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MOG抗体疾患とは

どのような病気か

MS、NMOSDのいずれとも区別しうる、新しい第3番目のMS類似疾患です。
MSやNMOSDを疑われて、いずれとも臨床像が少し異なり、抗アクアポリン4抗体陰性であることから抗MOG抗体を調べて陽性であることが判明し、診断されることが多いです。

MOGというのは、髄鞘の特殊なたんぱく質です。 MOGとはmyelin-oligodendrocyte glycoproteinの3つの頭文字をとったもので、髄鞘(ミエリン)オリゴデンドロサイト糖脂質という髄鞘とオリゴデンドロサイトのみに存在する糖蛋白分子です。

MOG抗体疾患とMSでは共通して稀突起グリア細胞(オリゴデンドログリアサイト)が標的として攻撃を受けます。

オリゴデンドロサイトという細胞は、その突起が神経細胞の突起である神経軸索にとりついて、 細胞膜が布で包むように軸索の周囲をクルクルと回転して、20〜50回ほど巻きつきます。 その結果できる神経線維は電線とよく似たものです。細胞膜が何重にも巻き付いてできた膜を日本語で“髄鞘”、英語では “ミエリン”と言います。

髄鞘が壊されている点でMSと共通ですが、抗MOG抗体が陽性であり、MSでは陰性です。

臨床的な特徴は、子どもさんに多いということと、視神経炎が多いということです。 脊髄炎も起こることがありますが、一番下部の排便や排尿に影響するところに起きることが多いのも特徴です。

しかしながらMS,NMOSDと共通点が多いため、今までNMOだと思っていた人の中にバラバラと見つかってきています。



治療法

新しい疾患で、診断された例数も未だ少ないので、長期的な再発防止法について、根拠のある方針が確定できていません。手探りで経験を積みつつある段階です。             

現在分かっていることは、

  1. プレドニンが良く効くが、減量や中止をすれば再発することが多い
  2. 開始が遅れなければ、重症の再発時には血漿交換が良く効く
  3. 治療をしていればNMOSDやMSと比べて、強い後遺症を残すことは少ない
ということです。

MSの治療薬であるインターフェロンやフィンゴリモドは無効です。

NMOSDでも同様ですが、問題はプレドニンの長期服用による副作用が避けられないことです。 より安全な免疫抑制剤を併用し、プレドニンを減量したり、中止したりする試みがなされています。

様々な免疫抑制剤がありますが、安全性の高いものを利用するべきです。免疫抑制剤の経験豊富な専門医師に治療してもらうことが大切でしょう。

万一、重い再発が発生した時に備えて、迅速に血漿交換治療を開始しうる体制のある病院を確保することも重要です。              

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