後に都立病院での精密検査後、MSと診断されたようです。
ステロイドパルス点滴治療を行い、1週間以内に痺れも改善されたため、その後は普通の生活を送っておりました。
(2)その2年後(2008年?)、突然視力が強度の近視の方のようにぼやけて見えなくなり(通常は両眼1.5)、この時は2週間入院したようです(入院中は発症時同様、ステロイドパルス点滴治療を行う)。退院後1週間は自宅静養をし、次第に視力も元に戻ったようで、その後も特に治療はせず、通常の生活を送っておりました。
(3)そして、2014年4月に再び視力障害が起きました。
曇りの日でもサングラスをかけないと眩しくて外を歩きづらい、PCの画面が眩しすぎて全く見ることができない(=仕事が出来ない)、複視、などの症状が現れ、すぐに以前診察を受けた都立病院に行きました。
そこで紹介状を渡され、現在の主治医がいる大学病院にてMRI・血液検査を行い、MSの再発との診断を受けたため、
2014年8月からアボネックス投与の治療を進めてまいりました。

(4)2015年6月に撮ったMRIで脳に再発が見られたものの、1個程度だったのでアボネックス継続で経過観察をし、3ヶ月後のMRIでは再発が見られなかったため、そのままアボネックスを続けてまいりました。
2016年4月には再発ではないのですが、血液検査でCK値が1万を超える状態が続いたため1週間入院し、24時間通常の点滴を投与して利尿を進めCKを体外へ出す治療を行いました。1週間後には標準値に戻ったため、無事退院いたしました。

その後もアボネックス治療を継続し、定期的にMRI(年2回)・血液検査(年4回)を行い経過をみてまいりましたが、再発はなく順調に経過しておりました。しかしながら、

(5)今月(2019年8月)上旬から下記症状が出始めました。
・左目の眼球上のくぼみに痛みを感じる→2〜3日で自然に治りました
・左耳に水かつまった感じ→3日程で自然に治りました
・右脚全体(太腿〜足先まで)に温度の感覚麻痺(冷たいシャワーをかけても温かく感じる)※8/6〜
・左頬のほうれい線部分に歯医者で麻酔をされたようなしびれ ※8/11〜

8/8に急遽主治医に診てもらい、脊髄のMRIのみ撮ってもらったのですが、特に何もなく、ただ念のためにステロイドパルス点滴を8/8-8/10の3日間行いました。その後、右脚の温度感覚麻痺はふくらはぎ部分のみまで改善されたようですが、左頬に痺れが現れたため、再び8/15に主治医に診ていただき、
脳のMRIを撮ったところ、病巣が9個もの再発が確認されました。
そのため、8/15-8/17の3日間、再びステロイドパルス点滴を行いました。

現在、主人は右脚の温度感覚麻痺と左頬の痺れのみで、左頬の痺れも少しは良くなっているようです。また、主治医の勧めから、アボネックスは中止し、
8/17からデクフィデラの服用を開始しております。

ご質問が長くなってしまい申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。

@テクフィデラの副作用は、服用から4〜5時間目にピークがあり、長くても
数時間で消える上半身の火照り、熱感、痒みが中心です。腹部痛、嘔気、下痢を生じることもあります。
ひどい倦怠感があるとのことですが、上記症状を伴わないのであれば、他の原因を考えるべきです。感染症もありえます。多数病巣出現を伴う多発性硬化症再発時にもしばしば倦怠感を伴います。テクフィデラの効果が出るのにはかなりの日数が必要ですので、再発が続いている可能性があります。

進行性多巣性白質脳症(PML)出現は抗JCV抗体陽性者にしかありえませんが、陽性でしょうか。しかも、2年以上使用でしか発症せず、それも非常に稀です。現時点では全くあり得ません。
多発性硬化症では救急での診察が必要となることは有りません。

再発の判定法はこのHPのcontentsの「症状と再発の自己判定法」の記載を参考にしてください。副作用は治療毎に異なります。


A脳に9個の病巣が出ている再発があれば、私はテクフィデラ使用はお勧めし
ません。アボネックスよりは有効性が高いのですが、現状から脱するのには効果が不十分ですし、効果発現が遅い欠点があります。タイサブリをお勧めします。現在のような状況を脱するのに最も頼りになります。
フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)も有効性が高いのですが、効果が出るのに時間がかかるので、第二選択です。

タイサブリ使用に慣れておられない医師が多く、担当医は躊躇するかもしれません。副作用PMLが起きない利用法につき、必要なら相談に乗りますので、お電話をください。090-2287-1021斎田です。


5年間アボネックス投与での治療を行ってまいりましたが、4年ぶりのMS再発で病巣が9個も発見されてしまいました。マル   2019.8.19-14:43
はじめまして。
東京在住、40歳白人男性でMS患者の妻です。

最初の発症は、13年程前(2006年?)だったと聞いております。
手足の痺れが一ヶ月程消えず、しばらく色々な病院(クリニック)を転々とした後に都立病院での精密検査後、MSと診断されたようです。
ステロイドパルス点滴治療を行い、1週間以内に痺れも改善されたため、その後は普通の生活を送っておりました。
その2年後(2008年?)、突然視力が強度の近視の方のようにぼやけて見えなくなり(通常は両眼1.5)、この時は2週間入院したようです(入院中は発症時同様、ステロイドパルス点滴治療を行う)。
退院後1週間は自宅静養をし、次第に視力も元に戻ったようで、その後も特に治療はせず、通常の生活を送っておりました。

そして、2014年4月に再び視力障害が起きました。
曇りの日でもサングラスをかけないと眩しくて外を歩きづらい、PCの画面が眩しすぎて全く見ることができない(=仕事が出来ない)、複視、などの症状が現れ、すぐに以前診察を受けた都立病院に行きました。
そこで紹介状を渡され、現在の主治医がいる大学病院にてMRI・血液検査を行い、MSの再発との診断を受けたため、2014年8月からアボネックス投与の治療を進めてまいりました。

2015年6月に撮ったMRIで脳に再発が見られたものの、1個程度だったのでアボネックス継続で経過観察をし、3ヶ月後のMRIでは再発が見られなかったため、そのままアボネックスを続けてまいりました。
2016年4月には再発ではないのですが、血液検査でCK値が1万を超える状態が続いたため1週間入院し、24時間通常の点滴を投与して利尿を進めCKを体外へ出す治療を行いました。1週間後には標準値に戻ったため、無事退院いたしました。

その後もアボネックス治療を継続し、定期的にMRI(年2回)・血液検査(年4回)を行い経過をみてまいりましたが、再発はなく順調に経過しておりました。

しかしながら、今月(2019年8月)上旬から下記症状が出始めました。
・左目の眼球上のくぼみに痛みを感じる→2〜3日で自然に治りました
・左耳に水かつまった感じ→3日程で自然に治りました
・右脚全体(太腿〜足先まで)に温度の感覚麻痺(冷たいシャワーをかけても温かく感じる)※8/6〜
・左頬のほうれい線部分に歯医者で麻酔をされたようなしびれ ※8/11〜

8/8に急遽主治医に診てもらい、脊髄のMRIのみ撮ってもらったのですが、特に何もなく、ただ念のためにステロイドパルス点滴を8/8-8/10の3日間行いました。その後、右脚の温度感覚麻痺はふくらはぎ部分のみまで改善されたようですが、左頬に痺れが現れたため、再び8/15に主治医に診ていただき、脳のMRIを撮ったところ、病巣が9個もの再発が確認されました。
そのため、8/15-8/17の3日間、再びステロイドパルス点滴を行いました。

現在、主人は右脚の温度感覚麻痺と左頬の痺れのみで、左頬の痺れも少しは良くなっているようです。また、主治医の勧めから、アボネックスは中止し、8/17からデクフィデラの服用を開始しております。

最初の1週間は夕食後のみ服用と言われているので、今日現在、2日程服用したのですが、本日ひどい倦怠感があるとのことです。
デクフィデラの副作用かと思いますが、PML等のことも気になるため、心配で質問させていただきました。
今後の服用にあたって、救急で受診する際の目安等ご教示いただけますと幸いです。
また、主治医にも今回の9個の再発は異常と言われてしまったため、すごく心配です。セカンドオピニオン等、受診したほうがよろしいでしょうか。
ご質問が長くなってしまい申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。

Q(MS-297) 若年発症で認知症リスクは高くなるのか? (MS-296)質問に追加ドレミン   2019.8.16-17:09
先日(MS-296)にて質問をした者です。ご回答ありがとうございます。
息子は2歳で発症し、今は11歳です。

最近の体調ですが、感染症に罹ってから睡眠量が増えました。また、これまで経験のなかった、しゃっくりを伴う嘔吐や吐気(1日〜2日)が2回ほど有りました。感染症を発症した辺りと、約3週間後です。
精神的にも、抑制力と記憶力が落ちたように思います。

彼が発症したとき、かかりつけ病院にMS通院患者がおらず、診断確定は別の病院を紹介されました。診断確定後は再び発症時の病院に通っています。
アボネックス開始も彼が初めてだったようで、やはり初回は前述の別病院に1泊入院し行いました。
他の薬に関しても、子供への投薬事例が少ない事や内臓系への副作用がある事などの他、余り情報がありません。

彼のように若年で発症した場合、高次脳機能障害や認知症のリスクも高くなるのでしょうか?
発症時はかなり症状が重く、右半身が麻痺しました。
大半のMS患者は、もし無治療であれば、発症後の時間経過が長くなるに従い重症化します。小児発症MSでは成人発症MSに比べて脳病巣の出現率が高いため、運動障害より認知障害がでる率が高いことが知られており、私の経験でもそうです。
脳の高次機能は予備的機能(brain reserve)が大きく、長期に障害蓄積を隠すことが可能であり、一定レベルを超え始めて自覚、他覚症状として現れてきます。予備能力は長い人生で何時かは、特に高齢化すれば必要なものです。

貴方の記載内容の症状、問題がMSによるものかどうか、診察無しでの判断は困難です。

現在世界では16種類、日本では6種類の薬が利用可能です。これらを上手に利用し、副作用を回避しつつ、病巣の蓄積をくい止めることが大切ですし、多くの方で可能です。長い人生を普通に生きられることを目指すべきです。早期の治療が大切です。私の約1000人のMS患者さんの中には小児発生の方もたくさんおられます。最初の受診時に無症状か軽症であった場合には、その後の長い間に進行した方はほとんどおられません。

関西在住とのことですので、現在の担当医にお願いして資料(出来るだけ多くの過去のMRIを含む)を用意して頂き、一度、京都か大阪の私(斎田)の外来を受診されては如何でしょうか。
このHPにも載っていますが、090-2287-1021斎田に、先にお電話をください。

Q(MOG-29) MOG脳脊髄炎 11歳娘。プレドニン15rとイムランで治療。緑内障副作用などあり、この治療で良いのか?S.A   2019.8.15-7:29
11歳(小学5年)の娘、新潟県在住。MOG抗体陽性疾患です

@初発:昨年8月下旬に背中や目、頭の痛み、発熱、一週間で左目がほとんど見えなくなる。
9月上旬に今の主治医に巡り会い、MRIにて視神経の炎症見つかる。そのまま入院となり、様々な検査の末、MOG抗体陽性疾患と診断されました。アクアポリン4は陰性でした。MRI脊髄病巣に関しては分かりません。

A再発:プレドニン30rから服用し、5rまで減量した1月下旬に再発。プレドニンを急いで減らしたことが原因だったようです。血漿交換を勧められ大学病院に転院となったが、パルスで十分効果が見られ、実施せず。
プレドニン40rとイムランを併用することとなる。

【現在の処方】は、プレドニン15r、イムラン、ファモチジン、ミヤBM、アスパラカリウム、新たにアレンドロンの追加。頓服でカロナール。
ヒルドイドを皮膚割れに塗布、リンデロンを足の巻き爪による化膿部分に塗布、ステロイド緑内障によりチモロール点眼しています。

今月13日の診察時、MOG抗体数は《MーH》で以前の結果と変わりなしとのこと。骨密度の低下によりアレンドロンが追加となりました。
副作用や、尿もれや身体の痛みにも悩まされています。

幸い、素晴らしい主治医に出逢え、初めて診る症例と言いつつ他の医師と連携をとり懸命に向き合って頂いています。まだまだ手探りのMOG。
主治医に不満はありませんが、また違った目線からの意見を求めたく、ここにたどりつき投稿させていただきます。
@11才のお嬢様の聞いたことの無いご病気、ご心配のことと推察します。これまでの治療はほぼ適正と考えます。ただ少しだけ気になる点もあります。

A「尿もれや体の痛み」があるとのことですので、脊髄下部(胸髄から腰髄にかけ)などにも病巣が出たと思われます。1月下旬の再発の時の病巣でしょう。すでに半年以上の時間が経過していますので、後遺症として残る可能性が高そうです。パルス点滴開始のタイミングが少し遅れたか、間隔を空け過ぎたために不十分だったのでしょうか? 今後1年ほど、ゆっくりと改善し、症状が消える可能性はありますが、自然回復力を待つしか無いと思います。必要なら症状を軽減する薬物治療は有ります。

BほとんどのMOG脳脊髄炎は治療に良く反応する良性の疾患であり、知識のある医師が対応すれば、恐れる必要は無い疾患です。私が診察した約40人のMOG脳脊髄炎のうち、約30名が再発性で長期の再発防止治療の対象です。その治療経験では、再発があっても、迅速かつ十分なパルス点滴を実施し、稀に一時的な失明状態などでは血漿交換を併用する治療で、全員回復しており、後遺症が残る事は経験していません。
この疾患がまだ分かっていなかった時期に、他の病院で治療が遅れたために生じた排尿障害の後遺症がある方、歩行の軽度ふらつきが残っている方が各1名おられるのみで、現在の私の治療で後遺症が残った方はおられません。

C長期の再発防止治療には私はプログラフなどの安全な「免疫抑制剤」を利用します。プレドニンなどのステロイドは約半年で中止しますので、副作用はほとんど経験しません。血中濃度測定で適正量を調整できるのも利点です。
イムランの場合、効果発現が遅いのですが、半年後からは15mg以下として、1年後には2~3mgとすることが可能です。11歳としてはやや量が多いようですが、体重が多いのでしょうか。プレドニンの身長抑制などの副作用も心配です。将来の妊娠、出産も考えた長期の安全策が必要です。


Q(MS-296) 2歳発症MS。体調が優れませんがMRIで活動病変がない再発でしょうか?ドレミン   2019.8.11-23:55
10代、男児、関西在住。はじめまして。親です
子供が2歳でMSと診断された者です。身体的な後遺症はなく過ごしてます。

発症後、約1年で2度の臨床再発後、アボネックスを投与しています。
その後、軽度の活動性/再発と見られるイベントは2度です。
1度目は、アボネックス開始から数ヶ月後、MRIで大脳に小さめの新規活動病変があるも身体的症状は出ず。アボネックス投与量を増やすことで落ち着く。
2度目は、9歳頃に視神経に軽度の炎症。これも投与量を増やし落ち着く。
大脳に数個の病巣が残っています。

この夏、初めて罹った感染症以来、体調が優れません。体の成長も相まってホルモンバランスも崩れているように感じます。
しかし、MRI、脳波、血液検査(甲状腺機能確認)、いずれも異常なし。
約10年彼を一番近くで見てきた者として、何か引っ掛かります。
他に何か調べる手段はありますでしょうか?

