Q&A

Q(MS-298) アボネックス投与中に再発で病巣が9個も発見されテクフィデラへ変更した。倦怠感あり体調悪化時の診察の目安とセカンドオピニオンについてご教示ください。マル   2019.8.19-15:03
40歳、白人男性MS患者の妻。東京在住。はじめまして。

2006年発症。2014年8月〜アボネックス使用
2019年8月初めから再発、脳に9個の新病巣出現。
現在の症状:右脚ふくらはぎの温度感覚麻痺、左頬ほうれい線のしびれ、全身の倦怠感
2019年8月17日〜:デクフィデラ服用
質問:
@ 最初の1週間は夕食後のみ服用と言われているので、今日現在、2日程服用
したのですが、本日ひどい倦怠感があるとのことです。テクフィデラの副作用かと思いますが、PML等のことも気になるため、心配で質問させていただきました。
今後の服用にあたって、救急で受診する際の目安等ご教示いただけますと幸いです。
A また、主治医にも今回の9個の再発は異常と言われてしまったため、すごく心
配です。セカンドオピニオン等、受診したほうがよろしいでしょうか。

病歴:
(1)最初の発症は、13年程前(2006年?)だったと聞いております。
手足の痺れが一ヶ月程消えず、しばらく色々な病院(クリニック)を転々とした後に都立病院での精密検査後、MSと診断されたようです。
ステロイドパルス点滴治療を行い、1週間以内に痺れも改善されたため、その後は普通の生活を送っておりました。
(2)その2年後(2008年?)、突然視力が強度の近視の方のようにぼやけて見えなくなり(通常は両眼1.5)、この時は2週間入院したようです(入院中は発症時同様、ステロイドパルス点滴治療を行う)。退院後1週間は自宅静養をし、次第に視力も元に戻ったようで、その後も特に治療はせず、通常の生活を送っておりました。
(3)そして、2014年4月に再び視力障害が起きました。
曇りの日でもサングラスをかけないと眩しくて外を歩きづらい、PCの画面が眩しすぎて全く見ることができない(=仕事が出来ない)、複視、などの症状が現れ、すぐに以前診察を受けた都立病院に行きました。
そこで紹介状を渡され、現在の主治医がいる大学病院にてMRI・血液検査を行い、MSの再発との診断を受けたため、
2014年8月からアボネックス投与の治療を進めてまいりました。

(4)2015年6月に撮ったMRIで脳に再発が見られたものの、1個程度だったのでアボネックス継続で経過観察をし、3ヶ月後のMRIでは再発が見られなかったため、そのままアボネックスを続けてまいりました。
2016年4月には再発ではないのですが、血液検査でCK値が1万を超える状態が続いたため1週間入院し、24時間通常の点滴を投与して利尿を進めCKを体外へ出す治療を行いました。1週間後には標準値に戻ったため、無事退院いたしました。

その後もアボネックス治療を継続し、定期的にMRI(年2回)・血液検査(年4回)を行い経過をみてまいりましたが、再発はなく順調に経過しておりました。しかしながら、

(5)今月(2019年8月)上旬から下記症状が出始めました。
・左目の眼球上のくぼみに痛みを感じる→2〜3日で自然に治りました
・左耳に水かつまった感じ→3日程で自然に治りました
・右脚全体(太腿〜足先まで)に温度の感覚麻痺(冷たいシャワーをかけても温かく感じる)※8/6〜
・左頬のほうれい線部分に歯医者で麻酔をされたようなしびれ ※8/11〜

8/8に急遽主治医に診てもらい、脊髄のMRIのみ撮ってもらったのですが、特に何もなく、ただ念のためにステロイドパルス点滴を8/8-8/10の3日間行いました。その後、右脚の温度感覚麻痺はふくらはぎ部分のみまで改善されたようですが、左頬に痺れが現れたため、再び8/15に主治医に診ていただき、
脳のMRIを撮ったところ、病巣が9個もの再発が確認されました。
そのため、8/15-8/17の3日間、再びステロイドパルス点滴を行いました。

現在、主人は右脚の温度感覚麻痺と左頬の痺れのみで、左頬の痺れも少しは良くなっているようです。また、主治医の勧めから、アボネックスは中止し、
8/17からデクフィデラの服用を開始しております。

ご質問が長くなってしまい申し訳ありません。
どうぞよろしくお願いいたします。

@テクフィデラの副作用は、服用から4〜5時間目にピークがあり、長くても
数時間で消える上半身の火照り、熱感、痒みが中心です。腹部痛、嘔気、下痢を生じることもあります。
ひどい倦怠感があるとのことですが、上記症状を伴わないのであれば、他の原因を考えるべきです。感染症もありえます。多数病巣出現を伴う多発性硬化症再発時にもしばしば倦怠感を伴います。テクフィデラの効果が出るのにはかなりの日数が必要ですので、再発が続いている可能性があります。

進行性多巣性白質脳症(PML)出現は抗JCV抗体陽性者にしかありえませんが、陽性でしょうか。しかも、2年以上使用でしか発症せず、それも非常に稀です。現時点では全くあり得ません。
多発性硬化症では救急での診察が必要となることは有りません。

再発の判定法はこのHPのcontentsの「症状と再発の自己判定法」の記載を参考にしてください。副作用は治療毎に異なります。


A脳に9個の病巣が出ている再発があれば、私はテクフィデラ使用はお勧めし
ません。アボネックスよりは有効性が高いのですが、現状から脱するのには効果が不十分ですし、効果発現が遅い欠点があります。タイサブリをお勧めします。現在のような状況を脱するのに最も頼りになります。
フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)も有効性が高いのですが、効果が出るのに時間がかかるので、第二選択です。

タイサブリ使用に慣れておられない医師が多く、担当医は躊躇するかもしれません。副作用PMLが起きない利用法につき、必要なら相談に乗りますので、お電話をください。090-2287-1021斎田です。