Q&A

Q(MS-303) フィンゴリモド(ジレニア)での再発。ジメチルフマル酸(テクフィデラ)への変更は? 不明の発疹(パルスの副作用?)に帯状疱疹薬は安全?K   2019.9.8-21:53
19歳、女子学生、東京在住。 過去MS-289他(あり。

ジレニアを3年半服用中。何度もリンパ球の数が大幅に減少しながらも継続。数値100弱から300程度。JC3.45と高い状態。
何度も質問させていただいています。ありがとうございます。

(1)脳MRIで活動病巣2個(1個は中型、2cm以上)出現。
8月MRIで脳に二ヶ所病変が見つかりました。1つは今までで一番大きく楕円の長い部分で2センチ以上になるのではないかと思われます。今回も本人自覚症状なし。今の病変はつい最近のものとのこと。高温の室内スポーツで5日程度過ごした事が引き金になったのかもしれません。
通院でパルス3日行いました。
リンパ球数値が低いため主治医の指示の下週1減薬していたのを一旦中止。ただ、数値は直近200弱。減薬中の6月も400程度でした。
質問:
ジレニア服用していても数年に一度の再発はありえて、MRIで定期的に確認しパルスで対応、と考えるべきでしょうか。
テクフィデラへの変更を検討していましたが、ジレニアで再発があったため、効果のやや劣る薬へは変更を考え直すか時期をずらすのがいいのか、分からずにいます。

(2)不明の発疹に帯状疱疹薬を服用は大丈夫か?
もう一点、パルス後数日後から目に近い鼻上部に赤く膨らんで目立つ吹出物が広範囲で出ています。痛み、痒みはないようなのです。帯状疱疹に似ているけど原因不明、と診てもらったクリニックで言われました。
ニキビかと思い主治医に相談なく受診したのですが帯状疱疹の薬を処方されました。MSであることは伝えた上での受診です。
違かったとしても服用は体に支障ないと言われたのですが、ジレニア服用中、パルス後でも大丈夫でしょうか。パルスの副作用なのでしょうか?通院でのパルスが無理あったのでしょうか。片道2時間弱かかり、安静にしていたとは言えない3日間でした。
ジレニア服用しているのに3年半で再発があったこと、副作用かもしれない症状が不安でたまりません。受診で主治医に確認できるのが少し先のため、ご教示願えませんか。よろしくお願いします。

病歴:
2015年15歳、右半身の感覚異常でMS発覚。パルス1クールで軽快。
3ヶ月後無症候の脳病変1つ出現。再度パルス1クール。
現在、自覚ある後遺症なし。
MRIで大脳に5個程度と脊髄、胸髄に1つずつ病巣あり。

(1)脳MRIで中型病巣が出現。ジメチルフマル酸(テクフィデラ)へ変更するか? 
ストックホルムの欧州MS学会へ出張中で遅くなりすみません。お嬢様の今後のことがご心配だろうと推察します。MSは発症年齢が低いほど、障害進行や死亡リスクが高いと言われています。これまでの経過がかなり良いことは、非常に勇気づけるものですが、それでも、あまり楽観するべきではない、しっかりした治療を続け、将来の優れた治療の導入に期待するべきだと思います。今回の学会でも、世界での進歩は早く、現状を維持できれば、大いに希望を持てると思います。

テクフィデラへの変更は、かなり先の将来を含めて止めておくべきだと考えます。
 私の約400人のテクフィデラを開始した患者さんの半数以上は、フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)で過去1年以上安定していたが抗JCV抗体インデックスが高く、PMLリスクを恐れて、テクフィデラへ変更しましたが、1年以内に20%で再発かMRIに新病巣が出現しました。過去のフィンゴリモド治療中に再発があった方では非常に激しい再発があり、障害が一定程度進行してしまった人も有りました。このため、フィンゴリモド中にMS活動性(再発かMRI新病巣出現)があった方では、テクフィデラへの変更は避けることをお勧めしています。効果がフィンゴリモドより低いためです。
 問題は、では次の治療をどうするべきかです。日本では選択肢が未だ少ないのですが、2つ有ります。

 1つは、タイサブリの投与間隔を延長する方法です。体重が60kg以下であれば、7週以上の間隔とします。この方法でPMLは発生せず、効果は通常の4週毎点滴にほぼ同等です。我々は250人で実施しています。細かな実施法については、一度受診していただければ、指導し、担当医へのお手紙、資料を渡します。

2つ目は、フィンゴリモドを継続する方法です。来年中に新しい治療薬が利用可能となるはずですから、その時点で、変更を検討します。
フィンゴリモドでは世界で28人のPMLが現時点で発生しています。30万人近い人が利用した中でです。PMLは抗JCV抗体陽性で、2年以上利用した方に発生しています。これまでの発生は34歳が1人、あとは40歳以上、ほんどは50歳以上で有り、30歳以下では発生しておらず、リスクは極端に低く、MS悪化のリスクの方がはるかに高いと理解するべきです。

(2)不明の発疹に帯状疱疹薬を服用は大丈夫か?
診断が確定していなくても、帯状疱疹薬を利用することは有ります。副作用の頻度は非常に低く、心配はいらないでしょう。
診断を確定する方法はありますが、結果は少し遅れるので、検査はしなかったのかもしれません。