彼の年齢で診断を受けた方が、周りにはもちろん、ネット等で検索しても見当たりません。
主治医への相談の他、大人の方や10代前後で発症された方の例などを参考にしながら手探りで過ごしてきました。

2才発症で、9才まで再発やMRIでの新病巣出現などがあったが後遺症は無かった。しかし、最近、感染の後、体調が優れないが、MRI、その他の検査では異常が無かった。それでも、再発やMSの活動の結果である可能性はあるだろうか?とのご質問だと思います。

ただ、最近体調が優れないとのことですが、その内容が分かりません。一般論としてMRIでは病巣の見えない軽度の新病巣出現に基づく症状の出現(再発)はあり得ます。その判定はかなり難しく、熟練を要することもあり、ここに文章化することは非常に難しいです。

私のMS患者さんの発症年齢は2才から76才までの広がりがあります。15才以下での発症が全体の10%程度であることは、白人も日本人も同様ですが、10才以下の発症は確かにかなり稀です。一般論として発症が早いほど将来のMS罹病期間が長くなり、重症化し易いと言えます。長い先を見据えた、進行のリスクを未然に防ぐ治療を選ぶことが大切だと思います。

MS治療はこの20年で大きく進歩しました。ご子息の治療薬であるアボネックスは最も効果の低い治療であり、安全でより効果のある治療が利用可能となっておりますので、変更を検討されてはどうかと思います。明確な再発を待つ必要はないと考えます。

現在10才代とのことですが、11才から19才までの可能性があり、大きく異なります。9才での再発から何年間、再発やMRI上の新病巣が無かったのか、重大な情報です。


Q(NMOsd-58) 血漿交換三回終わりましたが、なかなか手足のしびれが良くなりません。今後の再発防止の治療は?ちゅんみ   2019.8.9-6:46
28歳、女性、大阪在住。

今入院中で血漿交換三回終わりましたが、なかなか手足のしびれが良くなりません。助けてほしいです。
今後の再発防止の為の薬の事もありますし、この病気の専門的なところに一度見てほしいという思いがあります。大阪は通院だけなのでしょうか?この病気と判断されて不安しかないです。

2017年発症のNMO。現在の症状は手足のしびれ特に右半身。抗アクアポリン4抗体、陽性。

質問の内容がはっきりしませんが、不安であることは良く分かります。現在なすべき治療、今後の長期的治療、副作用を回避できるか、今後の再発、障害の見通しは、仕事、家庭、出産は?などにつき、明確に説明することが必要でしょう。
貴女の病歴、データの詳細を知りませんので、ここで十分に説明することは不可能です。

ただ、現在の血漿交換療法は、NMOの再発の早期(再発の始まりから2週間以内で、早いほど有効)に開始し、正しく実施されたなら有効性の高い治療です。重い再発ならステロイドパルス点滴と並行して、迅速に十分に実施する必要があります。
血漿交換、パルス点滴は共に、ごく最近に悪化した症状を軽減するための治療で、一定時間を越すと効果は期待できません。

私は約350人の視神経脊髄炎の方を治療していますが、長期治療が正しければ、血漿交換が必要となるような重い再発が起きることは10〜15人に1人が、5〜10年に1回経験する程度だと思います。
さらに、最近は新しい治療薬の選択が増え、来年にはさらに、非常に効果の高い治療薬の利用が可能になる予定です。ほとんどの方は普通の生活が送れ、入院が必要になることは稀であると言えます。

現在の治療をしっかり受け、退院されたら、一度電話をください。長期治療などを含めて、説明します。090ー2287ー1021 斎田です。


Q(MOG-28) MOG脳脊髄炎  眼痛、頭痛は再発?大脳病変は無関係?アシモ   2019.8.2-10:22
中年、東日本在住。

@ 突然に両側性特発性球後視神経炎発症。1週間程で両眼ほぼ失明。光覚あり。
ステロイドパルス1クール後、プレドニゾロン30ミリから服薬治療開始。経過良好で1週間で5ミリずつ減量。5ミリより左眼痛が現れ、
A 2月後、左眼光覚が無くなる 
ステロイドパルス1クール後、30ミリ投薬。
抗MOG抗体高値判明。MBPも高値。抗アクアポリン4抗体陰性。医師からは視神経脊髄炎と言われている。

その後、退院したが、回復が前回よりも実感できないことと、入院中から左右眼痛と頭痛が頻回あり、訴えるも、関係ないと言われる。MOG抗体陽性患者はよく頭痛を訴えると仰せ。頭痛が再発の兆候になる可能性ありと言われた。

7月中旬脳の造影MRI実施。小さい脳梗塞がある、それ以外も含め今回の病気によるものではなく、たまたま今回見つかっただけ。放っておいても良いものばかりだが、念のため来月脳神経外科予約。この疾患は脳は大丈夫と仰せ。
MRI結果のコピーを得る。4月の脳造影MRI結果は異常無し。今回両側大脳白質にT2延長域あり、分布非特異的。両側小脳に陳旧性ラクナ梗塞あり。右後頭葉に小さな静脈奇形あり。

本当に今回の病気によるものではないのか?急を要する所見ではないのか?
毎日、複数箇所の頭痛があり、視界も暗く、眼痛もあり、左眼の奥の違和感は入院中から消えない。
このまま来月の受診を待っていれば良いのか?
プレドニゾロンは現在22.5ミリ。今回は2.5ミリずつ15ミリまで減量と仰せ。
MOG抗体陽性の数値が高値なのは再発し易いのではないか?の問いに関係ないと仰せ。
治療法の確立してない疾患でステロイド長期服薬が避けられないのであれば、漢方治療を検討していると主治医に相談。肯定も否定もなし。
漢方治療併用は有効か?   以上宜しくお願いします。

MOG脳脊髄炎は視神経脊髄炎、多発性硬化症のいずれとも異なる独立した疾患で、再発性急性散在性脳脊髄炎に近い病態です。古い記載、間違った記載が出回っていますので、誤解されている先生が多いです。

視神経炎に痛みを伴うことが多く、眼痛が出てきたら造影視神経MRI撮影が必要です。脳MRIでは判定できません。
これまで頭痛が無かった人に頭痛がでてきた場合には、脳MRIを撮影するべきです。本疾患の脳病巣出現に伴い髄膜の炎症が出ると頭痛が出現します。以前からの緊張性頭痛持ちの方では、区別が難しいことはあります。脳病巣が出現しても、自覚、他覚症状は伴わないことはよくあることです。
頭痛が再発の前兆となるのではなく、初期症状であることがあるということです。

前回の脳MRI撮影で見えなかった病巣が認められたとのことですが、本疾患による病巣である可能性が非常に高いと思われます。画像を見なければ確定はできませんが。

無治療ですと再発が多いのが特徴であり、治療にはステロイドが非常に有効です。しかし一定以上の量が長くなると種々の副作用が避けられません。
私は「安全な免疫抑制剤」を利用し、ステロイドは中止します。30名程度の本疾患患者さんや300名程度の視神経脊髄炎で同様の治療をしており、副作用回避のために治療を変えることは時にありますが、後遺症の残るような副作用は生じたことがありません。 

漢方薬は。しびれ感などの後遺症を減らすのに役立つことはありますが、再発防止治療には効果がありません。


Q(NMOsd-57) 有痛性強直性痙攣は一生続くか?kaopon   2019.7.21-5:14
先日、(NMOSD-56) 有痛性強直性けいれんの件で質問させていただいた者です。

再度の質問で恐縮ですが、有痛性強直性けいれんは、生涯続く症状なのでしょうか?
先生に教えていただいた薬を飲んでいる方は、薬の効果で、ほぼ、症状がなくなるようになっておりますでしょうか?
薬の効き方には個人差があって一概には言えないことは承知しておりますが、お時間があるときに、参考までに聞かせていただければ嬉しいです。

薬の件、次回の外来時に主治医に相談したいと思います。プレドニンの血中濃度もその際に調べることになっているので、数値が上がっていることを願っています。

有痛性強直性けいれんは発作的に突然出現し、一定時間で自然に消えるが反復する症状。
私が挙げた薬は、適正に使えば非常に有効性が高く、70%程度の方では全く無くなります。
残りの方では、時に軽度の発作が起きるが我慢できる程度なので薬の増量は不要と本人が言われる方々です。これまで治療した約350人程度のNMOsdの患者さんで、我慢できない状態が続いた人は有りません。
めまいやアレルギー、肝障害などの副作用で一部の薬が飲めないか、増量できない人は有りますが、それでも他の薬を利用するなどで、何とかなっています。
多くの人では数年後〜10年後頃までに薬が不要になりますが、何時までも必要な方もあります。

血中濃度を測定するのは 商品名プログラフ(化学名タクロリムス)であり、プレドニンではありません。服用から採血までの時間により変動します。


Q(MS-295) 私に合った薬や治療法は?サイクロン   2019.7.16-20:23
42歳、男性、大阪府在住。 突然のメールで申し訳ございません。

2019年1月、脳神経外科病院の脊椎脊髄センターの先生が、私の歩行姿を見て「多発性硬化症が悪さしていますね」 と言われました。
 2019年4月15日から27日まで大学病院にて検査入院するも、原因不明でした。現在、歩行困難ということで脳神経外科病院にてリハビリを受けていますが、歩行姿や動作はあまり変わっていません。
 そちらの病院では、多発性硬化症の特殊な治療方法を行っているということを最近知りました。私にあった何か良い薬や治療方法はありますでしょうか?
よろしくお願いします。

病歴:
小学校6年の12月ごろ発症(松下記念病院に入院)
現在の多発性硬化症によると思われる症状:
  運動や歩行の障害:
・両膝の過度の曲がり
           ・歩行が苦痛(二足歩行)
           ・以前より、歩く速さが遅くなった
           ・両足の緊張と両肩こり
           ・膝を伸ばして直立していても、足に力が入らず、
             無意識に膝が曲がってしまう
           ・しばらくしゃがんだ状態から立ち上がる時に、
             どこかにつかまらないと起き上がれない
           ・左足でケンケンができない
  排尿・排便の障害:・毎晩夜間の失禁(夜間1度はパット内に排尿あり)
           ・尿の回数が頻回になったり、間に合わない
           ・残尿感がある
           ・便秘(1〜2回程度/週)
  精神的な症状:  
           ・相手から話しかけられて、頭の中では発言すること            は浮かんでいるが、実際に発言することが出来ない
           ・人との会話がかみ合わない
           ・不明なことがあっても確認が出来ない
           ・周囲の状況判断ができない
           ・一度注意されメモを取っても、すぐに忘れる。
            上司から記憶障害があるのではないかと言われる
  その他:・疲れやすい
治療:小学校のころは、プレドニン大量服用+リハビリ で治りました。
脊髄MRI:脊髄の裏全体が白くなっています
脳MRI:10個以上の病巣があります。
記憶障害があるとのことですが、よく記載されています。しかし、御記載の内容だけでは、正確な返答は不可能です。現在の症状が何時出て、どんな経過か、最近変化が起きているのか、過去・現在の治療は、やMRI画像も直接見る必要があります。

