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Q(MS-277) 進行型MS治療薬について フィンゴリモドは止めるべきか?さくら   2018.10.5-9:55
33歳、男性、神奈川在住。

2015年11月発症。
現在は歩行障害あり、杖使用。最近体幹障害2級と身体障害者手帳も取得しました。
MRIで脳に10個以上の典型的なMS病巣あり。
2016年2月からフィンゴリモド(ジレニア、イムセラ使用中)

徐々に進行していているため、最近進行型MSであること医師に伝えられました。MSと診断されるまで明確な再発は特にありません。
イムセラ服用後一度だけ眼振の再発と診断されパルス治療2週間行い、症状はおさまりました。それ以降特に再発もなく徐々に歩行障害が酷くなってきている状態です。
半年に一回は脳のMRIをとっていますが、特に変化はなくむしろ少し病巣がなくなっているようにみえるとのことでしたが、症状は改善されていません。
医師より進行型に効果のある治療薬はないので、イムセラをやめてみますかと提案されています。効かない薬を飲んでいて副作用だけ気にしているのも。といわれました。イムセラを服用し続けるか迷っています。
ご教授頂けると幸いです。よろしくおねがいします。

発症初期からはっきりとした急性増悪が無く、ゆっくりとした症状の増強が継続しているようですので、一次進行型MSであろうと考えられます。3年弱でかなり強い歩行障害が生じているようですので、進行速度が比較的速いと判断されます。
また、軽度の再発もあったようです。造影MRIを頻回にとれば、造影陽性の病巣が時に見つかる可能性もあると推定します。しかし見られないかもしれません。

一次進行型MSは二次進行型MSも含めて通常の再発型MSを含めたMSの一部であり、
症状が出るまでの水面下の病巣蓄積の期間が長い場合に進行型になると考えられています。
脳の病巣の増大は一定で止まり、脳や脊髄の萎縮が進むことが多いです。
MSでは発病(発症では無い)の初期に効果が高いのですが、発症した時には発病からかなり時間が経過しているため、治療効果が出にくくなっています。

これまでの多数の治験研究のデータからは、効果の高い治療薬であればあるほど、一定の効果があることが示されています。効果は若いほど、時に再発があるほど、MRIで時に造影病巣が見つかるほど、効果が期待できることが示されています。
ただ、進行を止める期待はあまり持てません。進行速度を少し遅くすることは期待できる可能性があります。
私の経験でも、時に進行が止まる方があります。希望は持つべきだと思います。

オクレリズマブ(オクレバス)の一次進行型MSでの有効性が証明され、欧米では昨年から利用が開始されました。日本での治験の計画は未だありません。
フィンゴリモド(イムセラ、ジレニア)を改善したシポニモドは二次進行型MSでの有効性が証明され、来年秋には利用が開始されることが期待されています。

フィンゴリモドの副作用を気にしておられるようですが、10月末までに本ホームページの講演記録を更新する予定です。(今現在は2年前の講演記録のままです。)
最新の講演記録に更新しましたら、その中のMSの治療の項目の記載をお読みください。

タバコは明確に進行を速めますので、のんでいる方は一日も早く止めるべきです。