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フィンゴリモド(ジレニア、イムセラ)治療中の進行性多巣性白質脳症(PML)発症について

フィンゴリモド治療中にPMLを発症した方が全世界で7名(2名は国内)報告されており、無治療の健康人での発症は非常に稀ですので副作用によると考えられています。 服用中止後にPMLの進行は停止し、死亡例は報告されていませんが、重大な副作用です。


発生の頻度は3万人に1人:

2016年6月におけるフィンゴリモド投与下のPML発現リスクは3万人に1人と推定されています。
全世界でのフィンゴリモド推定投与患者数は148,000人以上(316,000患者・年)、2年以上の推定投与患者数は58,000人以上(2016年2月現在)です。国内での推定投与患者数は4,500人以上です(2016年5月現在)。

発生は服用開始から2年5月目以後:

PML発症時のフィンゴリモド服用期間が最短で2年5ヵ月ですので、治療開始から2年以上経過した方で発生する可能性を注意する必要があります。

PMLはJCウイルス(JCV)の脳感染症:

PMLはJCV感染者でのみ発生するJCVの脳感染症である。
JCVは日本人の65%程度に慢性的に感染しリンパ球、腎臓など各種臓器に潜伏しているが、障害を生じることは無く平和共存し、脳に感染することも無い。
PMLはHIV感染(AIDS,エイズ)で高率に発生し、免疫能を正常化することが困難であるので治療困難で死亡例が多い。
MS治療薬ナタリズマブ(タイサブリ)使用でもJCV抗体価高値の方で2年を超え使用すると100人に1人発生する。認知症などの大脳症状が出現して発見される場合には病巣が大きくなっており、障害進行や死亡の報告が多い。

PMLの治療:

フィンゴリモド服用の中止の後、一定期間の後に進行拡大は停止する。

MRIによる無症状期での早期発見で後遺症軽減が可能:

3、4月に1回のMRI撮影で無症状のPML脳病巣を発見する事がほぼ可能である。
ナタリズマブ治療中のPMLでは無症候で発見し、早期に治療を中止すれば、多くの場合に障害の進行が無いか、極く軽度で治療できている。 フィンゴリモドでのPMLでも、定期的なMRI撮影により無症状の潜在的なPML病巣を早期に発見し、後遺症の最小化を目指すことが望ましい。
担当医師がPML早期発見のためのMRI撮影条件と読影のノウハウを習得することが重要である。

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