大阪の方ですので、一度難波か京都の外来へ来られては如何でしょうか。曜日が異なります。
事前に 090-2287-1021 へ電話相談をしてください。斎田。


Q(NMOSD-56) 有痛性強直性けいれんの治療にリオレサール、芍薬甘草湯は有効か?kaopon   2019.7.11-23:36
48才、女性、静岡県。

質問は有痛性強直性けいれんの痛みについてです。皆さんそうかと思いますが、この有痛性強直性けいれんの痛みが激痛で、私の場合、まず左足が硬直したのち、次は右足に痛みだけが移動して激痛を伴い終わるという感じ。この間時間にしたら、1分は要していないと思います。
心臓にも悪い影響がないか心配になるくらいで、先生に確認したら、心臓には特別影響はないので安心してくださいとの回答ではありましたが、とにかく痛みがひどいです。
現在は、この痛みの軽減にリオレサール錠5mgを6錠飲んでいます。あと追加的に、芍薬甘草湯を飲んでいます。薬の効果か以前よりなる回数は減ってはいますが、できればゼロに近づきたいです。てんかん薬はいくつかあるようですが、この薬以外で、効果が期待できるものはありますでしょうか?
現在飲んでいるお薬は、以下のものになります。先生の貴重なお時間をいただくことになるため、申し訳ないと思いつつ、先生からのアドバイスが頂ければとメールさせてもらいました。御手数をおかけして申し訳ありませんが、お返事いただければ嬉しいです。宜しくお願いします。

現在の処方:
芍薬甘草湯 適宜
リオレサール錠5mg 6錠
タクロリムス1mg 4錠
プレドニン5mg2.5錠
ダイフェン配合錠 1錠
ランソプラゾールNa錠 10mg 1錠
フルバスタチン錠 17.5mg 週に一回

病歴:
 視神経脊髄炎 発病年は明確にわからず、数年前から温度の感覚が鈍くなることがあったがすぐに治っていた。
昨年末から継続的な症状が現れた。足に痺れが感じられ、左足がつるようになり整形外科に通うも原因がわからず、次回は神経内科で見てもらった方がいいかもしれないとアドバイスを受けた。
今年のGW5月5日に左足の動きが悪くなり5月6日に完全動かなくなり、神経内科を受診。脊髄炎の可能性があるので即入院して治療を始めたいとのことで、そ日より、ステロイドパルスの点滴治療を開始、3日間連続して点滴をする治療を、3回行ってかなり改善しました。
その間に検査の結果が出て抗アクアポリン4抗体が40とのことで視神経脊髄炎と判明。血漿交換はリスクもあるので行わないとの説明を受けました。
当初は尿の出にくさがあり、左足も全く動きませんでした。
現在は、排尿も問題なく、左足も病気前の状態には届かないものの、階段も登れるほどに改善しました。
今ある症状は、両脚の平(?)の痺れ、左胸・肋骨辺りの圧迫感、そして今回質問したい、有痛性強直性けいれんです。

プレドニンは入院してすぐに飲み始め、確か5mg4錠(20mg)だったと思います。ただ私は、もともと骨密度が低く、できるだけプレドニンを減らしたいとのことで、途中より、プレドニン3錠とプログラフ(退院後はジェネリックのタクロリムス、ジェネリックでも問題ないですよね?)を1mg4錠に変更し、プログラフの効きを確認しながら血中濃度が本来4ほしいが3.7まで確かめられたので、現在はプレドニン5mgを2.5錠(12.5mg)とプログラフ4錠を飲んでいます。

「有痛性強直性痙攣(painful tonic seizure)」あるいは「tonics seizure(強直性痙攣)」は脊髄後策の上行性感覚神経策に病巣があり、神経軸索の異常興奮が起きる、てんかんに類似した現象であると考えられています。意識消失を伴わず数秒から数十分続く主に四肢筋の強いジストニー様の強張りで動かせなく成る発作であり、しばしば強い筋の痛みを伴います。視神経脊髄炎には特に多い症状ですが、多発性硬化症でも経験します。
治療にはカルバマゼピン(テグレトール)、クロナゼパム(ランドセン、リボトリール)、クロバザム(マイスタン)等が使用

貴女の現在の処方にはそうした薬剤は含まれていません。「リオレサール錠5mg 6錠、芍薬甘草湯 適宜」 はいずれも「痙性亢進」、即ち筋のツッパリや、強い時には姿勢によりガクガクする痙攣様のリズミカルな運動を呈する状態を緩和する薬です。有痛性強直性痙攣にはほとんど効果は期待できません。その他の薬は関係ありません。
何故貴女の医師がこうした処方を出しているか、文面だけでは不明です。

プログラフを使用しておられ血中濃度を記載しておられます。やや低い様に思われますが、服薬からの時間により、数値は異なりますので、適正で効果を期待できるかどうか、判定できません。
再発から2月余りでかなり改善している様ですので、しっかりとリハビリを続ければ、完全回復も望める可能性があります。


脳脊髄液検査で異常のないMS富永美代子   2019.7.8-15:19
36歳女性
MS発症後5年
テクフィデラ 使用
抗アクアポリン4抗体陰性
人工関節留置につきMRIは撮っていません。
この度、病院を転院し再度脳脊髄液検査を行ったのですが、全く異常がありませんでした。
5年前の検査結果では異常が見られたのかは不明です。
数回、再発がありますがステロイドパルスで改善しています。
脳脊髄液検査で全く異常がないMSはあり得るのでしょうか??
医師が確かな回答をするためには情報が不足しています。
ページ冒頭の注意書きにあります@〜Hの項目を書いて再投稿をお願いします。

医師はしばらく海外主張中でしたのでこの連絡が遅れましたことをご了承ください。

MSネットジャパン事務局

ご回答ありがとうございます。J   2019.6.14-17:58
 目の痛みは、ここ10年程度前からあり、当時から眩しさが強く苦手でした。偏向レンズで光を少しでも減らし生活しております。今までは覚醒時に痛みが出ていたのですが、最近、就寝時でも痛みが出てきたので、不安になっておりました。
 先日、眼科にてあまりにも右目が痛い旨を伝えると、そんなに痛いなら…ということで点眼して頂いたのですが、特に改善なく眼科医より、「今回点眼したものは常時使用するものではない。これを薄めたものを処方しましょう。」ということで、ラクミリンを処方して頂きました。使用してみるものの特に改善無く悩んでおりました。
 次回受診時、神経内科主治医へ、再度目痛についてお話しし、鎮痛剤等を聞いてみたいと思います。貴重なお時間を割いて頂きありがとうございます。

Q(MS-294) 慢性的な眼の奥の痛みJ   2019.6.12-12:18
青森県、男性、42歳。
前回退院(昨年9月)し、質問(MS-282)させて頂いたものです。

現在悩んでいるのが、目の奥の痛みです(両目の痛みあるが、最近は右目の痛みがやや強い)。
離床していても臥床していても目の痛みがあり、どうしたらよいものかと悩んでおります。
主治医からは、多分若い頃に視神経に障害があり、残ってしまった部分がくすぶっているのが原因かなぁ?とりあえず眼科で…と言われ、眼科では特に所見はありませんと言われ、困惑しております。
この目の痛みを治療することはできるのでしょうか。それともジレニア内服中に、視神経が自己修復し治るものなのでしょうか。ご教授いただければ幸いです。何卒、宜しくお願いいたします。

近日まで治療して貰えず、やきもきしていた所、主治医変更に伴い5月より治療して頂ける事になり、現在ジレニアを内服しております。
自覚症状は、両下肢のふらつき・両手(特に利き手の右手末梢に痛みあり)の痺れ感・目の奥の痛みがあります。
アクアポリン陰性、JCV陽性、脳MRIはMS的。
現在、神経内科と眼科を受診しております。

MS/NMOsdの方では視神経炎の炎症が視神経を取り巻く髄膜に及ぶことが多く、髄膜の中の痛みの神経が刺激されて、眼痛を伴うことが多いです。初期やピーク時には眼球運動で痛みが増強することが多いです。炎症が停止すれば、痛みは消失することが多いですが、痛みが残ることもあります。非常に長期に継続して痛むことは普通はありません。

経過が充分には分かりませんが、MSの視神経炎が長期にクスブルということは、経験しません。神経痛が慢性化することはあります。
痛みの治療には各種鎮痛剤を利用しますが、担当医がお分かりのはずです。


Q(MS-293) MSと「めまい」の関係は?のじみ   2019.6.10-14:05
38才、女性、愛知県在住、

MS、2005年頃発症し、現在後遺症なく無治療です。何度かお世話になっています。
最近地面が揺れるような「めまい」を感じることが多いです。MSとの関係はありますか?MRIでは脳幹にも病変があります。
よろしくお願いします。

MSで脳幹に病巣があるのであれば、めまいはそれに基づく可能性があります。しかし、診察をし、MRIを見ている医師でないと確定は難しいでしょう。
MSの無い人にもめまいは多く、目眩の原因は頸部、内耳、脳幹、大脳などが絡み複雑で、特徴的でないと明確な部位診断ができないことが多いです。


Q(MS-292) 体温上昇MSの進行を早めるか?マス   2019.6.6-19:38
40歳、女性、熊本在住です。

MSを発症して10年。フィンゴリモド(ジレニア)6年内服中です。
現在の症状、は視野の中心以外の殆どがボヤけていることと、右半身の軽度麻痺です。
最近、汗をかくほど気温が高く、喉ボトケ辺りの皮膚がピリピリチクチクしますが、
これは症状悪化なのでしょうか?
もしもこれが体温上昇による一時的な症状悪化でしたら、体温上昇を繰り返す事はMSの進行を早めることに繋がるのでしょうか?

体温が上がることがMSの進行を早めることはありません。

MS患者さんはウートフ現象をしばしば経験します。これは体温上昇時に、前から存在している症状が増強したり、以前あったが消えていた症状が同等か軽くなって再び出現する、あるいは、無かった症状が出現したりする現象です。一時的な症状であり、体温が低下すると消える現象で、真の悪化ではありません。すでに有る病巣、症状は出さなかったが残っている病巣に基づく症状の再出現です。

貴女の場合、喉のあたりの皮膚の感覚鈍麻あるいは異常感覚が以前に一度も出たことが無いのであれば、今回の現象が始まった時かそれ以前に経度の再発があったことが疑われます。


Q(MS-291) Iga血管炎を合併したが関連は?Y. Y    2019.6.5-9:07
41歳、女性、大阪府在住。

2009年に発症、MSと診断されました。
現在は、テクフィデラ服用。
抗アクアポリン4抗体、脊髄3椎体は、聞いてません。
現在、MRIで病巣なし。

5月14日に、IgA血管炎と診断されました。何か因果関係は、ありますか?
治療に関して、報告したほうが宜しいでしょうか?

MSにIgA血管炎を合併することは非常に稀で、私のこれまでの1000人以上のMS患者さんの中ではありませんでした。海外での文献を検索してみましたが、そうした報告を見つけられませんでした。
またジメチルフマル酸(テクフィデラ)治療でIgA血管炎が発生した例があるかどうかですが、私の400名の経験ではありませんし、海外文献の検索でも見つけることはできませんでした。
従って、貴方の場合は偶然の合併ではないかと考えられます。

ただ、貴女の場合、10年のMSの経過があるが、MRIの病巣が現在は無いと記載しておられます。
かなり強力な治療がなされたなら、あり得ますが、自己注射薬やテクフィデラ治療では比較的稀な事です。
一方、MSに類似した視神経脊髄炎(NMO)では50%程度の方が、他の自己免疫疾患を合併します。
IgA血管炎も自己免疫疾患ですし、MRIに病巣が無いということもNMOではよくあることですので、貴女の病気が本当にMSか?、NMOでは無いことをもう一度確認した方が良いと感じます。

IgA血管炎は通常は一過性の病気であり、腎炎が出ない限り、治療なしで経過を見ることが多いようです。治療が必要なら一時的にステロイドを使いますが、MS治療に害になるということは有りません。

脳神経内科と内科の両方の先生がとうぜん知っている必要がありますが、特に急ぐ必要はありません。 


Q(MOG-27) 免疫抑制剤の開始時期についてtamaya2   2019.5.23-7:34
35歳、女性、沖縄県在住です。
MOG脳脊髄炎で、以前ご相談させていただきました(MOG-26)。度々すいません。

現在、血漿交換やステロイドパルス点滴などの治療は終わったようで、飲み薬(プレドニン30mg)のみを服用していますが、免役抑制剤は、すぐに開始するものでしょうか? プレドニンを減らしてから始めるのでしょうか? 
プレドニンを飲み続けているので、副作用が心配になりご相談させていただきました。

安全で効果発現の速い免疫抑制剤を早期に開始した方が良いと考えます。
脳神経内科の先生はあまり免疫抑制剤使用の経験が無い方が多いので副作用を懸念し躊躇する方が多いのですが、正しく選択し、必要最小の適正な量を維持すれば副作用を経験することはほとんどありません。

プレドニン30mgから15mgぐらいまでは効果が高く、再発を経験することはほとんど有りませんので、かなり急速に減量が可能です。その間に免疫抑制剤の使用量を調整し、有効性を確保しておいてから、15mg以下へ安心して減量を開始し、半年から1年で0とします。その後は少量の免疫抑制剤単独で副作用なく治療が可能です。


早速のご返答、ありがとうございました tamaya2   2019.5.8-22:59
現在プレドニン30ml(その他、胃薬、リリカや骨粗鬆症防止薬)服用中ですが、主治医の先生とのお話では免疫抑制剤との併用になりそうです。ステロイドの副作用が心配なので、治療方針が決まり、そちらでセカンドオピニオンで受診出来そうな事が決まりましたらまたご連絡させていただきます。誠にありがとうございました!

