MSの診断・治療 | 症状(痛み・しびれ感以外)[共通] |
NMOの診断・治療 | 痛み・しびれ感 [共通] |
抗MOG抗体疾患の診断・治療 | 再発・見分け方 [共通] |
MS/NMO/抗MOG抗体疾患いずれか不明の場合の診断・治療 | 妊娠・出産 |
リハビリ・回復の見込み・後遺症 [共通] | その他 [共通] |
2016/12/5更新
A: 頭のふらつき、首の重さ、吐き気、怠さなどは、それらのみでは、再発とは判断しない内容です。 しかし、こうした訴えで脳MRIを撮影しますと、新しい病巣が見つかることがあり、再発でないとは断定できません。変化が明確であれば、MRI検査をするべきです。
MSの症状は脳、脊髄、視神経の局所による症状の組み合わせとして出現し、病巣の部位が推定できるような症状であればMRI画像で新しい病巣の出現や拡大が見られなくても、再発と判断します。
お聞きの症状は、脳、脊髄、視神経以外の、さまざまな疾患でも頻度高く出現しますので、MRIで新病巣がでていなければ、他の原因を追究するべきです。
A: MSでインフルエンザ、肝炎、その他のワクチンを接種し再発が増えるかを調べたいくつかの調査があります。 そうしたことは無さそう、と言うのが一般的な答えです。普通にワクチンを接種されて結構です。水痘帯状疱疹ワクチンの場合も同様で、ご心配要りません。
ワクチン一般のリスクは無いとは言えませんが、利益が上まわるとの判断です。
A: 種類が多く、全部を説明するのは大変ですし、症状が強くなっても再発では無いこともあります。このHPに「再発か否かの自己判定法」と「多発性硬化症や視神経脊髄炎の再発症状とは」とを説明していますのでお読みください。
痛み、しびれ感だけが出るときは再発では無いことがほとんどです。感覚が鈍くなる、脱力など、他の症状と同時にでれば再発です。痛みしびれ感には治療がありますので先生にお聞きください。
A: 10日から膀胱炎で発熱があり、シビレ感と痛み、尿の出が悪い等が再出現しているのですが、発熱が無くなれば、症状が消える可能性があります。
発熱のある時だけに症状が出たり、強くなったりするのはMS/NMOにしばしば見られるウートフ現象で、このホームページでも解説してあります。
先ず、膀胱炎の治療が急がれます。抗生物質が効果ないのであれば、他の抗生物質に変更するべきです。
泌尿器科か内科で菌の感受性テストをし、耐性のない抗生物質をえらぶことが必要なこともあります。
発熱が収まっても症状が消えないなら、再発の可能性が高くなります。(2014/11/7現在)
A: 足の軽い脱力感は再発である可能性があります。
MSかNMOか、いずれであっても、早く正確な診断をして、再発と進行防止の治療を開始するべきです。
副作用は、殆どご心配いりません。万一多少の副作用がでましても、回復可能なものですし、次の対策があります。
治療は早期の方が効果が高いですから、機会を逃さないことが利益となります。
A: MRIに写らない再発は少なくありませんが、全て軽度の場合です。
しかし脳の場合はMRIで新病巣が見つかっても、症状が出ないことが、非常に多いです。
A: 産後の治療選択以上に、妊娠希望時の治療について、一人一人に合った専門的助言が、先ず大切です。
産後にはMS、NMOともに再発が増加しますので、適切な治療を予防的に開始することが必要です。
安全な予防治療法がありますので、挙児を断念したり、不安になる必要は全くありません。
私のMS,NMOの患者さまで希望した方は、全員が安全に出産しておられます。
A: MRIで確認できなくても一定の症状の変化があり、確実な再発であると判定すれば、同じような治療をします。
しかし、本当の再発でない偽再発(pseudo-relapse)が稀でなくあります。心因性の変化もありますので、医師は慎重に検討します。
A: MSでもNMOでも、再発症状として痛みだけがでることは、あまり多くありませんが、全く無いわけではありません。
通常は、再発の症状であれば痛みの外に、同じ部位に感覚鈍麻が出現します。 するどい楊枝で皮膚をつついて、痛みが無い反対側の同一部位や、上下の部位での感じ方より感じにくいことはないか?
