Q&A

Q(MS-282) はじめてMSの診断を受けた。現在無治療。痺れ、ふらつきの治療は?J   2018.11.16-9:46
41歳、青森県在住。 不躾な質問メール、平にご容赦ください。

質問:
痺れやふらつきを抑える治療はどのような物があるのか、ご教授頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。

病歴:
2018年9月発症MS.
現在、独歩であるがふらつきあり、疲労感、両手の痺れ、首・腰部の関節が傾けることで不自然に鳴る、両手を肩の高さ以上に上げると、痺れが出易い

9月上旬にめまいと両手3〜5指の痺れがあり、定期的に通っていた脳外科さんでMRIを撮り、MSの可能性があるので、分野が違うとの事で、総合病院の神経内科を紹介され、約一月入院しました。
パルス療法を3日続けて行い、3週間行い経過観察し、退院となりました。

その際、今後の治療方針の話、タイサブリ・βフェロン・テクフィデラの使用の話が出ておりましたが、退院後の治療は行っておりません。

11月に入り、両手の痺れが肘の部位まで広がってきて、今までに無い経験なので不安になり、病院受診をすると、外注で調べていた血液検査の結果がきて、タイサブリの使用はJCウイルスのリスクがある話を聴いております。

とりあえず、痺れは浮腫みからくるものなので、パルスをやると治ります。パルス療法を1クール行うとの事で3日間、外来受診で実施し、現在に至ります。

主治医には、また痺れが広がってきたら受診してもよいか確認をとると、「動けなくなったり、痛みが出た時のような重症化してからのみ受診してください。入院時の脊椎〜腰部のMRIと今回の受診時の撮影を比較すると、いくらか白っぽい部分が薄くなっている。悪化はしていないのではないでしょうか。」 と話され困惑しております。
脳MRIの画像で説明はあったが、ありすぎて判らないと濁されています。

日本語の「痺れ、シビレには大きく分けて3つの意味があり、そのうちの単独なのか、様々な組み合わせもあり、貴方の症状がそのうちのどれであるかが、分かりません。

1.最も多い使い方はシビレ感です。正座した後、ジンジンするような異常な感覚です。
2.次に多いのが、触覚、痛覚、温度感覚などのいずれか、または全てが低下している、感覚鈍麻です。1を合併することも多いです。強度の場合は感覚が完全に麻痺し、触っている、痛いなどが全く分からない状態です。
3.力が弱くなる、運動麻痺、脱力もあります。その程度は様々です。

1、2、3が様々な程度に組み合わさった状態も、「痺れ」と表現する人もあります。内容が人により異なりますので、あまり利用せず、1,2、3を別々に表現するべきです。医師がそうした指導をするべきですが、あまりされていません。

本HPの「症状と再発の自己判定法」をご一読下さい。
神経組織は運動、感覚、自立神経に大きくわかれます。本格的症状は2,3です。シビレ感は、2が有る身体の部分で、同時に出現するか、2の回復過程に次第に増強することが多いのですが、後遺症状であることが殆どです。
シビレ感はパルス点滴で1週ほど改善しても、また元に戻ることが多く、点滴は長期的には意味が無いのが普通です。
シビレ感、ジンジン感を軽減する薬としては、神経痛を抑える薬が使われます。ある程度効果があります。

「ふらつき」も様々な原因による体の不安定さ、歩行の不安定さを意味し、その原因により、対策が異なります。
下肢の「脱力」、下肢、特に遠位部も深部感覚が低下して生じる「感覚性失調」、小脳の機能低下による「小脳性失調」、さまざまな原因による「めまい」によるふらつき、大脳の特に前頭葉の障害によるふらつき、精神的な原因による「心因性のふらつき」などがあります。
2,3が組み合わさった状態も多いです。
こうした原因により対策がことなりますので、担当の先生にご質問してください。

貴方の場合、症状が9月以後に出現してから、2月程度時間が経過していますが、脊髄や脳の病巣を修復する作業が、組織の中で進行中であろうと想定されます。その過程でシビレ感が増強することがありますが、新な病巣が出現した真の再発ではありませんので、過度に心配する必要は無いと思います。
症状軽減の治療は対症療法とよばれますが、原因をとるものではありません。

最も重要なのは、早く、本格的な再発、進行防止治療を開始することです。治療によっては効果が100%に達するには6ヵ月近くの時間がかかります。その間にも、再発や水面下の組織障害の進行が起きることが、懸念されます。
性別が記載されていませんが、男性ではないかと推測します。中年男性であることが、進行型になりやすいリスク要因ですし、タバコ喫煙は特に有害です。

治療の選択についてはこのHPをご覧ください。抗JCV抗体が陽性であるのは日本人の70%が同様ですが、効果の高い治療のうちのいずれかを続けることが可能です。