Q(MOG-26) MOG抗体陽性だがMSか、予防治療は? セカンドオピニオン受診は可能か?tamaya2   2019.5.7-14:41
35歳、女性、沖縄県在住です。 初めまして。

2018年10月に、痙攣を起こし搬送され、無菌性髄膜炎と言われました。
入院中に、目が霞んできて、両側球後視神経炎といわれました。
ステロイドパルスを2回行い、ほぼ真っ暗だった視力は回復してきたのですが、現在色覚に異常が残っています(青白く見えます)。
2019年1月に退院して、プレドニン3錠(15mg)まで減薬しました。

3月頃から足の痺れ、浮遊感があり受診して、多発性硬化症といわれました。 その時に、検査に出していたアクアポリン陰性、抗MOG抗体陽性と言われました。現在、入院中で血漿交換5回、ステロイドパルス1回行い、浮遊感は少し改善されましたが、色覚異常は変わらずです。普通歩行可能ですが、痺れ感あり。

沖縄で遠いので通院は難しそうですが、セカンドオピニオン等で今後の 予防法等ご相談できますでしょうか? 自分のデータ等を用意出来れば家族が代わりに行く事も可能でしょうか?

これまでの臨床経過、検査結果はほぼ典型的な再発型MOG脳脊髄炎(抗MOG抗体疾患)と思われます。両側視神経炎も典型的で、多発性硬化症ではない症状です。
医学的には多発性硬化症ではなく、独立した疾患ですが、現在の日本の保険制度や行政では独立した病名とし認められていませんので、行政的には「多発性硬化症」として扱われます。

問題は長期的な治療方針です。
担当の先生から情報提供を頂き受診していただくのが通常ですが、ご自分でデータを用意して来ていただいても相談は可能です。こちらでも採血やMRI検査をしますので、本人が来てくださる方がいいですが、担当医が詳しい情報を提供してくださる場合は、家族でも相談に乗ります。
必要なら、お電話をください.(090-2287-1021)


Q(MS-290) MS疑い 半年後に再MRI、様子見で良いのかT   2019.4.18-18:49
35歳、女性、神奈川県在住。

MS疑いで様子見中
3月下旬に半身の倦怠感、動かしづらさ、ろれつが回らなくなり、意識が朦朧とし、一時間弱で収まりましたが虚血性発作かと思い大学病院受診。
頭痛が数年前からあり、足の裏のしびれが最近出たり治ったりです

脳に5個から7個程の若年性白質病変
脊椎MRIは異常なし
抗アクアポリン4抗体の結果は問題なしですといわれ、様子見になりました。
半年後、一年後とMRI を撮って、病変に変化があれば、そこからの検査にしましょうと言われています。
髄液検査はしていません。
こちらのHPで、もしMSであれば早めの投薬が有効と知り、様子見で良いのか不安です。
MS疑いで脳MRIに病巣がある場合、画像所見の特徴でMSらしさを評価します。
その程度により、次のMRI検査や種々の他の検査をどの程度急ぐかを評価できます。
ただ、脳神経内科医師でもMSの経験に大きな差があり、しっかりと評価できる医師はあまり多くありません。髄液など、他の検査データがあれば、総合して評価します。
貴方の場合、記載内容だけでは判定できません。

Q(MS-289) フィンゴリモドの感染、PMLリスクは? 減薬、テクフィデラへの変更は?K   2019.4.2-19:51
東京在住19歳女子学生の母。MS-268他。何度も質問させていただいています。ありがとうございます。

フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)を3年服用中。何度もリンパ球の数が大幅に減少しながらも継続しています。数値100弱から300程度。直近150以下。
JCV抗体インデックス3.45と高い状態です。
半年毎の経過観察M R I問題なし。

リンパ球が継続して低値である事を問題視され、JCV抗体値が高いこと、HTLV-抗体陽性であることから、週1日ジレニアを減薬して数値の変化を見る事になりました。
また再発がなく後遺症らしき症状がないこと、将来の妊娠を見据えた上で、テクフィデラへの移行を検討してもいいのではと話がありました。減薬しつつ導入し移行させる方法のようです。
本人が所属する大学の学科の都合上、3年以内に生ワクチンの接種が必要なため、どこかのタイミングで薬の変更なり中断を予定しています。以前、一時的にタイサブリを使用する方法を教えていただきましたが、生ワクチン接種が可能で薬を中断せず出来るようなら、これを機にテクフィデラへの変更でいいのではと感じました。
ただ、本人が戸惑っています。リンパ球数値が低くても体調崩す事がなかったため、現在の薬が合っていて感染症リスクの影響は受けてない、と本人の感触としてはあるようです。可能な限り効果の高い薬を使い、さらに効果の高い薬が出るのを待ちたいようなのです。
主治医を変更したばかりでもあり急いではいないためゆっくり考えた上で本人の納得のいく予防策を講じたいと思っています。
減薬、薬の変更についてどう考えたら良いでしょうか。

2015年秋15歳、右半身の感覚異常でMS発覚。パルス1クールで軽快。3ヶ月後無症候性の脳病変1つ出現。再度パルス1クール。自覚ある後遺症なし。大脳に5個程度と脊髄、胸髄にひとつずつ病巣あり。
主治医を以前ご紹介いただいた先生に変更しました。
私のパソコンにウイルスが感染し、返事が大変遅れ申し訳ありません。非常に多くの情報が記載されており、全てに丁寧に返答するのは膨大で論文のようになりますので、私の結論を簡単に記載します。

ジメチルフマル酸(テクフィデラ)に変更し、様子を見るので良いと思います。
変更にあたり、事前にフィンゴリモドを減量すると、再発が生じ易くなります。テクフィデラの方が効果が低く、効果が充分に発現するのにかなりの日数がかかるためです。変更して4月後までリンパ球数は増大し、再びゆっくりと減少し1年後には一定の数になりますが、フィンゴリモド服用中に低かった方は回復が悪いことがあります。ゆっくり減量したり、空白期間を作っても長期的な回復の程度は同じことですし、再発を誘発する危険の方が危惧されます。

フィンゴリモドで長年安定していた方でも、テクフィデラへの変更後に再発が生じたり、脳MRIに無症候の新病巣が出る可能性がありますので、2年間程度は3月に1回のMRIが、再発が無くても必要です。


Q(診断未定-6) MSなのでしょうかこたっちゃん   2019.3.28-0:01
24歳 女、愛媛県在住。MS疑いと言われた。

2019年3月20日。
夜、買い物中突然足が上がらなくなり歩けなくなりました。立位保持も不可能でバランスがとれず転倒するような状態でした。痛みやしびれといった感覚もいまいちわからず、ただ足が重たいといった感覚でした。

翌日、21日。
祝日であったため 救急に受診。歩行不可能であったため車椅子使用。腰椎のMRI撮影するが異常なし。診て頂いた先生が明日から転勤であったため近所の整形外科(クリニック)に紹介状を書いて頂くことになりました。両手足しびれのような感覚で物をしっかり掴めなくなっていました。

紹介して頂いた整形外科クリニックに受診。膝蓋腱反射が亢進している、他にも反応が普通見られないところにも反射反応がみられるということで、多発性硬化症を疑われ総合病院に紹介状を書いて頂き受診しました。
しかし神経内科の先生がおられず、内科の先生に診て頂くことになりました。専門外ということで、多発性硬化症を否定する形で全身の検査を行うと言われ、一般採血、脳のMRI撮影。どちらも異常はありませんでした。
21日から強い疲労感もあり、会話をしているだけで息切れしたりします。手足、背中の痛みがひどく眠れない日もありました。
神経内科の先生が27日におられるということでそれまで様子観察となりました。
27日までに足、手以外にも背中にも痛みが出現し、どこもしびれ、痛みとともに、時々突っ張るような引きつるような痛みがありました。自宅内でも車椅子を使用していました。

26日手のしびれはあったものの、足がいつもよりかは不自然ですが歩行が可能になり27日には何事もなかったかのように日常生活を送れています。
今日はとくに痛みといった痛みもなく日常生活に支障はありませんでしたが、腕からにかけて両手も背中に痛みが出現してきています。
それまでお箸も持てなかったがフォークでかろうじて食事をするような状態でしたが27日の夜にはお箸で食事することが可能になりました。

27日の受診時には、手に若干の脱力感があったものの1週間でよくなったなら様子を見て、なにかわからないと髄液検査等も行わず問診のみで終了し、また歩けなくなったら受診して、と言われました。
27日受診時にも膝蓋腱反射は亢進しておりました。

今日、28日はとくに痛みといった痛みもなく日常生活に支障はありませんでしたが、腕からにかけて両手も背中に痛みが出現してきています。

まず、MSだとしならこんなに早く症状が改善するものなのでしょうか。
もしMSであり寛解期になっているとしたらMRIや髄液検査をしても異常を認めないのでしょうか。
MSは寛解期にも進行する病気だと知り不安もあります。
この先、結婚、出産も考えていますので、早期発見、治療をして頂きたいと思っています。

今回の検査だけでは、病名を確定することは困難です。
今回の症状である四肢の麻痺を起こすことのできる病巣の場所としては、頸髄が最も疑わしいと思われます。脳よりも脊髄のMRI
を先ず撮影するべきでしたし、今からでも撮影する価値はあります。
髄液検査も行うべきです。
常勤の脳神経内科の先生のいる病院でないと無理でしょう。週に1日だけ来られる病院ですと、その日の内にする仕事の中で優先順位は低いと判断されたのでは、と推察します。

発症が非常に突然の様ですが、多発性硬化症では急速な場合でも数時間の間に徐々に進行することが普通で、あまりに急速な様に思います。回復もやや急速すぎるかと思います。しかし、多発性硬化症、視神経脊髄炎、MOG脳脊髄炎のいずれも可能性はあります。
脊髄の循環障害も調べる必要がある様です。いずれにしても、検査不十分です。
先生は心因性を疑っておられるのかもしれません。


Q(MOG-25) 小児抗MOG抗体視神経炎再発についてキラキラ   2019.2.20-12:58
9歳 女児 長野県 

小児抗MOG抗体陽性者での視神経再発の時は、炎症反応がなければ、再発とは言いませんか?
どのような結果、症状がでた時に、再発と言いますか?
結局、検査結果は、抗MOG抗体視神経炎ではなく、普通の(?) 視神経症と言われました。治療は、しないかもとの事。
このまま、様子を見ていていいのでしょうか?
教えてください、よろしくお願いします。
日々、気を付けて生活しているのですが、注意することはありますか ?

病歴:
2016年,突然2〜3日で、両眼全く見えなくなり、パルス3回、血液製剤で、よくなる。入院期間3ヶ月。MOG抗体4016倍。頭部MRI病巣1個。
抗MOG抗体陽性だが、多発性硬化症CISと診断された。 

2019年2月7日、真ん中が薄暗く、何本か線が見え、光が眩しく、全体的に、色が濃く見える。翌日、2月8日から入院。
両側中心視野の欠損を認めていますが、明らかな炎症反応(??)は、ありませんでした。軽度の視神経炎と診断されています。
頭部MRI, 脊髄MRI,血液検査、髄液検査、視覚誘発電位、聴性脳幹反応、体制感覚誘発電位、異常なし。
抗MOG抗体は、検査中。

担当の先生が診断名につき混乱しておられるようです。子供さんの病名は多発性硬化症ではなくMOG脳脊髄炎(あるいは抗MOG抗体疾患、抗MOG抗体関連疾患)が医学的には正しいです。
しかし、病名をどうするかは未だ学会などが統一した見解を表明しておらず、日本の行政機関では多発性硬化症か視神経脊髄炎しか無いため、行政的にはいずれかの病名に無理にしているのが実情です。

小児のMOG脳脊髄炎では再発が無い、1度だけの方が比較的多いのですが、再発を反復する方も多いです。前者では抗体が急速に陰性化しますが、後者では陽性が続くことが多いです。もし陰性となっていても、病名は変わりませんし、多発性硬化症に変化するわけではありません。

両眼の失明は特徴的症状です。再発症状があったのであれば、髄液検査が正常であっても、再発でないとは言えません。再発症状が軽ければ、MRIでも変化を確認できないこともあります。
パルス点滴などを実施すると同時に、長期的な再発防止治療の開始も必要です。

日常生活で気をつければ再発防止が可能といえるものはありません。安全な長期治療をするべきです。


Q(MS-288) MSでは進行しない者は無いのか? 最近は診察、治療を受けていませんKT   2019.2.18-17:47
52歳 女性 埼玉県在住

最近MSの資料をみて、進行しないものはないいような記載がありましたが、そうなのでしょうか?特に強い症状がなくても診察を受けた方がよいでしょうか?
よろしくお願いいたします。

2010年に発症しました。身体の半分近くの皮膚感覚がなくなり、歩くことが難しくなりました。
MRI検査で、脱髄の病巣が7箇所あり(脳内3箇所と脊髄4箇所だったと記憶しています)、多発性硬化症と診断されました。
ステロイドの静脈注射を2週間、その後ステロイドの経口薬で2週間ほど治療を行った結果、ほぼ回復しました。
そのとき、詳しい検査名は忘れてしまいましたが、髄液を取る検査を行い(東北大に資料を送って検査と言われました)、進行の早いタイプではないと言われました。
その後2年間ほどは、半年に一度MRIの検査を行いましたが、脱髄の箇所に変化はなく、時々軽いしびれや皮膚感覚が少しおかしいことがありましたが、後遺症だと思われるということで、特に治療は行いませんでした。
発病3年目以降は、受診しておりません。症状は変わらず、疲れた時に、身体の一部がしびれたり、皮膚感覚が少しおかしくなったりはしますが、発病した時のような強い症状は全くなく、特に治療もしていません。