テイッシュペーパーで皮膚をさわり、感じにくさがないか? 冷たい金属を皮膚に押し当てて、冷たさを感じにくくないか? などを調べてください。
全く感じにくさが無かった部位に、感じにくさがでているのであれば再発が疑われます。
前回の悪化の時に感覚鈍麻があり、その後改善しつつある、あるいは改善した後、同一部位に、ジンジン感や熱感、不快な感覚、痛みなどが出現するのは、ほとんどは再発ではありません。
神経の修復が進行し感覚鈍麻を直しつつあるが、あまり上手に修復できず、信号の混線が生じ、シビレ感と痛みを生じることはNMOでは特に多い現象です。
従って、感覚鈍麻がでたことの無い部位に痛みが出ているのであれば、対応する脊髄の造影MRIの撮影を実施するべきです。
新病巣の出現や造影病巣の出現を認めた場合は、再発として治療するべきです。
もし異常がなければ、経過を観察することで良いでしょう。 痛みが強ければ、痛みを抑える様々な薬を利用するとよいでしょう。(2015/4/27現在)
A: MSの症状として頭痛のみがでることは殆どありません。
稀に、激しい増悪時に脳の表面の髄膜の炎症があり頭痛を生じることはありますが、そうした場合には他にも脳の症状がでたり、意識混濁がでたりすることが普通です。
これまで頭痛が無かった方に突然に出たのであれば、感染症に伴う頭痛が最も可能性が高いと思います。 発熱があれば、確定できますが、無い場合でも、軽い、潜在的な感染で発熱を伴わないこともあります。短期間で消えることが普通です。
持続する場合には、担当の神経内科の先生に相談してください。頭痛は神経内科の担当です。(2015/9/13現在)
A: MSにおける慢性進行とは、明確な急性の再発・増悪が無いのに、ゆっくりとそれまで在った症状の悪化、あるいは新しい症状の進行が1年以上持続し、障害度が次第に強くなってゆくことです。
MSではそうした進行が始まると、一時停止しているかに見えることがあっても、改善は殆ど無く、長期に進行が続くのが普通です。
NMOSDではMSに見られるような10年、20年と続く慢性進行は私の約300人のNMOSD患者さんでの経験ではありません。
ただ、非常に重い症状がある時、その症状が一定期間ゆっくりと悪化しつづける場合があります。 視力がほとんど無くなっている患者さんでは、悪い方の目が何年にもわたって、次第に暗さが強くなりつつあると訴えておられる方が2,3人おられます。
また、かなり片足の運動麻痺が強かった方が数年間で徐々に杖が必要になった方もおられますが、その後は停止して安定しています。
欧米での100人程度の集計で1,2人の慢性進行の患者さんが居たとの報告はありますが、その後も進行が続いたか、詳細な報告はありません。
こうした慢性進行に似た、既にある症状の増強には3種類あると考えています。
@ 一つは、神経線維が過去の再発時の炎症で障害を受けているが部分的機能低下の状態で働き続けているものがあり、長期間の後に順番に障害の重い繊維から重い変性となり機能停止となること。
A 二つ目には、運動麻痺症状が強いために運動不足が生じ、廃用性筋委縮を来たして、麻痺が次第に強くなること。
B 三つ目には、軽度の再発が持続している場合で、MRI画像で新しい病巣や造影される活動性病巣が確認されるとは限りません。しかし、この場合の持続的悪化は、何年も継続することはありませんし、何れMRIでも確認が可能な再発が確認されます。
いずれの場合にも新しい症状が出ることはありません。
しかし、こうした真の悪化持続とは別に、感覚麻痺や感覚鈍麻があった部位で、再発が停止し感覚の鈍さが改善する過程で、痛みやシビレ感などの異常感覚が、出現したり、次第に強くなることがしばしば見られます。
これは、感覚神経の再接続工事が元のようにではなく、異常な接続や、異常興奮をおこすような再生工事をしてしまうことによると思われます。(2015/10/5現在)
A: 以前からあった下肢のツッパリがパルス点滴後に改善した理由は以下の3つが考えられます。ツッパリが何時頃出現したか、改善した効果がいつまで続くかで、何れであるかを判定します。
1.ツッパリが出てきたのが比較的最近のことであったなら、その時に再発ないし増悪があった(すなわち新しい病巣が出現した)ので、今回のパルス療法で改善した可能性があります。
再発・増悪であれば、通常は運動麻痺(脱力、筋力の低下)が先にでて、後からゆっくりと同じ部位でのツッパリが強くなります。しかし、ツッパリだけの悪化が進む場合も時に見られます。
2.ステロイドのパルス点滴の効果には、炎症を抑え再発病巣を縮小させる効果とは別に、炎症抑制とは関係なく、脱髄(髄鞘が破壊され、神経軸索が裸になっている状態)した神経線維に直接働き、神経の電気刺激の伝道速度を改善し、症状を改善する効果もあります。
ただし、この効果は一時的であり、1週間程度で元に戻ってしまうのが普通です。長期に改善が持続しているのであれば、この効果ではないと言えます。
3.パルス後に改善したのですが、実際はパルスと関係なく、貴方の体が改善する工事が進行していて、たまたまその時に改善がはっきりとしてきた可能性もあります。自然の回復が、偶然に時期が一致した。
(2015/11/5現在)
A: 10日前から新たに出てきた、背中に出たり消えたりするシビレ感は、脊髄炎の活動を意味していると思われます。以前から、両足全体に軽度だが力が入りにくく、頻尿があるということは、以前から脊髄にも病巣がある可能性が高いと言え、脊髄炎の活動が続いていると推定されます。
