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「視神経脊髄炎(NMO)」の名称が「視神経脊髄炎スペクトラム疾患(NMOSD)」へ変わりました。「視神経脊髄炎」とは視神経炎と脊髄炎の両方があることを意味します。
視神経脊髄炎では約80%で抗アクアポリン4抗体が陽性です。この病気の本態は自己免疫機序によりアストロサイト(アストログリア)が障害されることです。
しかし、抗アクアポリン4抗体陽性でも視神経炎と脊髄炎の何れかが無い方や、脳病巣のみがあり視神経炎も脊髄炎も無い方もあり、「視神経脊髄炎」の名称には合致しない方が多くおられるからです。
名称変更が国際的会合で提案され、論文が今年発表されました。
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第3の新疾患「抗MOG抗体疾患」が加わりました。
MOGとはmyelin-oligodendrocyte glycoproteinの3つの頭文字をとったもので、髄鞘(ミエリン)オリゴデンドロサイト糖脂質という髄鞘とオリゴデンドロサイトのみに存在する糖蛋白分子です。
そのMOGに対する抗体が出現する患者では、いくつかの共通する特徴がみつかっていますが、未だわかっていないことも多い疾患です。
視神経炎が多く、MRIで長い病巣が見られることが多い。脊髄炎では長い病巣の出現が多い、脊髄の末端である腰髄の病巣が多い。
脳MRIではMS特有の病巣はみられず、造影病巣の点在を認めることが多い。
小児では急性散在性脳脊髄炎での陽性が多く、再発を見ないことが多い。
ステロイド点滴や長期のステロイド服用が有効であり、血漿交換も有効。再発は多いが、ステロイドの使用が効果があり重症化することは少ない。
MSの治療薬であるインターフェロンやフィンゴリモドは無効であることが多い。
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