MSでは無治療で放置すると、大半の方は10年、20年の後に、歩行障害や記憶力の低下、認知症などの障害進行が持続するように変わります。

MSの大半の患者さん(94%)は初期に臨床的に比較的急速な悪化があり初発とされ、ほとんどの方はその後再発を1度以上経験しますが、初発だけあり再発を経験しないかたもあります。

もし無治療で放置すれば、発症から10〜15年後には50%、40年も経過すれば90%の方が、二次進行型へ移行し、ゆっくりと障害の増悪、進行がつづくようになります。1990年までの無治療の時代でのデータです。
この割合は近年次第に有効性の高い治療が増えてきて、急速に低下しつつあります。発病から5年以内の初期に有効性の高いナタリズマブ(タイサブリ)やフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)などでの治療を開始した人では非常に少なくなることが示されています。

貴方の場合、MSの診断が本当に正しのであれば、脳MRIを定期的に撮影するべきです。脳の病巣は、出ていても症状を出さないことが90%以上ですので、撮影しないとわかりません。
診断が正しいのなら、安全性が高い治療がありますので、治療を開始するべきです。


Q(MS-287) 眼科の継続的なフォローが必要か?TK   2019.2.5-18:14
35歳、男性、大阪府在住。
2004年発症のMS。
現在の症状は左親指、人差し指の感覚異常で、EDSS 2.5。
現在の治療はテクフィデラを1年前から服用。(その前はイムセラ 約1年)
脳MRI病巣は約10個ぐらいだが非常に小さい。MS的(Dawson's finger様)

現在、病状は安定しています。
目の症状は2016年の診断確定時以来、特にありません。
2016年の時も自覚症状は無く、多少の複視とフリッカー値の左右差があっただけでした。

主治医は症状が無ければ、眼科への定期的な受診は不要と言われましたが、その認識は一般的でしょうか。それとも半年なり継続して受診した方が良いでしょうか。先生のご意見をお聞かせ頂ければと思います。
よろしくお願いいたします。

貴方の場合、2016年の初発時に、視力、視野障害を自覚していないのに、フリッカー値の左右差があり、軽度の視神経障害が見つかったとのことです。こうした、軽度の障害は検査をしなければ発見できませんので、時間とお金が許すなら、時々診察、検査を受けた方が無難でしょう。恐らく年に1度程度の通院で充分でしょうが、断言はできません。どれだけのリスクがあるか、予測は難しいです。他の眼科の病気を発見することもあります。

治療がうまくいっているMS患者さん、特にタイサブリやフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)のような効果の高い治療をしている場合は、多くの患者さんで再発は稀ですので、昔のように、眼科へ定期的に通院する必要は、あまり無いと思います。テクフィデラはそれに次ぐ効果がありますが、再発が有る方もあります。
MSの患者さんの再発時の目の症状は、視力低下、視野障害、複視(2重に見える)、眼振、斜視などです。私はこれらの自己判定法をお教えしています。週に1度以上、左右の目を別々に自己評価することが大事です。

フィンゴリモド服用の初期の6ヵ月は、副作用チェックのために定期的通院が重要です。


Q(MS-286) 帯状疱疹によるMS再発の可能性についておとと   2019.1.30-11:24
36歳、女性。神奈川県在住。
MS患者です。2年ほど前に、JCウイルス抗体陽性でのテクフィデラ導入について質問させていただいた者です。帯状疱疹とMS再発の関連性について、斎田先生のご意見をお伺いしたく、質問させていただきます。

1)帯状疱疹の発症を機にMSが再発する可能性はありますか?
2)疼痛が改善されない場合の対処法について、ご教示いただけましたら幸いです。

先日、帯状疱疹を発症しました。発症後すぐに治療を開始したためか、経過はすこぶる順調なのですが、患部から離れた箇所に疼痛がありロキソニンが手放せない状態です。
帯状疱疹の症状は右胸部〜右背部にかけてです。
疼痛箇所は右掌と右ふくらはぎから右足裏にかけての2箇所です。
当初は帯状疱疹患部と右太腿に疼痛がありましたが、太腿の痛みは消失、患部は時折軽く痛む程度に落ち着いています。
火傷のようなピリピリとした痛みと、チクチクとした痛みに加え、シビレ感も少し感じています。
日中よりも夕方〜夜間にかけて強く出ることが多く、箸を持つのも辛いことがあります。
ロキソニンで凌いでいるものの、このまま常用することに対しては少々気が引けております。
皮膚科の先生の見解では、患部から離れた箇所に痛みが出るのは珍しいとのこと。多発性硬化症の症状の可能性もあるのでは?というお話でした。

病歴:
2015年6月、左目の球後視神経炎で初発。
2015年12月と2017年1月の2回、無症候性のMRI再発あり。
大脳病変は初発時に3つあり、脊髄病変は無し。病変はいずれもMS的であると聞いています。
抗AQP4抗体、抗MOG抗体は東北大での測定で陰性でした。
2017年4月からテクフィデラを開始、以降の再発はありません。
(2019年1月初旬から、少々頻尿気味のため、近いうちに泌尿器科を受診予定です)

返答が遅れ申し訳ありませんでした。

1)帯状疱疹の発症を機にMSが再発する可能性はありますか?
A:一般論では、帯状疱疹に続きMSが発症したり、再発があったりすることは時に経験します。貴女の場合は、痛みだけが出現しているようですので、再発である可能性は低いと考えます。脊髄のMRIでかなりわかるはずです。
MS再発症状として痛みがでることは稀にありますが、ほとんどは感覚鈍麻、感覚低下、感覚麻痺が出現した後に、同じ部位で、感覚が戻る途上に痛みやジンジン感、シビレ感が出現します。痛みだけが最初から出ることは稀です。
しかし、痛みの原因を決めるには、診察や種々検査、MRI検査などをしている担当の脳神経内科医でなければ難しいと思われます。

2)疼痛が改善されない場合の対処法について、ご教示いただけましたら幸いです。
A:痛みへの対処は、原因とは関係なく可能です。
ロキソニンで効果があるとのことです。ロキソニンは、長期に常用すると副作用が懸念されます。脊髄由来の電撃痛様の神経痛であれば、ロキソニンはあまり効かず、テグレトール、リリカなどが効くことが多いです。リリカなどはどのような痛みにも有効で、眠気などを除けば安全です。いずれも帯状疱疹の末梢神経痛でも有効であり用います。他にも種々の鎮痛薬があります。脳神経内科医師であれば使い分けをご存知のはずです。
神経ブロックや外科治療、ガンマナイフ治療などもあり、疼痛発生部位を同定するのに役立ちます。
注意すべきことは、慢性的疼痛は初期に軽減する治療が大切です。長期に持続すると、原因に関係なく脳内の疼痛増幅回路が活性化され、増悪が続くようになります。運動をする、目的を達成するなどして、痛みを忘れる工夫が大切です。


Q(MS-285) 反復する脳幹症状の発作はベタフェロン治療開始後に出現。関連は?(MS-284続き)レガシィ   2019.1.30-10:03
御回答いただきまして、ありがとうございます。
発作は20秒程度でおさまりますが、繰り返し発生する状況は変わりありませんので、
症状が変わらなければ何かしらアクションを起こしたいと思います。
主観では注射開始後に症状が出たように感じていますが、それは関係ないものでしょうか?
脳の病巣は脳幹部でした。
パルス時は複視、呂律障害、右半身全体の麻痺、失調、浮遊感の症状が出ておりました。

発作は睡眠中にも起きているかは不明ですが、それで起きるということはありません。
意識障害もありませんが、例えば歩行時に起こると、失調が強く出るため歩行できなくなります。入院中はギリギリ歩行できていた状態が最悪だったので、それより悪い状態になるわけです。

12月15日から土日月と、3日間、3週に渡ってパルスを行い、1月7日あたりから回復して参りました。徐々に回復が始まった12月末から1月6日くらいまで、言語聴覚士レッスン中に声に出して読んでいる最中に発作が起こることがあったと記憶しております。
その後、12月7日から注射開始する11日までは発作も治まっていた気がします。
本当に治ったのかは定かではありませんが。
翌週の1月13日あたりからは1日1回か2回、シェーバーを吹いた時の過呼吸で発作が起こり、治ってないことに気づきました。
入院中はそのような過呼吸、体勢を変えるなどの発作のスイッチがありましたが、退院後は関係なく襲ってきます。
ただし、体勢を変える時は100%発作が起こります。車に乗ったりしている時は揺れを強く感じたりもしますが、揺れなども関係あるものでしょうか。

また、ご忠告いただきました件、導入薬としまして、テクフィデラではいかがでしょうか?再発はしたくないと考えております。

(1)
ベタフェロン自己注射を開始した時期に一致して発作が始まったとしても、それが発作の原因であるとは言えません。
MSの数%は長い経過中にてんかん発作を経験します。MSの病巣があることに基づきおきる神経細胞・繊維の異常興奮で生じるのであり、後遺症の一種です。
前回のQAにかいた発作治療薬を試してみてはいかがでしょうか。診断にも役立ちます。

(2)
初めての長期治療薬の選択としては、テクフィデラのほうが自己注射薬より優れています。
効果が高く、副作用は有っても、対策があり、中止せざるを得ないのは40人に一人程度です。


Q(MS-284) 失調症状増悪の発作がおきるが原因は?レガシィ   2019.1.27-16:42
40歳、男性。埼玉県在住、ただし青森県で初発治療。

発作は、入院時は1日に1回程度だったものが、退院直後、病院を出た車の中で発作が発生。退院してから発作は2〜5分に1回くらいと、頻発している。

こみ上げて来る感じでおおよそ、発作が起こるのがわかる。
発作が起こると、呂律が回らなくなる、右目に違和感、複視になることもある、右手、右足の失調が強くなり、まともに歩行できなくなる。
体勢に関係なく、横になっている時も座っている時も起こる。寝ていて起き上がる、座っていて立つなどの体勢を変える時も起こる。
発作が起こると、すべての症状がぶり返しますし、治療中よりその数十秒は酷い気がしております。本当にキツイです。この症状は一体なんなのでしょうか?

現在の発作の症状が退院してからのもの(?)で、かつ後遺症として症例も報告されていないことから、主治医は経過観察にしています。次回は2月4日に単純MRIを撮影する予定です。

初発は2018年11月20日
ステロイドパルスは3クール行い、右半身の麻痺は1月7日あたりから良くなってきました。右半身麻痺と失調、複視、目が動かないなど、症状出ておりましたが、だいぶ回復はいたしました。右手と右足に失調が残っているが、他に懸念項目無しとして1月19日に退院した。
慢性的には右手、右足に失調が残っておりますが、走れないが歩くのに支障はありません。

その他の病歴:
現在の治療はベタフェロン 1月11日より
抗アクアポリン4抗体 陰性
MRIで脊髄に病巣ありだが、詳細覚えておりません。
MRI 脳に病巣ありだが、詳細覚えておりません。

非常に珍しい症状であり、発作症状をみていませんので、推測でお答えします。間違っているかも知れません。
以下のようなことは、脳神経内科の医師であればご存知のことと思いますが、MSでの発作を起こす頻度は2,3%ですので、ご経験はないかもしれません。

発作が2〜5分毎におきるとのことです。1回あたりの持続時間は記載がありませんが、短時間でもどると推察します。意識障害は無いと思われます。睡眠中は起きないのでしょうか?

てんかん発作の一種かもしれず、通常の脳波検査や脳幹での発作をしらべる特殊な脳波検査も必要かもしれません。
MSの症状としててんかん発作が起きることがあります。
MSやNMOSDで有名な症状として「有痛性痙攣」という発作症状がありますが、脊髄に発生する一種のてんかん発作です。

原因となっている脳の病巣があると思われますが、入院中に始まていた症状ですので、新規の病巣によるのではなく、古い病巣が起こしていると思われます。古い病巣が時間を経て発作症状を起こすことが多いです。

治療としては、テグレトールやラミクタールなどの発作に用いる薬をためしてみてはいかがでしょうか。効果判定により診断にも役立ちます。

また、長期の再発進行防止治療としてベタフェロン治療を始めたとのですが、中年男性では進行型へ移行する率が高く、より有効性の高い治療を初期から利用することでそうしたリスクを下げた方が良いと考えます。


Q(MS-283) セカンドオピニオンのタイミングについて(再度修正して投稿)おにぎり   2019.1.25-18:45
36歳、男性、東京都在住。妻より。初めて質問させていただきます。

病歴:
@ 2015年ごろ初発。軽く呂律がまわらなくなる症状が1週間。病院行かず。
2017年夏頃に右腕、右足に有痛性けいれんがみられる。脳神経外科の町医者を受診し、漢方処方され1週間でなおる。
A 2018年12月、インフルエンザワクチン接種の約10日後に左足が痺れ、右足膝下が全く動かなくなる。ここで多発性硬化症を疑われ検査入院。
MRIで脊髄に炎症が見られるとのことで、検査入院中にステロイドの点滴を3日しました。
2019/01/22に多発性硬化症と診断されました。2018年12月が初発ではないかと言われました。
B 2019/01/24の夜から手の平の痺れ(?)を訴えたため受診。握力は左右ともに50ありました。25日午後にMRIを撮ったところ再発がみられたので、先の投稿を修正して再度投稿させていただきました。
現在、歩行障害などはありません。
脳MRIで、数えてはいないが、5個くらいはあると思う、と言われました。多発性硬化症という名前だけしか聞いていません。
抗アクアポリン抗体や脊髄の病巣について聞いていません。