下肢の脱力症状が出現した時間の経過が記載されていませんが、頻尿が先にあり、10月末に左視神経炎が生じた時に同時に下肢脱力が生じたのが再発であり、10日前からの新しい背中のシビレ感出現は脊髄の病巣の活動が続いている可能性を示唆しています。
A: このホームページのトップページにある「症状と再発の自己判定法」をクリックして解説を読み、参考にしてください。一度も診察をしないで第三者が判定をすることは難しく、間違う可能性が有ります。言葉の意味が人によって違っていたり、言葉が不十分であることもあります。
今回出現した症状は「目のちらつきかすみと左手足の痺れ」「左顔面の違和感」とのことです。年末の初発時にでた症状とかなり重なっています。前回の症状も今回の症状も脳の下部にある脳幹と言われる部位の病巣が疑われます。
症状の部位が重なっていて、今回はシビレ感のみであれば、再発ではなく後から異常感覚が出てくることが有ります。
しかし前回には左手(上肢?)の痺れが無かったようで、若干の違いがあるようです。もしそうであれば、前回の病巣が拡大したか、直ぐ近くに新たな病巣が出現したかによる再発が疑われます。MRIで確認するべきでしょう。
日本語の「痺れ」という言葉には様々な意味があります。運動麻痺(脱力)、感覚鈍麻、無感覚、シビレ感(ジンジン感のような不快で異常な感覚ですが、触覚、痛覚、温度感覚などは保たれている)などの何れなのかを明確にする必要があります。(2016/2/25現在)
A: 再発と再発でない症状の変動の区別の方法の概要は、一応、本ホームページにある「症状と再発の自己判定法」というページに記載してあります。
あくまでも緊急に治療開始を要する再発の判定法です。
ゆっくりとした症状の悪化をしめす再発の判定は容易ではなく、専門医のみに可能ですので、早い機会に外来受診し担当医の診察を受けることをお勧めします。常にご自分で判定することをお勧めしているわけではありません。
また、NMOSDでは、時に痛みやシビレ感の増強が再発症状であることもあります。 (2016/4/30現在)
A: 先ず診断についてですが、MSであると聞いておられるとのことですが、MRIで脊髄に3椎体以上の長い病巣がでたと聞いているのであれば、視神経脊髄炎スペクトラム疾患(NMOsd)である可能性が高くなります。再度先生に確認するべきです。後者であれば主に脊髄の中央に位置する長い病巣が見られることが多いのが最大の特徴です。
抗AQP4抗体は聞いていないのはELISA法で陰性であったので先生が言わなかった可能性が有ります。脊髄の長い病巣が本当なら東北大などに依頼して厳密な方法での抗AQP4抗体を再度調べる必要があります。NMOsdには抗体陽性、陰性の2種類がありますが、後者の場合には脊髄MRIの長い病巣が必要条件です。
脳MRIがMS寄りであるとのことですが、NMOsdでもMSに類似の脳MRI病巣が出ることが有ります。
MSならステロイドは長期には利用しません。MSの再発防止薬を開始するのが通常です。
最近左半身のシビレ感、ピリピリ感がでてきたとのことです。
過去には左半身の感覚鈍麻(皮膚の触覚、痛覚、温度覚などがやや鈍く、わかりにくさがあること)やシビレ感はでたことが無いようです。そうであれば再発の疑いが有ります。診察の上、MRI検査が必要となります。もしMRIで変化が無いのであれば、再発とは断定できませんが、軽度の再発は否定できません。
もし過去に感覚の鈍さが出たことが有るのであれば、後で同じ部位にシビレ感が残ることはよくある事です。これは後遺症であり再発ではなく、体温の上昇や低気圧、ちょっとした体調の変化で増強することがよくあります。
シビレ感、ピリピリ感の治療薬は、各種の痛みの治療薬を利用します。完全に消えることは期待できませんが、一定の効果は有ります。ステロイドは異常感覚を減らす目的では利用しません。
(2016/9/30現在)
A: アボネックス治療中に4月、9月に左半身にシビレ感が出現したとのことです。MSの患者で過去に感覚障害がでたことの無い部位にシビレ感が出たがMRI病巣は見つからなかったとのことです。これは軽度の新病巣の出現による再発だろうと言えます。脊髄再発の半数程度ではMRIで病巣を見つけることができないと言う報告が有ります。
感覚障害が最も軽度な場合、シビレ感のみが出ることが有ります。感覚障害が一定以上重くなると感覚鈍麻(分かり難い、鈍く感じる)がでます。もっと重くなると無感覚となります。重くなればMRIで病巣は見つかります。
9月のシビレ感がパルス後に一度消え、しばらくして再度出現してきたのは、よくある現象です。パルス点滴による高濃度ステロイドの神経組織への直接効果は1週程度で失われます。再発病巣そのものは解消していなかったことが分かります。
シビレ感のような軽度な再発であれば、1月程度で自然に消失することが多いのですが、もっと重い感覚障害が1月程度で治るとは言えません。
4月と9月に2回の軽度再発があったようですので、現在のアボネックス治療継続でよいのか、検討を要すると思われます。他の自己注射治療への変更はあまり意味が無い可能性が高いでしょう。
(2016/9/30現在)
TEL 075-468-8642
FAX 075-468-8657
E-mail msnet@bg.wakwak.com