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Q(MOG-28) MOG脳脊髄炎  眼痛、頭痛は再発?大脳病変は無関係?アシモ   2019.8.2-10:22
中年、東日本在住。

@ 突然に両側性特発性球後視神経炎発症。1週間程で両眼ほぼ失明。光覚あり。
ステロイドパルス1クール後、プレドニゾロン30ミリから服薬治療開始。経過良好で1週間で5ミリずつ減量。5ミリより左眼痛が現れ、
A 2月後、左眼光覚が無くなる 
ステロイドパルス1クール後、30ミリ投薬。
抗MOG抗体高値判明。MBPも高値。抗アクアポリン4抗体陰性。医師からは視神経脊髄炎と言われている。

その後、退院したが、回復が前回よりも実感できないことと、入院中から左右眼痛と頭痛が頻回あり、訴えるも、関係ないと言われる。MOG抗体陽性患者はよく頭痛を訴えると仰せ。頭痛が再発の兆候になる可能性ありと言われた。

7月中旬脳の造影MRI実施。小さい脳梗塞がある、それ以外も含め今回の病気によるものではなく、たまたま今回見つかっただけ。放っておいても良いものばかりだが、念のため来月脳神経外科予約。この疾患は脳は大丈夫と仰せ。
MRI結果のコピーを得る。4月の脳造影MRI結果は異常無し。今回両側大脳白質にT2延長域あり、分布非特異的。両側小脳に陳旧性ラクナ梗塞あり。右後頭葉に小さな静脈奇形あり。

本当に今回の病気によるものではないのか?急を要する所見ではないのか?
毎日、複数箇所の頭痛があり、視界も暗く、眼痛もあり、左眼の奥の違和感は入院中から消えない。
このまま来月の受診を待っていれば良いのか?
プレドニゾロンは現在22.5ミリ。今回は2.5ミリずつ15ミリまで減量と仰せ。
MOG抗体陽性の数値が高値なのは再発し易いのではないか?の問いに関係ないと仰せ。
治療法の確立してない疾患でステロイド長期服薬が避けられないのであれば、漢方治療を検討していると主治医に相談。肯定も否定もなし。
漢方治療併用は有効か?   以上宜しくお願いします。

MOG脳脊髄炎は視神経脊髄炎、多発性硬化症のいずれとも異なる独立した疾患で、再発性急性散在性脳脊髄炎に近い病態です。古い記載、間違った記載が出回っていますので、誤解されている先生が多いです。

視神経炎に痛みを伴うことが多く、眼痛が出てきたら造影視神経MRI撮影が必要です。脳MRIでは判定できません。
これまで頭痛が無かった人に頭痛がでてきた場合には、脳MRIを撮影するべきです。本疾患の脳病巣出現に伴い髄膜の炎症が出ると頭痛が出現します。以前からの緊張性頭痛持ちの方では、区別が難しいことはあります。脳病巣が出現しても、自覚、他覚症状は伴わないことはよくあることです。
頭痛が再発の前兆となるのではなく、初期症状であることがあるということです。

前回の脳MRI撮影で見えなかった病巣が認められたとのことですが、本疾患による病巣である可能性が非常に高いと思われます。画像を見なければ確定はできませんが。

無治療ですと再発が多いのが特徴であり、治療にはステロイドが非常に有効です。しかし一定以上の量が長くなると種々の副作用が避けられません。
私は「安全な免疫抑制剤」を利用し、ステロイドは中止します。30名程度の本疾患患者さんや300名程度の視神経脊髄炎で同様の治療をしており、副作用回避のために治療を変えることは時にありますが、後遺症の残るような副作用は生じたことがありません。 

漢方薬は。しびれ感などの後遺症を減らすのに役立つことはありますが、再発防止治療には効果がありません。