担当医の治療方針の説明:
2019年2月中旬から入院して自己注射の治療を始めると言われました。

主治医からはつい先日多発性硬化症と言われただけで、夫がいまどんな状態にあるのかなどは詳しく聞いていません。今後は入院して自己注射の治療を始めていくと言われました。治療薬は医師数人で話をした結果、ガイドラインに沿って順番にやっていくとのことでした。
前回からたった1ヶ月で再発したことに驚いていて、とても不安です。
どうしても効果の高い薬から始めて、少しでも再発を防ぎたいと考えてしまいます。
セカンドオピニオンの受診は、注射の治療が始まる前に行ったほうがよいのでしょうか。

聞いたことがない病名を告げられ、大変不安であろうと推察します。
ご記載内容からは2015年に初発があったと思われます。MRIを見ると脳病巣は古い病巣や比較的新しい病巣が混在しているのではないかと推測します。そうであっても比較的早期のMSだと思われます。
このHPにも書いてありますように、中年男性は途中から進行型へ移行する方が多く、それを阻止するため早期の正しい治療選択が特に重要です。

(1)
現在、手の痺れがあり、MRIで新しい病巣が見つかったとありますが、痺れ(シビレ)とはシビレ感のみでしょうか、感覚の鈍さもあるのでしょうか?
MRIの新病巣は造影が陽性だったのでしょうか?
この症状と新病巣に対する治療はどうなっているのでしょうか? ステロイドの3日間の点滴を急ぎ開始したほうが良いのではと推測します。

(2)
(1)の急性期短期治療と並行して、長期的な治療もできるだけ早期に開始するべきです。同じ日に開始できますし、重い心臓病の合併などがなければ、入院の必要性はありません。

(3) 
長期治療には日本では6種の選択種があります。自己注射薬が3種類ありますが、いずれも効果が低く、効果発現に時間がかかりますので、私は第一選択にはしません。ご主人は現在、比較的活動性が高そうですので、おすすめできない可能性が高いと思われます。
セカンドオピニオンに関しても、一般論としては早いほうが良いといえます。
診察せず、MRIも見ていない立場ですので、一般的な推測での意見であることはご理解、ご注意をお願いします。
急ぐ相談や対応をご希望でしたら、医療相談の電話090−2287−1021にお電話をください。


セカンドオピニオンの受診のタイミングについておにぎり   2019.1.25-11:53
2019/01/22に夫が多発性硬化症と診断されました。

@36歳、男性
A東京都
B多発性硬化症とだけ伝えられました
C2015年ごろ、軽く呂律がまわらなくなる症状が1週間。病院行かず。2017年夏頃に右腕、右足に有痛性けいれんがみられる。神経外科の町医者を受診し、漢方処方され1週間でなおる。2018年12月、インフルエンザワクチン接種後約10日後に左足が痺れ、右足膝下が全く動かなくなる。ここで多発性硬化症を疑われ検査入院。MRIで脊髄に炎症が見られるとのことで、検査入院中にステロイドの点滴を3日しました。
D歩行障害などは特にありません。2019/01/25現在、半日前から右手の痺れがあり受診を考えています。
E2019年2月中旬から入院して自己注射の治療を始めると言われました。
F分かりません。血液検査と髄液検査の結果から多発性硬化症によく見られる変化があったと言われました。
G聞いていません。
H聞いていません。MRIの画像も見ていません。

初めて質問させていただきます。
主治医からはつい先日多発性硬化症と言われただけで、病気の詳しいことも今後の治療の詳しいことも全く聞いていません。ただ今後入院して自己注射の治療を始めていくとだけ言われました。
情報は自分でネットで調べるしかなく、とても不安です。初期の治療が重要と知り、今のうちに出来ることはないか手探りで探しています。
セカンドオピニオンの受診は、注射の治療が始まる前に行ったほうがよいのでしょうか。

Q(MOG-24) 免疫抑制剤による癌発生増加の危険性は?YY   2019.1.16-12:54
46才、男性、横浜市在住。2018年4月に投稿(MOG-18)させていただきました。
昨年はご相談に乗っていただきましてありがとうございます。またお電話でもありがとうございました。

その後順調に来ており、昨年夏ごろから毎月1mgずつプレドニンを減らして様子を見ております。
昨年のMOG抗体検査は2回で1回目は陰性でした。
11月下旬,5mgになったところで再度抗体検査を出しましたところ、陽性反応(数値としては低い)が出てしまいました。
私の主治医もかなりがっかりした様子で、今後プレドニンを減らさず、しばらく5mgを継続し、それと並行で免疫抑制剤も検討していこうということになっております。

そこで免疫抑制剤についてですが、一部でがんを誘発してしまうような情報もあり、不安があります。素人が入手した情報ですので全ての免疫抑制剤がそのようなことにはならないかと思いますが、その危険性はありますでしょうか?
陽性反応はでましたが、身体に不調は全く出ておらず、普通に生活、仕事を行っております。
お手隙な時で結構ですので、またご意見いただければ幸いです。

私がMOG脳脊髄炎や視神経脊髄炎の治療に用いる免疫抑制剤はタクロリムス(プログラフ)、トシリズマブ(アクテムラ)が多く、次いでシクロスポリン(ネオーラル)、ミゾリビン(ブレディニン)などです。稀にアザチオプリン(イムランなど)も利用します。いずれの場合も移植などで用いる量よりかなり少ない量で充分に効果が得られます。
長年の間に400人程度に利用し、肺がん、リンパ腫が1人ずつ発生していますが、通常の頻度であり、増加しているとは言えません。一方、他の様々な治療中にも、各種癌を経験します。

タクロリムスでは子供で特殊な他の免疫抑制剤を併用している場合や、大量に用いた時にリンパ腫が増加するかもしれないといわれています。また、長年アザチオプリンを利用した時、僅かに発がんが多いかもしれないといわれていますが、明確ではありません。

免疫抑制剤には多種あり、シクロフォスファミド(商品名エンドキサンなど)では発がんが少し増えるといわれていますが、MOG脳脊髄炎や視神経脊髄炎の治療に用いることはありません。
日本人の死亡の原因の半分は癌であり、癌は非常に頻度の高い疾患であり、様々な臓器に発生します。また、一般に大腸がん、肺がん、前立腺がん、膀胱がん、リンパ腫など、各種の癌が増加しています。
正しい利用法であれば、特別に心配は要らないと思います。


Q(NMOSD-55) アクテムラが効かない。今後の治療はパルス、血漿交換?たきやき   2018.12.31-10:35
60歳、女性、大阪在住。質問 突然の質問失礼いたします。
4年半前より、アクテムラで治療してきました。3年間はよく薬がきき再発もなく、再発の予兆が見られてもパルスでしのげていました。
しかし去年から再発をし、パルス、血漿交換をしております。
今年にいたっては3ヶ月に一度のペースで再発をし、パルス、血漿交換をして
落ち着いてます。ネットで調べてみてもエスケープ現象があるとかいておりアクテムラが効かなくなったのかと落胆しております。
アクテムラが効かなくなったら、以前のようにパルス、血漿交換で治療という形しか無いのでしょうか。
病歴:平成8年、22年前に発症。現在は車椅子。
過去の治療はネオーラル、プレドニンは10年以上前頃に開始。明確に覚えておりません。 最近はアクテムラを4年半服用
アクテムラはNMOに比較的高い治療効果がありますが、再発を経験することもあります。
こうした場合、長期治療を変更する必要があります。
また、アクテムラに非常に似た新治験薬での試験結果が最近学会で発表されました。大半のNMO患者さんで効果は証明されましたが、再発が止まらない方も少なくなく、完璧な治療効果ではありませんでした。

アクテムラに替わる新しい長期治療の選択肢は幾つかあります。複数の治療を併用することもあります。診察無しで紙面のみで具体的な提案をすることは無理があります。

ただ、血漿交換やステロイドのパルス点滴治療は悪化があった時に、悪化を押し戻す、回復を早める治療であり、長期に再発を防止する治療ではありません。長期の再発防止効果は期待できません。


Q(診断未定-5) 球後視神経炎で脳に病巣1個。MSとなる可能性は?みみ   2018.11.28-16:04
46歳、女性、青森県在住。
先月の入院中にも投稿し相談させて頂きました。(NMOSD-54) (MS-279)。
ありがとうございます。

その後 視神経炎という診断になり、視力回復はしておりませんが退院となりました。
MSに移行するかどうかは今の時点ではわからない。今の時点では特発性視神経炎ということです。
ただ脳白質病変が1個あり とても気になります。気にすることではないと言われる。
この年齢で白質病変が有るというのはどういう事でしょうか?
やはりMSに移行するのでしょうか?

病歴:
右目の視力低下9月末。パルスや免疫吸着で治療したが視力回復せず。
アクアポリン陰性。MRIでは脊髄胸椎にもなにも出なかった。 オリゴクローナルバンド陰性。 ただ白質病変1個あり。

初発時に視神経炎があり、脳MRIで白質病巣が1個みとめられたが、未だ再発は無い状況です。
この場合、脳に病巣が無い人に比べて、再発がありMSが確定する可能性はより高くなります。私の経験では7割程度の可能性だと思います。脳病巣の数が多ければ、さらに高くなります。

こうした場合は、脳MRIを3月毎に撮影し、新病巣が加わっていないことを確認する必要があります。
2年経過すれば、6月毎とし、5年経過すれば、1年に1回として、15年間は追跡します。
再発症状がでれば、直ぐに診察を受けます。
再発症状とはどうした症状かは、このHPに簡単に解説してありますので、一読してください。


Q(MS-282)ご返答ありがとうございます。J   2018.11.18-6:32
ご指導ありがとうございます。
 性別の記入不足申し訳ございません。男性です。
痺れ感は、ピリピリした感覚で、握ったペンをおとす状態ではありません。指先・肘の痛覚、温度感覚はあります。握力も入院時は2桁も出ない数値でしたが、リハビリを行い2桁まで戻すことができました。
 下肢のふらつきは、歩行しているとどちらか片側へ傾いてしまい何かに寄りかかって歩行している状態です。重症化するまで受診しないで欲しい話を聴かれ、ショックをうけておりました。その際に、当質問コーナーを見つける事ができ相談させて頂けたことが幸いと思っております。当方、雪国ですので、これからの季節、体調管理に注意して生活していきたいと思います。お忙しい中、お答えして頂きありがとうございました。

ご教示ありがとうございます。om   2018.11.17-20:49
本日、パルス一日目をすませました。
再発が多いため、妊娠した場合もタイサブリは継続すると、担当医は仰っています。
明確なお答え、
ありがとうございました。

Q(MS-282) はじめてMSの診断を受けた。現在無治療。痺れ、ふらつきの治療は?J   2018.11.16-9:46
41歳、青森県在住。 不躾な質問メール、平にご容赦ください。

質問:
痺れやふらつきを抑える治療はどのような物があるのか、ご教授頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。

病歴:
2018年9月発症MS.
現在、独歩であるがふらつきあり、疲労感、両手の痺れ、首・腰部の関節が傾けることで不自然に鳴る、両手を肩の高さ以上に上げると、痺れが出易い

9月上旬にめまいと両手3〜5指の痺れがあり、定期的に通っていた脳外科さんでMRIを撮り、MSの可能性があるので、分野が違うとの事で、総合病院の神経内科を紹介され、約一月入院しました。
パルス療法を3日続けて行い、3週間行い経過観察し、退院となりました。

その際、今後の治療方針の話、タイサブリ・βフェロン・テクフィデラの使用の話が出ておりましたが、退院後の治療は行っておりません。

11月に入り、両手の痺れが肘の部位まで広がってきて、今までに無い経験なので不安になり、病院受診をすると、外注で調べていた血液検査の結果がきて、タイサブリの使用はJCウイルスのリスクがある話を聴いております。

とりあえず、痺れは浮腫みからくるものなので、パルスをやると治ります。パルス療法を1クール行うとの事で3日間、外来受診で実施し、現在に至ります。

主治医には、また痺れが広がってきたら受診してもよいか確認をとると、「動けなくなったり、痛みが出た時のような重症化してからのみ受診してください。入院時の脊椎〜腰部のMRIと今回の受診時の撮影を比較すると、いくらか白っぽい部分が薄くなっている。悪化はしていないのではないでしょうか。」 と話され困惑しております。
脳MRIの画像で説明はあったが、ありすぎて判らないと濁されています。

日本語の「痺れ、シビレには大きく分けて3つの意味があり、そのうちの単独なのか、様々な組み合わせもあり、貴方の症状がそのうちのどれであるかが、分かりません。

1.最も多い使い方はシビレ感です。正座した後、ジンジンするような異常な感覚です。
2.次に多いのが、触覚、痛覚、温度感覚などのいずれか、または全てが低下している、感覚鈍麻です。1を合併することも多いです。強度の場合は感覚が完全に麻痺し、触っている、痛いなどが全く分からない状態です。
3.力が弱くなる、運動麻痺、脱力もあります。その程度は様々です。

1、2、3が様々な程度に組み合わさった状態も、「痺れ」と表現する人もあります。内容が人により異なりますので、あまり利用せず、1,2、3を別々に表現するべきです。医師がそうした指導をするべきですが、あまりされていません。

