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Q(MOG-29) MOG脳脊髄炎 11歳娘。プレドニン15rとイムランで治療。緑内障副作用などあり、この治療で良いのか?S.A   2019.8.15-7:29
11歳(小学5年)の娘、新潟県在住。MOG抗体陽性疾患です

@初発:昨年8月下旬に背中や目、頭の痛み、発熱、一週間で左目がほとんど見えなくなる。
9月上旬に今の主治医に巡り会い、MRIにて視神経の炎症見つかる。そのまま入院となり、様々な検査の末、MOG抗体陽性疾患と診断されました。アクアポリン4は陰性でした。MRI脊髄病巣に関しては分かりません。

A再発:プレドニン30rから服用し、5rまで減量した1月下旬に再発。プレドニンを急いで減らしたことが原因だったようです。血漿交換を勧められ大学病院に転院となったが、パルスで十分効果が見られ、実施せず。
プレドニン40rとイムランを併用することとなる。

【現在の処方】は、プレドニン15r、イムラン、ファモチジン、ミヤBM、アスパラカリウム、新たにアレンドロンの追加。頓服でカロナール。
ヒルドイドを皮膚割れに塗布、リンデロンを足の巻き爪による化膿部分に塗布、ステロイド緑内障によりチモロール点眼しています。

今月13日の診察時、MOG抗体数は《MーH》で以前の結果と変わりなしとのこと。骨密度の低下によりアレンドロンが追加となりました。
副作用や、尿もれや身体の痛みにも悩まされています。

幸い、素晴らしい主治医に出逢え、初めて診る症例と言いつつ他の医師と連携をとり懸命に向き合って頂いています。まだまだ手探りのMOG。
主治医に不満はありませんが、また違った目線からの意見を求めたく、ここにたどりつき投稿させていただきます。
@11才のお嬢様の聞いたことの無いご病気、ご心配のことと推察します。これまでの治療はほぼ適正と考えます。ただ少しだけ気になる点もあります。

A「尿もれや体の痛み」があるとのことですので、脊髄下部(胸髄から腰髄にかけ)などにも病巣が出たと思われます。1月下旬の再発の時の病巣でしょう。すでに半年以上の時間が経過していますので、後遺症として残る可能性が高そうです。パルス点滴開始のタイミングが少し遅れたか、間隔を空け過ぎたために不十分だったのでしょうか? 今後1年ほど、ゆっくりと改善し、症状が消える可能性はありますが、自然回復力を待つしか無いと思います。必要なら症状を軽減する薬物治療は有ります。

BほとんどのMOG脳脊髄炎は治療に良く反応する良性の疾患であり、知識のある医師が対応すれば、恐れる必要は無い疾患です。私が診察した約40人のMOG脳脊髄炎のうち、約30名が再発性で長期の再発防止治療の対象です。その治療経験では、再発があっても、迅速かつ十分なパルス点滴を実施し、稀に一時的な失明状態などでは血漿交換を併用する治療で、全員回復しており、後遺症が残る事は経験していません。
この疾患がまだ分かっていなかった時期に、他の病院で治療が遅れたために生じた排尿障害の後遺症がある方、歩行の軽度ふらつきが残っている方が各1名おられるのみで、現在の私の治療で後遺症が残った方はおられません。

C長期の再発防止治療には私はプログラフなどの安全な「免疫抑制剤」を利用します。プレドニンなどのステロイドは約半年で中止しますので、副作用はほとんど経験しません。血中濃度測定で適正量を調整できるのも利点です。
イムランの場合、効果発現が遅いのですが、半年後からは15mg以下として、1年後には2~3mgとすることが可能です。11歳としてはやや量が多いようですが、体重が多いのでしょうか。プレドニンの身長抑制などの副作用も心配です。将来の妊娠、出産も考えた長期の安全策が必要です。