本HPの「症状と再発の自己判定法」をご一読下さい。
神経組織は運動、感覚、自立神経に大きくわかれます。本格的症状は2,3です。シビレ感は、2が有る身体の部分で、同時に出現するか、2の回復過程に次第に増強することが多いのですが、後遺症状であることが殆どです。
シビレ感はパルス点滴で1週ほど改善しても、また元に戻ることが多く、点滴は長期的には意味が無いのが普通です。
シビレ感、ジンジン感を軽減する薬としては、神経痛を抑える薬が使われます。ある程度効果があります。

「ふらつき」も様々な原因による体の不安定さ、歩行の不安定さを意味し、その原因により、対策が異なります。
下肢の「脱力」、下肢、特に遠位部も深部感覚が低下して生じる「感覚性失調」、小脳の機能低下による「小脳性失調」、さまざまな原因による「めまい」によるふらつき、大脳の特に前頭葉の障害によるふらつき、精神的な原因による「心因性のふらつき」などがあります。
2,3が組み合わさった状態も多いです。
こうした原因により対策がことなりますので、担当の先生にご質問してください。

貴方の場合、症状が9月以後に出現してから、2月程度時間が経過していますが、脊髄や脳の病巣を修復する作業が、組織の中で進行中であろうと想定されます。その過程でシビレ感が増強することがありますが、新な病巣が出現した真の再発ではありませんので、過度に心配する必要は無いと思います。
症状軽減の治療は対症療法とよばれますが、原因をとるものではありません。

最も重要なのは、早く、本格的な再発、進行防止治療を開始することです。治療によっては効果が100%に達するには6ヵ月近くの時間がかかります。その間にも、再発や水面下の組織障害の進行が起きることが、懸念されます。
性別が記載されていませんが、男性ではないかと推測します。中年男性であることが、進行型になりやすいリスク要因ですし、タバコ喫煙は特に有害です。

治療の選択についてはこのHPをご覧ください。抗JCV抗体が陽性であるのは日本人の70%が同様ですが、効果の高い治療のうちのいずれかを続けることが可能です。


Q(MS-281) 人工受精前に再発。パルスは可能?月経が止まる?om   2018.11.14-17:25
30歳、女性、兵庫県在住。お世話になります。

2004年発症のMS。現在、左足軽度麻痺残っている。
MS治療はタイサブリ。

現在、妊娠希望で、人工受精を何度かしています。今月も、月経周期に合わせて人工受精をします。が、今月頭から、左顔面に麻痺がでて、左側首が突っ張ります。
神経内科でのMRIは今月26日予定です。婦人科での受精卵移植は、今月25日辺りと聞いています。月経を待ってます。
婦人科の先生は、妊娠判定までにパルスのスケジュールが終われば大丈夫だと仰っています。
今の時点でパルスをすると、月経が止まる事もあると考え、なかなかパルスをお願いできません。月経が来てからパルスをすべきですか?今すぐパルスをすべきですか?ご教示お願いします。

(1)大量ステロイド・パルス点滴療法で生じる副作用のリストの中には、確かに生理異常が挙げられています。その頻度の記載は見つけることができませんでした。
しかし、私は多数のMSや他の疾患の患者さんに数千回パルス治療を実施してきましたが、後で月経がこなかった、遅れたと報告された記憶はほとんどありません。最大で10回でしょう。従って、かなり稀な副作用だと思います。
元々、月経不順は、一応健康な服薬の無い女性にも多い現象です。報告にある月経遅延の全てが本当にパルス点滴で起きたかどうかの判定は難しいことです。

従って、私はあまり気にせずに、必要ならパルス点滴を早く実施するべきだと考えます。早期に実施しなければ、効果を期待できなくなります。

(2)再発防止治療としてタイサブリと記載しておられますが、現在も継続中でしょうか? 妊娠を希望しているので、一時中止中でしょうか?
もし、中止しているなら、早急に再開するべきです。月経が停止したら治療を止めるので十分です。タイサブリ治療を中断し、無治療とすることはかなり危険です。
妊娠が確認できれば、停止を確定し、妊娠でなければ直ぐに再開します。妊娠はMSのホルモン治療の一種であり、妊娠中に、特に後期には再発がかなり稀となります。
再発が多い方では、妊娠、出産後を通して、タイサブリ治療を継続することもあり、大きな問題は報告されていません。


(MS-278) のお礼 どうも有難うございましたK   2018.11.2-12:39
ご多忙の中、詳細なご回答有難うございました。
年1回の診察では、造影剤を使用した脳MRIを撮影しています。
ベタフェロン中断の期間、体外受精を含む不妊治療を6年ほど行うも結果が出なかったので不妊治療は3年前に終了しました。
また私は、治験からベタフェロンを使用していましたが、使用期間中にもかなりの回数で再発していました。
そのため、自分の病状を楽観出来ないとは思っていましたが、妊娠確定で中止すればよい薬剤もあるとの齋田先生のご回答をいただけ安心できましたので、他の薬剤使用を主治医に相談して治療を再開したいと思います。
またご相談させていただく事があるかもしれませんが、この度は本当に有難うございました。

Q(MS-280) グルタチオン点滴治療はMSに有効?だい   2018.10.24-16:50
54歳、男性、愛知県在住、突然ですが、伺いたいことがあります。

多発性硬化症になって20年近くで車いすを使用しています。
ジレニアを服用しています。

うつ病を患っている友人からです。グルタチオン点滴治療というのがあり、主にパーキンソン病の震えを抑えるものですが、多発性硬化症にも効果がある。
そういう情報をもらいました。効果があるという情報だけです。もし効果があるのなら、その効果をお教えいただきたく思います。

 自分でHPで調べれば実際にその療法があり様々なクリニックで行われています。自らWEBで調べた結果の収集を列挙します。
パーキンソン病、抗がん剤による神経障害、閉そく性動脈硬化症、体内解毒、線維筋痛症、過敏性腸炎、各種神経系疾患
アンチエイジング、抗アレルギー作用、美白、肝機能改善、免疫力活性化、高血圧、糖尿病。アメリカでは保険適用ですが、日本では保険適用外らしいです。
多発性硬化症でも何らかの効果があるのでしょうか?

MSに対する効果は全く証明されていませんし、試す医師もいないと思います。
主に肝障害の解毒に昔から各国で承認され利用されることがある治療です。

その他の疾患、治療に用いられることはほとんどありません。抗酸化効果がある程度あるので、さまざまな状況で勝手に利用する医師もあるようです。当然、保険適用はありません。米国での薬務局の承認もありませんし、各種民間保険が認めることも無いと思います。

種々の疾患で効果判定がされていないが、効果の可能性があるとして、貴方の引用文にありますように、閉塞性動脈硬化症も列挙されています。多発性硬化症と誤認されたのではないでしょうか。

こうした間違った情報に惑わされず、再発進行防止薬として効果が証明された治療を長期に継続してください。
その他で私がお勧めしているのはビタミンDのみです。処方かサプルメントとして、正しい量で服用してください。Caの上昇には注意が必要です。


Q(MS-279) お礼。入院し治療中です。多発性硬化症?に免疫吸着療法は有効?みみ   2018.10.17-17:10
46歳、女性、青森県在住。 Q(NMOSD-54) お返事ありがとうございます。

あのあとアクアポリン4抗体は陰性でした。医大に紹介状が出て入院しております。多発性硬化症の疑いありだそうです。
MRIをしましたが明らかに何か出たようです。明日は胸椎などのMRIも撮るそうです。
免疫吸着を2回行いました。パルスもさらに1クール行い今の時点で右目の方は少し赤などの色が少しわかる程度にはなりました。
不安と恐怖で何も考えられない気持ちでいます。初回の病院での対応が時間が経ち過ぎだとも言われました。今はゆっくりと今後を受け入れる気持ちでおります。

病歴:
発症は2018年9月27日。急に右目が見えにくくなり、2つの眼科を受診した後、市街の総合病院に紹介されて受診。検査の結果 球後視神経炎と言われ、
ステロイドパルスを1クール実施し、その後プレドニン内服開始。
アクアポリン陰性と言われた。MRIで病巣ありと言われた。
改善みられず、現在、右目がほほ見えない。

パルス治療追加などが開始されたことは良かったと思います。
ただ、貴女のような多発性硬化症MSや診断が確定していない時の血漿交換療法は単純血漿交換療法を選ぶ必要があります。
単純血漿交換療法は細胞以外の液体成分を全て交換する最も古典的で確実な方法です。MSの42%で有効だとのデータがあります。
第二の方法は二重膜ろ過法です。免疫グロブリンなど大きな分子は全て除去します。
第三の方法である免疫吸着療法は簡便で利用しやすいのですがトリプトファンに結合する特定のIgGのみを吸着します。効果は視神経脊髄炎や重症筋無力症でのみ証明されています。MOG抗体疾患でも有効と言われています。しかし一部の免疫グロブリンしか吸着しませんので抗体依存疾患でも効果は限定的です。MSでの効果は証明されていませんので利用しません。

MSらしさがかなり有るなら長期的な再発・進行抑制の治療も平行して早期に開始するべきです。


Q(MS-278) 再発予防薬再開にあたっての選択K   2018.10.14-15:50
46歳、女性、京都府在住。診断MS。突然のメールで失礼します。

初発、1995年8月。現在は障害なし。脳MRI病巣数は9個以上。
治療は、2000年12月〜2005年7月ベタフェロン使用。
妊娠出産を望んで、以降ベタフェロン使用を中断。
中断から今日までに再発は1回でした(2008年)。
結局、現在までに出産に至る事が出来なかったので、年齢を考慮してMS再発予防薬の使用再開を考えています。

質問:
ベタフェロンは使いやすかったのですが、再発していた事を考慮すると、他の薬に変えた方がよいのでしょうか?
しかし、何だかの再発予防は必須だとわかっている一方で、体感できる再発が10年間無かったので、薬の再開をやめる事も考えてしまいます。

現在は経過観察として年1回受診しています。
直近の受診で主治医に相談した時(2017年7月)に、飲み薬もあるとの話は聞いておりますが、副作用が心配です。今年は12月頃受診予定していますので、その前に齋田先生にご教授いただければとご相談させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

脳病巣数がかなり有ること、ベタフェロン使用中にも1度再発があったこと、年1度しか診察を受けていない、造影脳MRI頻度は不明であることを考えますと、楽観はできないと考えます。

脳に主に病巣が蓄積している方だと考えられ、視神経や脊髄に病巣が少なかったことが、これまで障害が現れてこなかった理由です。脳は視神経、脊髄よりはるかにボリュームが大きく可塑性、予備能力が大きいため、10年、20年は症状を隠しますが、水面下ではMRIでも見えない神経線維の切断がゆっくりと進行していることが最近の研究で示されています。年1回の通常MRIでは発見できません。障害蓄積が一定レベルを超えると、認知症など様々な精神症状、歩行のふらつき、動作のおそさ、バランス障害などが現れますが、その時点では治療は難しくなります。医師はそうした説明をする義務がありますが、多くの場合そうした認識を持っていません。

私は、私は40年近く同じMS患者さんを診てきました。症状を自覚しないため治療を嫌がった結果、認知症などが出て初めて長期治療開始に同意してくださったが、現在の治療では進行を止められなかった方を、何人も経験しています。
自分は大丈夫だろうと、賭け(ギャンブル)をするべきではないでしょう。大丈夫な方も少数はおられますが、長期に観察をしている医師は日本では稀です。

私は現時点ではベタフェロンのような自己注射薬使用は、ほとんどの方でお勧めしていません。欧米のエキスパートも同様です。もっと効果があり、長期に安全な薬の使用が可能ですので、貴女の状況を改めて精査して、最適の治療を選ぶべきです。年一度の診察では不十分です。

妊娠を希望されたからと治療中断を勧めたことも、間違った指導です。妊娠確定で中止すれば良い治療が複数あります。一部は妊娠中にも、必要なら利用可能です。妊娠希望なら体外受精は実施したのでしょうか?いまでも可能かもしれません。
必要なら、電話相談 090−2287−1021 でも相談を受けます。


Q(NMOSD-54) NMO疑い 球後視神経炎で9日後、ほぼ失明。パルス1回でよいか?みみ   2018.10.6-18:05
46歳、女性、青森県在住。はじめまして。よろしくお願いいたします。
NMO疑い。

発症は2018年9月27日。急に右目が見えにくくなり、2つの眼科を受診した後、市街の総合病院に紹介されて受診。検査の結果 球後視神経炎と言われ、
4日前からステロイドパルスを1クール実施し、昨日からプレドニン内服開始。
改善みられず、現在、右目がほほ見えない。
週明けにアクアポリンの結果がでたら、それ次第では岩手の大学病院を紹介するといわれました。
CT検査のみでMRIは行っていない。

質問:
血液検査の結果がわかるまでの3日間 何もしないでこのままでいいのか、だからと言って何をどうしたらいいのかわからずとても怖いです。
結果がでるまではこのままで待つしかないのでしょうか?

ベルリンでの学会に出張中でパソコンが不調で、10月13日に初めて読みました。申しわけありません。
視神経脊髄炎の始まりの可能性が高いようですが、抗MOG抗体疾患の可能性もあり、MSでも稀に回復が悪いことがあります。一度だけの視神経炎もあり得ます。長期の治療方針には鑑別が重要です。

しかし、診断が確定しなくても、強い視力低下が回復していないなら、ステロイドパルス点滴を5日で2,3日休み、再度5日、または3日実施し、計12日までは実施するべきです。
早期に、平行して血漿交換治療も実施するべきです。青森でも大きな病院であればできます。診断確定を待つ必要はありません。こうした場合の治療は同じです。

また、診断には、先ず、造影視神経MRI撮影を早期に撮るべきです。これのみで診断がほぼ確定する可能性があります。時期が遅くなると、診断困難になります。
もし抗アクアポリン4抗体陰性であれば、東北大神経内科にお願いして抗MOG抗体を測定するべきです。それも陰性なら、抗アクアポリン4抗体の別の精密測定であるcell-based assayを依頼するべきです。SRL、LSIなどで有料で可能です。


Q(MS-277) 進行型MS治療薬について フィンゴリモドは止めるべきか?さくら   2018.10.5-9:55
33歳、男性、神奈川在住。

2015年11月発症。
現在は歩行障害あり、杖使用。最近体幹障害2級と身体障害者手帳も取得しました。
MRIで脳に10個以上の典型的なMS病巣あり。
2016年2月からフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ使用中)

徐々に進行していているため、最近進行型MSであること医師に伝えられました。MSと診断されるまで明確な再発は特にありません。
イムセラ服用後一度だけ眼振の再発と診断されパルス治療2週間行い、症状はおさまりました。それ以降特に再発もなく徐々に歩行障害が酷くなってきている状態です。
半年に一回は脳のMRIをとっていますが、特に変化はなくむしろ少し病巣がなくなっているようにみえるとのことでしたが、症状は改善されていません。
医師より進行型に効果のある治療薬はないので、イムセラをやめてみますかと提案されています。効かない薬を飲んでいて副作用だけ気にしているのも。といわれました。イムセラを服用し続けるか迷っています。
ご教授頂けると幸いです。よろしくおねがいします。

発症初期からはっきりとした急性増悪が無く、ゆっくりとした症状の増強が継続しているようですので、一次進行型MSであろうと考えられます。3年弱でかなり強い歩行障害が生じているようですので、進行速度が比較的速いと判断されます。
また、軽度の再発もあったようです。造影MRIを頻回にとれば、造影陽性の病巣が時に見つかる可能性もあると推定します。しかし見られないかもしれません。

一次進行型MSは二次進行型MSも含めて通常の再発型MSを含めたMSの一部であり、
症状が出るまでの水面下の病巣蓄積の期間が長い場合に進行型になると考えられています。
脳の病巣の増大は一定で止まり、脳や脊髄の萎縮が進むことが多いです。
MSでは発病(発症では無い)の初期に効果が高いのですが、発症した時には発病からかなり時間が経過しているため、治療効果が出にくくなっています。

これまでの多数の治験研究のデータからは、効果の高い治療薬であればあるほど、一定の効果があることが示されています。効果は若いほど、時に再発があるほど、MRIで時に造影病巣が見つかるほど、効果が期待できることが示されています。
ただ、進行を止める期待はあまり持てません。進行速度を少し遅くすることは期待できる可能性があります。
私の経験でも、時に進行が止まる方があります。希望は持つべきだと思います。

オクレリズマブ(オクレバス)の一次進行型MSでの有効性が証明され、欧米では昨年から利用が開始されました。日本での治験の計画は未だありません。
フィンゴリモド(イムセラ、ジレニア)を改善したシポニモドは二次進行型MSでの有効性が証明され、来年秋には利用が開始されることが期待されています。

フィンゴリモドの副作用を気にしておられるようですが、10月末までに本ホームページの講演記録を更新する予定です。(今現在は2年前の講演記録のままです。)
最新の講演記録に更新しましたら、その中のMSの治療の項目の記載をお読みください。

タバコは明確に進行を速めますので、のんでいる方は一日も早く止めるべきです。


Q(MS-276) 多発性硬化症の疑いでの治療方針バン   2018.10.1-21:49
27才、女性、愛知県在住。

2014発症。手足のしびれ、視力低下、右目のモヤモヤ感、首の痛み下げた時に背中の痛み、疲労感、体温が上がると不調(体温が下がると戻る)等。
2016年に始めて多発性硬化症疑いとして検査。
MRIで頚髄に病巣ぽい影。その後は頚髄MRIを撮ってない。
パルス3日間。退院後少し改善されたが徐々に同じ症状が出てきている。
現在の症状は、右膝の痛みや膝を庇い左足に負担がかかっている為長時間の歩行が困難。このため杖歩行と車椅子を併用している。
右膝、左足首は怪我の影響で多発性硬化症と直接関係が有るかは不明。

現在、再発進行防止治療はしていない。

日を追うごとに脱力感や怠さ日常生活での疲れやすさや首を下げるとかなりの率で背中が痛くなります。
通院はしていますが疑いのままのため、何をどうすれば良いのか分かりません。再発の基準や後遺症の基準等も話が難しく分かりません。
元々怪我をしており、完治がずっと無く、右膝硬直により身体障害7級相当。
それを長年庇っている為、左足首に支障が出始めている、との事ですが、多発性硬化症疑いとの関連性は不明でした。
検査入院自体が2016年だったため、それより前に足を怪我してからの発症だった可能性もある。との事ですが現状では確定できないとの事でした。

質問:
約2年MRIや髄液検査等していないですが大丈夫でしょうか?
通院先には2016年の入院時と同じような症状や入院時と違う症状や耳鳴り等があることは伝えて有ります。
疑いの診断でなにか出来る事、症状改善に適している事は有りますでしょうか?
また再発基準や後遺症、診断確定や他病気の可能性等教えて頂ければと思います。

正確な診断がなによりも重要です。
しかし、痛みが強いなら、痛みの治療はある程度可能なはずです。
痛みにより動かさないのか、力が弱いのかの区別は可能なはずです。
MSを疑うなら、定期的な脳MRI、と時に脊髄MRIでの追跡が必要です。
脳脊髄液の検査も必要です。

診察をしている医師でないとわからないことが多く、詳しい意見は控えます。
担当医師に理解できるまで、説明を求めるべきです。

MSの再発症状については、本ホームページの 再発の自己判定法 の項目をお読みください。改訂版が10月中にでます。


Q(MS-275) 初めての再発進行防止薬の選択を迷っています。KB   2018.9.19-14:29
49歳、女性、愛知県在住。今回の再発をきっかけとして、サイトを拝見させて頂いております。MSです。

現在まで再発進行防止薬は利用していません。
8月に再発、入院し、パルス点滴治療をし、退院後約3週間経過しています。
現在はプレドニン内服もなく、次回受診日に再発・進行防止治療薬を決める予定です。

一生内服する薬であることや、途中で変更することも可能であることも説明されています。テクフィデラが2017年に承認された薬ではありますが、これしかないのかなとも思いつつ、迷っています。内服した方がよいのか、どの薬がよいのか決めかねております。
どの薬も使用してみないと副作用がどうなのか分からないと思っていますが、リンパ球減少や皮膚症状などを考えると、日常生活や仕事ができるのかなど考えています。
抗JCV抗体: 検査結果待ち。

今回、内服薬を利用した方が良いと、下記の説明をされています。
・ガイドライン上、第一選択はインターフェロンだが、効果と副作用のバランスを考え、新しい薬であるテグフィデラも考えている。
・症例数が多いフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)も入院モニタリングで治療開始すれば使用できるが、定期的に心電図チェックが必要である。
完全右脚ブロックと上室性頻拍があるため、できれば避けたいところである。
・活動性が高くないためタイサブリは考えていない。

病歴:
2004年 初発は頚髄の脱髄(現在は消失)病巣。
    左上肢脱力感から両上肢の脱力感、しびれ感と知覚鈍麻。
    体幹の知覚鈍麻。両上肢のしびれ・知覚鈍麻は現在も残る。

最近の症状と脳MRI:
現在、移動や運動に問題なし、歩行問題なし
2018年8月8日頃 :右眉毛の触感違和感あり、神内クリニック受診。
8月23日 :17日のMRIにてMS再発と診断され入院
【症状の経過】  
・右眉毛〜右額・生え際・頭皮の触感違和感・ツッパリ感・貼りつき感
  右上口唇と舌尖のしびれ感。
  右目の見にくさと異物感(眼科的には問題なし)
・以前からの両上肢しびれなどの症状は変わらず。
8/23〜入院治療
   8/23〜  パルス1回目  症状改善わずか
   8/29〜  パルス2回目  症状改善変わらず
   退院後、プレドニン内服はない
抗アクアポリン4抗体 :陰性
脳MRI:白質変化は大脳15個あり・脳幹に1個。MS的、・活動性はないと言われている。

早期に再発・進行防止治療を開始するべきです。
脳MRIの病巣数は少なくありません。脳MRIに活動性は無いとのことですが、造影MRIでの観察頻度が不十分だったのではないでしょうか? また、通常MRIでは全ての活動性が分かるわけでもありません。比較的高齢で発症していることも障害リスクが高い要因です。

日本のガイドラインは時代遅れであり、欧米の専門家は自己注射薬を第一選択に利用することは無くなっています。
副作用の可能性が無いのであれば、より効果の高い治療薬を選ぶのが得策です。いずれの薬も一生利用する必要はありません。もっと効果があり安全でもある薬が、何れ利用可能となります。現在の薬でも、状況により変更することは珍しくありません。

ナタリズマブ(タイサブリ)は抗JCV抗体が陰性なら安全です。また陽性でも0.9以下であればほぼ安全です。6月毎の再検査は必要ですが。

2番目に効果の高いフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)での徐脈、不整脈の可能性は最初の1,2日のみです。以後は安全です。私はこれまで670名に利用し、不整脈や心疾患の患者でも注意して開始して、問題はありませんでした。しかし、常に可能といえるわけではありませんし、経験の無い先生の場合は利用を躊躇するのは無理ありません。
リンパ球数は減少しますが、リンパ節中に残っていて免疫応答には利用されていると考えられ、絶対数の減少ではなく、感染症の増加もほぼありません。欧米人では皮膚のメラノーマと基底細胞癌の増加が認められていますが、元々、欧米人では日本人の7倍ある腫瘍ですが、切除で治癒するのがほとんどであり、日本人ではほとんど在りません。

従ってジメチルフマル酸(テクフィデラ)が一番利用し易い治療薬です。3番目に効果の高い薬ですが、前2者には及びません。
皮膚の紅潮や痒みは3,4割の人が経験しますが、1,2月で軽減し、薬は要らない方がほとんどで、中止の理由になったのは360人で5人でした。副作用を軽くする注意点があります。
この薬で早期に治療を開始するのが、貴女の場合、最も現実的ではないでしょうか。しかし、もし一度でも再発を経験したり、MRIで新病巣が出たら、治療変更を考えるべきです。



Q(MS-274) 再発かどうか:歩いているときに「ふにゃ」っと落ちる感覚   2018.9.19-8:09
37歳、女性、沖縄県在住。こんにちは。いつも参考にさせていただいており、感謝しております。

数週間前から、歩いている時に「ふしゃ」っと力が抜けて落ちる感覚があります。
ひどい時期は、この感覚で全くもって走れませんでした。(歩くことはできましたが、歩いていてもその感覚で「かく」っと落ちてしまいました。最近は、よくなってきましたが、今度は仙骨?あたりが鈍い痛みを感じます。また、帯状疱疹に似た痛みもありました。
昨日、診察があったので相談しました。
「よくなってきている」ということと、「検査の際に力もしっかりあること」、「まっすぐに歩ける」、「片足立ちが可能」ということから、「再発してたとしても終了しているだろう」と判断され、MRI検査は2か月後の次回ということになりました。

長くなりましたが、私はまだ「ふにゃ」っと落ちる感覚が若干残っているため、MRI撮影をリクエストするべきだったのかと迷っています。ご教授いただければ幸いに思います。
よろしくお願いいたします。

2014年発症のMS。現在、特に障害はありません。
脳MRIの病巣数は6個。
治療にはアボネックス使用中。 

軽度の再発があったか、極く軽い症状(障害)の進行があった可能性が高いようです。
症状が一番強かった時か、改善しかけた初期までにMRIの撮影をした方が良かったと思われます。予約が無くても、変化があった時には予定外での診察をしていただくべきです。
また、遅れて受診した時にも、出来ればMRIを撮った方がよかったと思われます。
既に病巣はMRIでは見えなくなっている可能性は確かにありますが、見えることもあります。

担当の先生がMRIを次回に伸ばした理由がよくわかりません。確かに既に炎症は下火になっている可能性は高いとは思います。しかし次回に撮れば、見える可能性はさらに低下します。最近に撮ったので保険診療であまり頻回に撮れないということはあり得ます。前回に何時、どの部位で撮ったのかにもよりますが。

アボネックスを継続しておられるようですが、現在ではもっと効果があり、安全でもある治療薬が出ていますので、早く変更することをお勧めします。
発症から比較的に早期こそ、一生これ以上の障害の無い人生を送れる治療のチャンスです。このHPを参考にしてください。


Q(MS-273) 目の痛みと左手の脱力は再発かどうかりんご   2018.9.14-21:49
20歳、女性、京都府在住。

多発性硬化症を2004年発症。
発病から2回再発しており、昨年の9月までプレドニンを服用していた。
先月頃から時々左手の脱力感と左手の奥に痛みを感じます。
定期検診でMRIをとってもらったところ、再検査に呼ばれました。再発の可能性はありますか?

再発の可能性があります。
もしMSとの診断が正しいのであれば、プレドニンだけで治療してきたこと、それを中止して現在無治療であるという治療方針に問題があります。
悪化した時だけプレドニンを利用する事では全く不十分です。
MSの再発・進行防止の長期治療は症状が無い初期、できるだけ軽い段階でこそ効果が高く、治療は安全、苦痛なく可能です。